いちご Research Memo(4):2027年2月期は前期比21.2%増の340億円と事業利益で過去最高を見込む
FISCO 2026年11月06日 11:04:00
*11:04JST いちご Research Memo(4):2027年2月期は前期比21.2%増の340億円と事業利益で過去最高を見込む
■今後の見通し
2027年2月期は、営業利益で前期比0.7%増の20,600百万円、事業利益で同21.2%増の34,000百万円、経常利益で同12.8%減の14,900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同8.2%増の18,000百万円、キャッシュ純利益で同30.1%増の24,000百万円、1株当たり当期純利益で同12.5%増の45.13円を見込んでいる(期初予想どおり)。キャッシュ創出をさらに拡大する予想であり、安定したストック収益に加えてフロー収益を伸ばし、事業利益、親会社株主に帰属する当期純利益、キャッシュ純利益で最高益更新を見込む。
心築事業では、物件売却及び子会社売却により、事業利益で18,550百万円(前期比41.7%増)と大幅な増益を予想する。ホテル事業では、リブランドオープン(宇都宮、天神)及び新規物件による賃料収益増が見込まれるが、売却を見込まないため事業利益5,150百万円(同28.7%減)を予想する。いちごオーナーズ事業では、前期未実現の売却実現により、事業利益で7,600百万円(同101.9%増)と通期での最高益を見込む。中間期は物件売却時期の下期へのシフトもあったものの、契約済み案件を含め、通期予想に向け順調である。アセットマネジメント事業では、投資法人関連成果報酬を織り込まない期初予想数値で、事業利益で1,250百万円(同45.2%減)を予想したが、中間期で既にこの予想を超えており、前期通期の事業利益(2,282百万円)を目指す展開となっている。クリーンエネルギー事業では、出力制御及びコスト(売上原価)増を見込み、事業利益で1,450百万円(同12.0%減)を予想する。
不動産業界をとりまく外部環境においては、国内金利の上昇に注意が必要であるものの、東京をはじめとする主要都市のオフィス、商業、レジデンス等に対する賃貸需要は底堅く、国内不動産への投資意欲は引き続き旺盛な状況が続く想定である。ホテル市場では、訪日外客数が月によって前年同月を下回るなど一部で伸びに鈍化が見られるものの、引き続き高水準にあり、宿泊需要は地域・マーケットにより濃淡がありながらも底堅く推移すると見込まれる。また、金融機関の融資支援姿勢にも変化は見られない。
2027年2月期は高水準で推移するストック収益が安定して獲得できていることに加え、心築事業やいちごオーナーズ事業のフロー収益が積み上がるシナリオである。オフィス分野ではトレードピアお台場が高い稼働率になっており、売却の可能性も出てきた。いちごオーナーズでは、いちご<2337>独自の強いビジネスモデルを背景に、過去最高益に向けて順調に推移する。都市部のレジデンス、中規模オフィスや商業施設など各分野で売買市場は活況であり、フロー収益の確保もしやすい環境が整っている。事業利益の意欲的な目標に対して、中間期の進捗率は45.6%となっており、弊社では十分達成可能であると見ている。
■中長期の成長戦略
強固な収益・財務基盤を背景に、AUM拡大や系統用蓄電池などの新規事業で成長を図る
同社では、リーマンショック時(2009年2月期)に大きな影響を受け保有資産を売却せざるを得なかった状況を踏まえ、外部環境変化に対応できる収益基盤・財務基盤の確立を目指してきた。その成果として、現在の同社のビジネスモデルは、「安全性」「収益性」「効率性」「成長性」「株主還元」を高次元でバランスさせたものに進化している。「安全性」に関しては、固定費の約2倍(ストック収益固定費カバー率195.7%)を安定したストック収益で賄えるため、市況変動や金利上昇リスクに対する耐性が極めて高い。金利固定化策も駆使しており、2027年2月期中間期末のコーポレート借入金は、金利固定化比率51%、加重平均金利1.69%、加重平均借入期間8.5年である。仮に不動産不況になったとしても資金繰りのために物件の売却を急ぐ必要がないのが同社の現状である。そのため「収益性」も必然的に高くなる。心築(バリューアップ)によりNOIを大幅向上させ、簿価・鑑定評価を大きく上回る利益率・キャッシュを生み出せるのが強みである。「効率性」に関しては、ROEで15.0%(通期予想)を目指す水準まで向上している。建設を外部委託するファブレス経営(いちごオーナーズ)やオフバランス(リート活用)などにより過大な資産固定化を回避し、高い資本生産性を実現する。「効率性」が高いため、余剰資本を成長投資に回すことが可能となる。「安全性」を背景にした資金調達力も相まって、事業利益の増加、AUMの成長、新規事業の創出(系統用蓄電池事業など)などで「成長性」を向上させることができており、「株主還元」の充実にもつながっている。また、こうした強い収益構造により、高配当を維持しつつ、EPSの成長を実現できている。不動産業界全体では、資材高騰の継続や金利上昇局面であり、企業経営の優劣が表れやすいフェーズに入ったといえる。その中で、既存物件を壊さず生かし、価値向上を実現する同社のビジネスモデルの強みが一層明確になると考えられる。
