*14:01JST バリューC Research Memo(1):改正空き家対策特別措置法などをきっかけに「解体の窓口」は成長局面へ ■要約

バリュークリエーション<9238>は、顧客のWebサイトへの集客を支援するマーケティングDX事業と、「解体の窓口」を運営する不動産DX事業の2事業を手掛けている。マーケティングDX事業では、運用型広告を中心に課題抽出から戦略立案、広告運用までの支援をワンストップで提供しており、特に市場規模は大きいが成熟した業界でDX化が遅れている「レガシー業界」で好評で、高い継続率と高収益・高成長を誇る。不動産DX事業では、同社がコンシェルジュとして不動産所有者であるユーザーと解体業者をマッチングする新しいサービス「解体の窓口」を運営しており、ユーザーは物件情報や写真を送るだけで、登録された全国の約1,700社(24年2月末時点)から解体業者を選ぶ仕組みになっている。2事業はいずれもストック型の収益モデルとなっている。

1. マーケティングDX事業をベースに「解体の窓口」の強化によって中長期成長を目指す
2024年2月期の売上高構成比は、収益基盤のマーケティングDX事業が96%、不動産DX事業はまだ4%である。しかし、2事業はシナジーが強く、「解体の窓口」でマーケティングDX事業のノウハウを低コストで利用する一方、不動産DX事業で蓄積しつつあるノウハウをマーケティングDX事業の顧客支援に活用している。なかでも「解体の窓口」は、「逆オークション」などサービスの独自性により解体のハードルを下げたことで、サービス開始から4年に満たないなか、既に24,000件を超えるユーザーを集めている。加えて改正空家等対策の推進に関する特別措置法(以下、空き家対策特別措置法)の施行もあり、急成長する可能性が高まってきた。このため、マーケティングDX事業のオーガニックな成長をベースに、「解体の窓口」の機能向上や解体後のビジネス開発などによって、中長期的な成長を目指す考えである。

2. 不動産DX事業への注力、土地情報を起点としたプラットフォーマー化など成長戦略を推進
同社は成長戦略として、マーケティングDX事業の継続的成長、不動産DX事業への注力、土地情報を起点としたプラットフォーマー化、他領域におけるプラットフォーム事業構築を推進する方針である。マーケティングDX事業の継続的成長では、レガシー業界をメインターゲットに営業を強化し、顧客1社当たりの支援品質の向上を推進する。不動産DX事業への注力では、人員や営業体制を強化してマッチング需要と解体後のニーズ拡大に備え、「解体の窓口」事業の拡大を目指す。土地情報を起点としたプラットフォーマー化では、クロスセルによる不動産DX事業の深掘りと土地情報のID化によりプラットフォーマーとしての進化を図る。他領域におけるプラットフォーム事業構築では、不動産DX事業に次ぐ新たなプラットフォームビジネスの開発・展開を検討している。

3. 改正空き家対策特別措置法などを考慮すると2025年2月期業績はやや保守的
2024年2月期の業績は、売上高2,948百万円(前期比4.4%増)、営業利益172百万円(同52.3%増)となった。国内インターネット広告市場が持続的に成長するなか、新規顧客の獲得と既存顧客の取引拡大に注力したマーケティングDX事業が好業績をけん引した。不動産DX事業では「解体の窓口」の強化に努めた。同社は2025年2月期業績見通しに関して、売上高3,238百万円(同9.8%増)、営業利益179百万円(同3.9%増)を見込んでいる。マーケティングDX事業ではレガシー顧客への営業や人材の強化を、不動産DX事業では業務提携先との連携により解体後のキャッシュポイント(収益を生み出す機会)の多様化を目指している。しかし、上場による知名度や信頼性の向上、改正空き家対策特別措置法施行の効果などを考慮すると、やや保守的な予想と言うことができよう。

■Key Points
・シナジーの強い一貫サービスのマーケティングDX事業と「解体の窓口」の不動産DX事業を展開
・不動産DX事業への注力、土地情報を起点としたプラットフォーマー化などの成長戦略を推進
・改正空き家対策特別措置法施行の効果などを考慮すると、2025年2月期の業績予想はやや保守的

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

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情報提供元: FISCO
記事名:「 バリューC Research Memo(1):改正空き家対策特別措置法などをきっかけに「解体の窓口」は成長局面へ