■クオールホールディングス<3034>の会社概要

3. BPO事業
BPOとはBusiness Process Outsourcing(業務プロセスの一部を継続的に外部の専門的な企業に委託すること)の略であり、BPO事業セグメントは他社からの業務受託がその基本的な内容となっている。具体的には、CSO事業、紹介派遣事業、CRO事業、出版関連事業の4つの業務を展開している。

(1) CSO事業
CSOとはContract Sales Organization(医薬品販売業務受託機関)の略で、その具体的な業務内容はMR(Medical Representative、医薬情報担当者)の派遣業務だ。事業主体であるアポプラスステーションは自社でMRを採用し、契約先の製薬企業に対してMRを派遣している。

MRは本来的には製薬企業の正社員として雇用され、当該企業の製造・販売する医薬品について医師や医療機関に対して営業活動を行っている。しかしながら、固定費削減の狙いから、MR業務をアウトソーシングし、必要な時(例えば新薬発売時)に必要なだけ契約ベースで外部のMRを利用することが大きな潮流となっている。こうしたMRは製薬企業の正社員MRと区別してCMR(コントラクトMRの略)と呼ばれ、アポプラスステーションが抱えるMRはこれに当たる。

CSO事業はBPO事業セグメントの中で圧倒的に大きなウエイトを占め、中核事業という位置付けとなっている。CSO事業と後述する医療従事者を中心とする一般の紹介・派遣事業とを合わせた売上高は、BPO事業セグメントの約90%を占めるとみられる。したがって、BPO事業を見る上では、CSO業界の事業環境及び医療従事者の労働需給動向が重要なポイントと言える。

(2) 紹介派遣事業
紹介派遣事業は文字どおり、医療従事者を対象とした紹介派遣事業がその内容となっている。同社の主力事業である保険薬局事業とのシナジーを追求すべく薬剤師を中心に展開しているが、同社の特長は薬剤師以外にも看護師・保健師や登録販売者、管理栄養士など、多職種の医療従事者を対象としている点にある。そしてその中で医師を対象としていない点も特徴的だ。

事業の中核を占める薬剤師については、業種別派遣者数ランキングで業界トップ10に食い込む規模と推定される。既述のように国内トップクラスの調剤薬局チェーンを展開する知名度の高さが貢献していると考えられる。

医療業界における恒常的な人手不足を背景に同社の紹介派遣事業は急成長が続いており、BPO事業の中でCSO事業と並んで成長事業と位置付けられている。今後の注目点は中心分野の薬剤師の紹介派遣事業だ。2019年の薬機法改正は調剤薬局と薬剤師の在り方にも影響を与えることが想定され、それが紹介・派遣事業にどういう影響を与えるのか、変化に対して同社がどのように対応してそれを収益機会として取り込み、高成長を継続させていくのか、注目される。

(3) CRO事業
CROはContract Research Organization(医薬品開発業務受託機関)の略だ。CRO事業では医療用医薬品、OTC薬品、食品、ヘルスケアの各領域において、治験・臨床研究に関して企画からパブリケーションまでトータルソリューションを提供している。最も典型的な業務は、製薬企業から委託を受けて、医薬品開発の際に医療機関において行われる臨床試験をトータルでサポートするというものだ。

(4) 出版関連事業
出版関連事業は子会社のメディカルクオール(株)が行っている。医薬品の販売促進用資料や、医療関係者・患者向けのパンフレット、書籍、雑誌等の受託制作が主な内容だ。同社は、保険薬局事業やCSO・CRO各事業等を通じて、医療機関と患者の双方について深い知見及び商流を有しており、それを生かした事業と言える。近年はデジタル化の流れに沿って顧客のために自社内にスタジオを設置し、顧客のWeb配信へのサポート事業も展開している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 クオールHD Research Memo(4):コントラクトMR派遣のCSO事業を中核にCRO事業など4つの事業を展開