■要約

神戸物産<3038>は農畜産物の生産から製造加工、小売販売まで自社グループで行う食の製販一体企業として国内トップ企業である。食品スーパーの「業務スーパー」をFC展開するほか、外食事業やエコ再生エネルギー事業も行っている。店舗の徹底的な「ローコストオペレーション」と自社グループ商品の開発・生産技術力、輸入商品調達力を強みとし、顧客ニーズに合う商品をベストプライスで提供し続けることにより成長を続けている。

1. 2020年10月期第2四半期累計業績の概要
2020年10月期第2四半期累計(2019年11月-2020年4月)の連結業績は、売上高で前年同期比21.8%増の176,069百万円、営業利益で同32.9%増の12,393百万円と2ケタ増収増益となり、5月20日に上方修正した会社計画(売上高176,000百万円、営業利益12,000百万円)を上回る好決算となった。主力の業務スーパー事業が新規出店効果に加えて直轄エリアの既存店向け商品出荷額の伸長により、売上高で前年同期比24.3%増の157,586百万円、営業利益で同34.0%増の13,300百万円と大きく伸長したことが要因だ。業務スーパーの店舗数は九州直轄エリアでの出店が好調で前期末比17店舗増の862店舗に拡大した。また、直轄エリアの既存店向け商品出荷額は前年同期比19.3%増と驚異的な伸びとなった。第1四半期はメディア露出効果と消費税増税に伴う低価格志向の高まりを受け、10%台前半の伸びで推移していたが、第2四半期に入って新型コロナウイルス感染症の拡大による外食控えと内食需要の高まりを受けて伸びが一気に加速し、2020年4月には前年同月比31.0%増と大幅増を記録した。来店客の年齢層が広がっており、客数の増加も成長の加速要因となっている。賞味期限が長い商品や手軽に調理できる商品などが特に好調で、PB商品の比率も前年同期の30.88%から31.38%に上昇した。

2. 2020年10月期業績見通し
2020年10月期の連結業績は、売上高で前期比4.1%増の311,800百万円、営業利益で同5.5%増の20,300百万円と期初計画を据え置いた。新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たず、先行き不透明な状況であるためだ。業務スーパー事業の業績前提として、「業務スーパー」の店舗数は前期末比30店舗増の875店舗、直轄既存店向け商品出荷額は前期比2~3%増を想定している。店舗数については2020年6月末で19店舗増となっており、計画達成は射程圏に入っている。また、直轄エリアの既存店向け商品出荷額は5月も前年同月比24.1%増と依然、好調に推移している。緊急事態宣言が解除されたことから、6月以降は伸び率も鈍化することが予想されるが、それでも引き続き計画を上回る伸びが続く可能性が高いと弊社では見ている。物流拠点の増設や製造子会社の能力増強投資なども順次進んでおり、商品の供給不足問題も解消する見通しだ。このため、2020年10月期業績も会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。

3.中期経営計画について
同社は中期経営計画の最終年度となる2022年10月期に連結売上高で3,467億円、営業利益で230億円を目標に掲げているが、計画を大きく上回るペースで推移していることから、前倒しで達成する可能性も見えてきた。店舗数についてはFCオーナーの投資意欲が旺盛で、今後も関東、九州エリアを中心に拡大していくものと予想される。製造面では、既存工場の能力増強投資に加えて、2020年4月に(株)サラニから洋菓子製造工場を譲受し、新たにパウンドケーキ等のデザート類のPB商品拡充を図っている。今後も業務スーパーの店舗数拡大や自社グループ工場での魅力的なPB商品の開発製造を進めることで収益成長が続くものと弊社では予想している。

■Key Points
・業務スーパー事業の高成長が続き、2020年10月期第2四半期累計業績は期初計画を上回る増収増益に
・2020年10月期下期も業務スーパー事業は堅調が続く見通しで、通期業績は計画を上振れする公算大
・業務スーパー事業は既存店の売上拡大と店舗数の増加により、中期的に成長が続く見通し

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




<ST>

情報提供元: FISCO
記事名:「 神戸物産 Research Memo(1):コロナによる内食需要の高まりを追い風に業務スーパーの快進撃続く