ナノキャリア<4571>は14日、2020年3月期第3四半期(19年4月-12月)決算を発表した。売上高が前年同期比29.6%増の4.35億円、営業損失が9.32億円(前年同期は14.73億円の損失)、経常損失が9.69億円(同14.60億円の損失)、四半期純損失が11.37億円(同14.60億円の損失)となった。

主要パイプラインの進捗状況として、シスプラチンミセル(NC-6004)は、ライセンス先であるOrient Europharma Co., Ltd.(台湾)と共同でグローバルに臨床試験を推進している。欧米地域において、頭頸部がんを対象にNC-6004及び免疫チェックポイント阻害剤「キイトルーダ(R)」との併用による第II相臨床試験として、2019年7月より投与を開始した。エピルビシンミセル(NC-6300)は、対象疾患を第I相パート試験で有効性が示唆された軟部肉腫の一種である血管肉腫に絞り、有効性及び安全性を確認する拡大試験として、2019年10月に投与を開始した。パクリタキセルミセル(NK105)は、ライセンス先の日本化薬< 4272>から、乳がんを対象に第II相臨床試験を実施中の旨発表されている。

導入パイプラインの進捗状況として、Vascular Biogenics Ltd.(イスラエル、以下「VBL」)から国内の開発及び販売権に関するライセンスを取得した遺伝子治療薬「VB-111」は、現在、同社が米国を中心にプラチナ抵抗性卵巣がんを対象に第III相臨床試験を実施している。2020年1-3月に中間解析が実施される予定。2019年11月、同製剤の国内取り扱いに関し、遺伝子組み換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律に基づく第一種使用等の厚生労働大臣・環境大臣連名による承認を取得し、国内臨床開始に向けた準備を併行して進めている。セオリアファーマと共同開発を行っている耳鼻咽喉科領域における開発候補品(ENT103)は、国内において中耳炎を対象とした第III相臨床試験として、2019年5月に登録を開始している。2019年4月、エイオンインターナショナルから「Acti-PRP(血球細胞分離機)」の国内販売権を取得した。婦人科領域における不妊治療への応用として、産婦人科PRP研究会の会員施設に対し「Acti-PRP」を販売し、あわせて臨床研究のサポートも推進している。

新規開発パイプラインは、同社独自の先進基盤技術である抗体/薬物結合型ミセル「ADCM(Antibody/Drug-Conjugated Micelle)」を次世代型DDS医薬品技術として開発している。JCRファーマとの間では、脳内デリバリー創薬に関する共同研究契約を締結し、両社が持つ技術や知見を融合し、革新的な脳内デリバリー医薬品の実現を目指した共同研究を推進している。

化粧品事業については、アルビオンとの共同開発製品であるスカルプトータルケア製品「Depth(デプス)」事業を共同で推進している。さらに、化粧品開発における皮膚浸透性の研究を基に、皮膚科領域における医薬品開発の可能性を見いだしており、今後、皮膚科領域での医薬品にも応用展開を目指している。

2020年3月期通期の業績予想については、売上高が前期比17.0%増の5.81億円、営業損失が15.20億円、経常損失が15.36億円、当期純損失が14.50億円とする期初計画を据え置いている。




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情報提供元: FISCO
記事名:「 ナノキャリア--3Qも2ケタ増収、主要パイプラインの開発推進、新規パイプラインの探索、提携先の開拓などを推進