■株主還元策
2027年2月期は、前期比4.00円増の15.50円、DOE5.1%を予想
同社は株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、日本で導入例が少なかった「累進的配当政策」を以前から導入している。原則として「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」を明確な方針とし、企業の持続的な価値向上と長期的な株主還元にコミットするものである。過去14期連続で累進的配当政策を維持しており、安定性に定評がある。同社では利益変動に左右されない安定配当を実現できる株主資本配当率(DOE)を、早期から経営目標としており、2026年2月期のDOEは4.1%、2027年2月期からはDOE目標を「5%以上」に引き上げる。2027年2月期の配当金は年間15.50円(前期比4.00円増配)、DOE5.1%と大幅な増配を予定しており、5期連続の増配となる見込みである。
さらに同社は長期VISION「いちご2030」において「機動的な自社株買い」を掲げ、株主価値の向上策への積極的姿勢を打ち出している。この方針に沿って、2018年2月期から2027年2月期まで10期連続で自社株買いを実施しており、合計で432億円に上る。2026年2月期は98億円の実績であり、そのペースを加速させている。2027年2月期は、中間期末までに51億円を取得済みであり、新たに2026年10月15日~2027年4月30日の取得期間で上限50億円の自社株買いを決定した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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■今後の見通し
2027年2月期は、営業利益で前期比0.7%増の20,600百万円、事業利益で同21.2%増の34,000百万円、経常利益で同12.8%減の14,900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同8.2%増の18,000百万円、キャッシュ純利益で同30.1%増の24,000百万円、1株当たり当期純利益で同12.5%増の45.13円を見込んでいる(期初予想どおり)。キャッシュ創出をさらに拡大する予想であり、安定したストック収益に加えてフロー収益を伸ばし、事業利益、親会社株主に帰属する当期純利益、キャッシュ純利益で最高益更新を見込む。
心築事業では、物件売却及び子会社売却により、事業利益で18,550百万円(前期比41.7%増)と大幅な増益を予想する。ホテル事業では、リブランドオープン(宇都宮、天神)及び新規物件による賃料収益増が見込まれるが、売却を見込まないため事業利益5,150百万円(同28.7%減)を予想する。いちごオーナーズ事業では、前期未実現の売却実現により、事業利益で7,600百万円(同101.9%増)と通期での最高益を見込む。中間期は物件売却時期の下期へのシフトもあったものの、契約済み案件を含め、通期予想に向け順調である。アセットマネジメント事業では、投資法人関連成果報酬を織り込まない期初予想数値で、事業利益で1,250百万円(同45.2%減)を予想したが、中間期で既にこの予想を超えており、前期通期の事業利益(2,282百万円)を目指す展開となっている。クリーンエネルギー事業では、出力制御及びコスト(売上原価)増を見込み、事業利益で1,450百万円(同12.0%減)を予想する。
不動産業界をとりまく外部環境においては、国内金利の上昇に注意が必要であるものの、東京をはじめとする主要都市のオフィス、商業、レジデンス等に対する賃貸需要は底堅く、国内不動産への投資意欲は引き続き旺盛な状況が続く想定である。ホテル市場では、訪日外客数が月によって前年同月を下回るなど一部で伸びに鈍化が見られるものの、引き続き高水準にあり、宿泊需要は地域・マーケットにより濃淡がありながらも底堅く推移すると見込まれる。また、金融機関の融資支援姿勢にも変化は見られない。
