■事業概要

5. 同社の強み
サクシード<9256>の強みは、ポートフォリオ経営と自社マーケティングチームにある。ポートフォリオ経営は、個別指導教室の運営事業、家庭教師の紹介事業、教育と福祉の人材事業の3本柱を有することで、社会・法制度が変化しても成長の可能性の高い分野(柱)に経営資源を投下することで、成長性と収益性を安定的に確保することができる。また、リスク分散、シナジー効果、参入障壁の構築といった効果も得られる。特にシナジー効果については非常に特徴的であり、登録者のデータベースが「人材バンク」として、ポートフォリオのなかで強いシナジー効果を発揮している。この3事業を同時に行っている企業が上場企業に見当たらないことも特徴的と言えよう。

同社は多数の自社求人サイトを有しており、人材不足が深刻な教育関連の領域で専門性の高い職種に特化した人材サービスを展開している。その際、時宜に合わせて有効な募集サイトやLP※を制作し、細分化された登録者のデータベースを構築しているのが自社マーケティングチームで、2つ目の強みである。人材紹介・派遣は、同じ業種内、職種内においても、求職者も求人企業もそれぞれ個別に持つニーズに様々な違いがある。ここがミスマッチの根源と言うこともできる。そのため、自社マーケティングチームがまず、求職者のニーズを細かく拾うため、職種を細分化した数多くの自社媒体・LPを制作し、求職者の入り口とする。一般的な人材サービス企業が業種単位で募集するのとは全く細かさが違うのである。そのうえで担当者が登録者から詳細にヒアリングするため、ニーズがさらに細分化される。その結果、細かくセグメントされた専門性の高い人材を大量にデータベース化することができる。また、教育・福祉関連に絞り込んでいるため、すべての登録者においてピンポイントか、少なくともニアなマッチングが可能となる。さらに、事業ポートフォリオ内でこうした情報が共有され、各事業で利用されることでより大きなシナジーが生まれている。結果、例えば学習塾と講師を単に引き合わせるだけでなく、学力重視の進学塾には御三家の問題を初見で解くような学力の高い講師を、雰囲気重視の補習塾へは明るい雰囲気の面倒見のよい講師を紹介するというように要望に答えたマッチングが可能となり、結果として講師の退職率も極めて低くなるという算段である。また、自社内にマーケティングチームを持つため、日々変化する求職者や求人企業のニーズに機動的に対応し、迅速に募集サイト・LPを制作することができることも強みである。

※Landing Pageの略。様々な切り口から求職者を集める数ページのミニサイト。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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情報提供元: FISCO
記事名:「 サクシード Research Memo(7):強みはポートフォリオ経営と自社マーケティングチーム