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最近は新築住宅が高価になり、中古住宅の購入も有力な選択肢となってきます。
分譲マンション購入時に、全面リフォーム(リノベーション)する方も増えてきました。
円高などによる物価高、2024年問題などによる人件費高で、リフォーム工事の単価も上昇しています。
施主にとってリフォーム費用は、押さえたいものです。
複数の業者から「相見積もり」を行い、一番安価な提示業者と契約を結ぶのは、当たり前かもしれません。
また「値下げ交渉」も、一般的となりました。
リフォーム会社が、作業の合理化により値下げに応じてくれるのであれば、ありがたいです。
しかし、安直に値下げに応じたリフォーム会社を単純に評価するのは危険です。
もしかすると、リフォーム工事の必要な作業を間引き、「手抜き工事」をすることによって値下げに応じているかもしれません。
この「手抜き」によって、施主は値下げ額より多くの損失を被る可能性があります。
分譲マンションは手抜き工事によって、自身だけでなく近隣の方に被害を与えるからです。分譲マンションは、天井や壁、床を近隣住戸と共有しています。
敷地などは、全戸で共有している場合がほとんどです。
手抜き工事で水漏れをおこし下の階に被害を与えた例。
リフォーム工事の際に管理組合のルールを守らなかったことにより、近隣から注意されるなど、リフォーム工事によって、近隣との関係が悪化する例はたくさんあります。
本日は「手抜き」の事例と、その予防法についてお知らせします。
・ ユニットバスやキッチンなどの住宅設備入替の際に、適切な補強を行わない。
・ 安易に、既存の壁紙(クロス)や床材を剥がさずに、新たな壁紙、床材を張る。
下地(多くはプラスターボード)の継ぎ目などに、パテ作業など適切な処理をしない。
・ 給排水管などの入替の際に、適切な素材を利用しない。既存部分を多く残す。
・ 短絡をする。
特に給排水管は適切に施工しないと、水漏れを興した際に下の階の室内に浸水し、被害を与えます。実務上の経験では、対応不備などにより漏水期間が長期となると、直下階だけてなく、より下の階まで被害を与える恐れがあります。
・ リフォーム現場に廃棄部を放置する。
最近は、環境保護やリサイクルの兼ね合いからも廃棄物の分別を求められています。
廃棄物に処理を適切に行うには、それなりのコストが必要です。
原価高になるので、現地で「処理(残地)」し、処分代を削減します。
キッチン、ユニットバス等の施工時に、見えなくなる壁や床の裏部分に、廃棄物を置いてくる場合が多いです。
人体に有害性の残置物(塗料や接着剤など)やは、ホルムアルデヒドのなど、アレルギーの原因となります。
木材系のなどは、シロアリなどの害虫を招き入れる可能性、その腐食による悪臭が問題となります。
・ 施主の許可なく、掛け率の低い住設(仕入れ値がひくいもの)に変更する。
・ 仕入単価の高い住設のオプションを取り付けない。
リフォーム工事を行う際は、管理組合へ施主による申請と、組合による承諾が必要です。
申請や近隣の挨拶は、現場監督にとって手間が増えることになります。
現場が遠方などの理由で、工事前に行うこれら作業を割愛します。
申請がない工事が露見すると、施工中の工事中止を命じられることがあります。
近隣の居住者も、過去に自身が申請してリフォーム工事を行っています。
事前に工事あいさつや、工事に関するお知らせ(掲示)がない場合は、他の入居者が管理組合(管理会社)へ連絡を入れます。
それにより無申告のリフォーム工事は露見します。
駐車費用(コインパーキングの費用など)を削減するため、無断駐車をします。
リフォーム工事は、水道業者、内装業者、大工などの専門業者が必要です。
しかし工事毎に専門業者に入札を繰り返し、その時々の安価な業者を使うことで工事原価を下げる方法があります。
この方法は施工単価を下げられますが、専門業者は工事発注が不安定な施工者に対し、「重要度の低い顧客」として接します。
専門業者がアフターメンテナンスについて、非協力となります。
リフォーム会社は工事中や工事後に工事に関する不備や事故により損害賠償を負う可能性があります。
それに対応するために、請負業者賠償責任保険や生産物賠償責任保険があります。
しかし工事原価を下げるため、これに加入しません。
またリフォーム工事を第三者に検査や保証をしてもらう瑕疵担保責任保険があります。
これは工事会社も施主も加入できる保険ですが、これも加入しない。
これら保険に加入していない会社は、資金難から工事保証やアフターメンテナンスに消極的です。
・ リフォーム会社が、建設免許等を取得しているか確認する。
現場監督が、分譲マンションのリフォーム工事について、資格保有者かどうか、経験や知見があるか確認する。
・ リフォーム工事中に、現場監督を通じて下記の (2) を行うことを通知する。
・ 賠償保険などに加入するか確認する
・ 現場監督が提出する工程表の進捗を確認する。
・ 工事中の現場を訪問する。
・ 引き渡しの前に、施主自身が完了検査を行う。
あなたが安価な理リフォーム工事を求めるあまり、「手抜き工事」による経費削減を行う施工会社と契約すると、多くの存在を被る可能性あります。
リフォーム工事にて他の居住者に被害を与えた場合、基本的には施工会社にて対応します。
しかし加害者はあくまで施主であり、最終的な賠償責任があります。
施工者が対応しない場合、あるいは施工者が倒産などで存在しない場合は、施主が直接対応しなければなりません。
また近隣へ悪評を与えてしまった場合です。
分譲マンションは賃貸マンションにくらべ、居住者が交代しません。
同じ部屋数十年居住する方も、珍しくありません。
よって「遺恨」があるまま、同じ居住者が長く住み続けることになります。
このような「遺恨」が溜まり、その部屋に住み続けることが億劫となりマンションを売却した事例を耳にしました。
リフォーム工事による被害は、十数年に及ぶ場合があります。
よってリフォーム工事の施工会社を選ぶ際は、安さのみでなく、施工の質を見比べてください。
「施工会社に適切な利益を供与する」姿勢で臨まないと、長期の安心は得られないこと、ご承知ください。