生涯でいくら稼ぐかは働き方で変わる。国の統計で見る正社員とそれ以外の賃金
転職や働き方の見直しを考えるとき、一生でどれくらい稼ぐものなのかは気になるところです。周りの話より、国の統計で確かめたい方もいるでしょう。厚生労働省の調査では、正社員とそれ以外の賃金の差は、20代前半より50代後半のほうが大きく開いています。
生涯賃金は、今の年齢ごとの平均を積み上げた推計
一生で受け取る賃金の総額は、だれかの記録を最後まで追って集めた数字ではありません。労働政策研究・研修機構(JILPT)のユースフル労働統計2025は、生涯賃金をひとりの労働者が生涯にわたって得る賃金の総額とし、厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとに推計しています。
前提も決まっています。学校を卒業してすぐ就職し、60歳で退職するまでフルタイムで働く形を置き、退職金は含めません。計算は今の各年齢の平均賃金を合計するもので、賃金の水準を現在に合わせる考え方です。転職や離職などで職業生涯は人それぞれだと、JILPT自身も断っています。
同じフルタイムでも、雇用形態と性別で変わる月の賃金
厚生労働省の2025年の賃金構造基本統計調査では、正社員・正職員の賃金が358.8千円、正社員・正職員以外が241.7千円で、正社員・正職員を100とすると67.4です。
この賃金は2025年6月分の所定内給与額の平均で、残業代や賞与を含まず、手取りでもありません。短時間労働者は別の集計で、ここでの値は通常の所定労働時間で働く一般労働者のものです。男女別に、JILPTの生涯賃金(2024年の値)と並べると次のとおりです。
年齢を重ねるほど開く差と、男女の賃金カーブ
差が開くのは、年齢を重ねてからです。正社員・正職員を100とした正社員・正職員以外の賃金は、20~24歳の82.2から55~59歳では54.8まで下がり、60代前半では76.4まで差が縮まります。
男女でも上がり方が違います。男性は55~59歳の445.6千円が頂点で、20~24歳を100とすると181.4です。女性は45~49歳と55~59歳の305.7千円が最も高く、同じ物差しで127.6と緩やかです。男性を100とした女性の賃金は76.6でした。
統計を自分に重ねる3つの順番
まず、結果の概況にある雇用形態、性、年齢階級別の表で、自分に近い区分の値を探します。たとえば30代で正社員以外として働く方なら、30代の行で同じ年代の正社員・正職員との差がつかめます。
次に、前提をそろえます。この概況は、10人以上の常用労働者を雇う民営事業所が対象です。そのうえで、働き方を変えるかどうかは月々の額だけで決めず、勤め先で入る社会保険の扱いも確かめておくと安心です。
平均は物差しの一つ、前提を確かめて働き方を考える
生涯賃金も月の賃金も、国の統計が示すのはその区分の平均で、職業生涯は人それぞれです。正社員とそれ以外の差は年齢とともに開きますが、前提を知っていれば、必要以上に悲観も楽観もせずに済みます。自分に近い区分の値を確かめ、これからの働き方を考える手がかりにしてみてください。
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