親が集めた絵や骨董品も相続税の財産。売買の実例と専門家の意見を参考に評価する
父が長年集めていた絵や焼き物が、実家の棚にずらりと並んでいます。思い出の品として受け継ぐつもりでも、相続税の財産に数えるのか、いくらで数えるのかが分からず、片付けの手が止まる方もいるでしょう。国税庁は書画骨董品を相続税の課税対象に挙げ、評価の仕方も通達で定めています。物差しになるのは、亡くなった時点の時価です。
棚の絵や焼き物も、遺産の合計に入る
国税庁の財産評価基本通達は、書画骨とう品について個別の評価方法を定めています。金銭に見積もることができる財産は相続税の対象となり、価額は原則として相続開始の時の時価で評価します。財産評価基本通達は、この時価を、不特定多数の当事者の間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額としています。
もっとも、申告が要るかどうかは遺産全体で決まります。国税庁は、原則として、課税価格の合計額が遺産に係る基礎控除額の範囲内なら、申告も納税も必要ないとしています。ただし、小規模宅地等の特例などを適用した結果、基礎控除額以下になる場合には申告が必要です。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、課税価格の合計額がこれを超える場合は、亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告します。
通達が分ける、書画骨董品の2つの評価の仕方
財産評価基本通達は、家庭用動産などの一般動産の評価を128と129で、書画骨董品の評価を135で、節を分けて定めています。販売業者が持つものかどうかで分かれ、それ以外の品は、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価します。
財産評価基本通達135の(2)は、販売業者が持つもの以外の書画骨とう品について、売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価すると定めています。一世帯ごとに一括して評価できる扱いは、一般動産の評価単位を定めた通達128のただし書にあります。
遺品の一覧から、評価の根拠を残すまで
まずは遺品の中の絵画や骨董品を一つずつ書き出し、購入したときの領収書や鑑定書などの資料を探します。次に、似た品の売買の実例や専門家の意見で価額を確かめ、何を根拠に評価したかを書き残しておきます。たとえば、作家名と作品名が分かる箱や資料があれば、似た品の取引を探す手がかりになります。
注意したいのは、申告期限までに申告しなかったり、実際より少ない額で申告したりすると、本来の税金のほかに加算税や延滞税がかかる場合があることです。納め方にも触れておくと、法律に基づく登録美術品のうち、相続開始の時にすでに登録を受けている特定登録美術品は、物納の順位にかかわらず、一定の書類を提出して物納を申請できます。ただし、物納にはほかにも要件があり、申請すれば必ず認められるわけではありません。ただし物納は、延納によっても金銭で納めることが難しい場合に限った手続きです。
思い出の品を、時価という物差しで数える
父の集めた品を大切に受け継ぐことと、相続税の財産として数えることは両立します。財産評価基本通達が示す物差しは、売買の実例と精通者の意見です。資料をそろえても判断に迷う品があれば、早めに税務署へ相談してみてください。
相続登記は自分でも申請できる。法務局の様式で書類をそろえ、免税の土地も確かめる