2027年2月期は高水準で推移するストック収益が安定して獲得できていることに加え、心築事業やいちごオーナーズ事業のフロー収益が積み上がるシナリオである。オフィス分野ではトレードピアお台場が高い稼働率になっており、売却の可能性も出てきた。いちごオーナーズでは、いちご<2337>独自の強いビジネスモデルを背景に、過去最高益に向けて順調に推移する。都市部のレジデンス、中規模オフィスや商業施設など各分野で売買市場は活況であり、フロー収益の確保もしやすい環境が整っている。事業利益の意欲的な目標に対して、中間期の進捗率は45.6%となっており、弊社では十分達成可能であると見ている。
■中長期の成長戦略
強固な収益・財務基盤を背景に、AUM拡大や系統用蓄電池などの新規事業で成長を図る
同社では、リーマンショック時(2009年2月期)に大きな影響を受け保有資産を売却せざるを得なかった状況を踏まえ、外部環境変化に対応できる収益基盤・財務基盤の確立を目指してきた。その成果として、現在の同社のビジネスモデルは、「安全性」「収益性」「効率性」「成長性」「株主還元」を高次元でバランスさせたものに進化している。「安全性」に関しては、固定費の約2倍(ストック収益固定費カバー率195.7%)を安定したストック収益で賄えるため、市況変動や金利上昇リスクに対する耐性が極めて高い。金利固定化策も駆使しており、2027年2月期中間期末のコーポレート借入金は、金利固定化比率51%、加重平均金利1.69%、加重平均借入期間8.5年である。仮に不動産不況になったとしても資金繰りのために物件の売却を急ぐ必要がないのが同社の現状である。そのため「収益性」も必然的に高くなる。心築(バリューアップ)によりNOIを大幅向上させ、簿価・鑑定評価を大きく上回る利益率・キャッシュを生み出せるのが強みである。「効率性」に関しては、ROEで15.0%(通期予想)を目指す水準まで向上している。建設を外部委託するファブレス経営(いちごオーナーズ)やオフバランス(リート活用)などにより過大な資産固定化を回避し、高い資本生産性を実現する。「効率性」が高いため、余剰資本を成長投資に回すことが可能となる。「安全性」を背景にした資金調達力も相まって、事業利益の増加、AUMの成長、新規事業の創出(系統用蓄電池事業など)などで「成長性」を向上させることができており、「株主還元」の充実にもつながっている。また、こうした強い収益構造により、高配当を維持しつつ、EPSの成長を実現できている。不動産業界全体では、資材高騰の継続や金利上昇局面であり、企業経営の優劣が表れやすいフェーズに入ったといえる。その中で、既存物件を壊さず生かし、価値向上を実現する同社のビジネスモデルの強みが一層明確になると考えられる。
■株主還元策
2027年2月期は、前期比4.00円増の15.50円、DOE5.1%を予想
同社は株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、日本で導入例が少なかった「累進的配当政策」を以前から導入している。原則として「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」を明確な方針とし、企業の持続的な価値向上と長期的な株主還元にコミットするものである。過去14期連続で累進的配当政策を維持しており、安定性に定評がある。同社では利益変動に左右されない安定配当を実現できる株主資本配当率(DOE)を、早期から経営目標としており、2026年2月期のDOEは4.1%、2027年2月期からはDOE目標を「5%以上」に引き上げる。2027年2月期の配当金は年間15.50円(前期比4.00円増配)、DOE5.1%と大幅な増配を予定しており、5期連続の増配となる見込みである。
さらに同社は長期VISION「いちご2030」において「機動的な自社株買い」を掲げ、株主価値の向上策への積極的姿勢を打ち出している。この方針に沿って、2018年2月期から2027年2月期まで10期連続で自社株買いを実施しており、合計で432億円に上る。2026年2月期は98億円の実績であり、そのペースを加速させている。2027年2月期は、中間期末までに51億円を取得済みであり、新たに2026年10月15日~2027年4月30日の取得期間で上限50億円の自社株買いを決定した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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情報提供元: FISCO