■中期経営計画

1. 中期経営計画
国内の法人向けパソコン市場は、2020年に予定されるWindows7のサポート終了を機にWindows10搭載機へのパソコンの入れ替えが加速するため、2019年〜2020年序盤は特需が発生するも、2020年中盤〜2021年は特需の反動減からパソコン販売が低迷すると見られている。一方、国内の情報セキュリティ市場は、クラウド環境の進展によって個人や法人のインターネット上での活動範囲が広がってきていることから、市場規模が拡大傾向にある。加えて、東京オリンピック・パラリンピックほか今後開催される国際イベントを背景に、重要インフラに対するサイバー攻撃の懸念が増しており、個人や法人、政府関係機関を問わず、万全なセキュリティ対策が求められている。こうした事業環境を背景に、ハイパー<3054>は、法人向けパソコンの入れ替え需要を積極的に取り込む一方で、セキュリティ対策やクラウドなどを利用したストックビジネスを拡大していく考えである。さらに、広い意味でストックビジネスと見なされるアスクルエージェント事業で、順調な収益拡大を見込んでいる。これらにより3回目のイレギュラーな決算の懸念を払拭し、2021年12月期に売上高27,000百万円、営業利益630百万円を目指す。


クラウド、セキュリティなどストックビジネスが中期成長をけん引
2. 重点施策
そのための重点施策は、ITサービス事業の拡大と生産性の向上、新規事業の開発、企業価値の向上の3つである。ITサービス事業の拡大と生産性の向上では、サービス拡充を図るためエンドユーザーと直結するビジネスの拡大を始め、同社ITサービス事業を補完する後述の子会社によるセキュリティ製品の販路拡大と販売強化、クラウドなどストックビジネス(顧客のストック化)強化による収益拡大、アスクルエージェント事業の営業強化を進める計画である。新規事業の開発では、企業をトータルにサポートする分野への事業展開や、顧客基盤を生かしたより広いサービスの提供を目指す。企業価値の向上では、事業戦略実現の手段として積極的にM&Aを活用するとともに、東証1部上場を目指す。こうした重点施策のもとで、クラウド、セキュリティ、ソロエルアリーナが同社の中期成長をけん引する事業となりそうだ。


子会社はセキュリティ関連のキーカンパニー
3. 事業別の重点施策
(1) ITサービス事業
ITサービス事業で足もと好調なのは、パソコンに加え、圧倒的な印刷速度と低消費電力を誇るエプソンのオフィス向け高速ラインインクジェット複合機・プリンタで、競合の取扱いが少ない差別化商品である。こうした差別化商品の販売を進めるほか、サービス面でも差別化を強めている。同社サービスサイト「ハイパーサービス&サポート」で、ITインフラの構築や保守、オフィス移転やレイアウト変更などのサービスを展開している。さらにクラウドの隆盛に対して、ソフトウェアのクラウド化やSaaS/クラウドの導入支援を含めたサービスを提供、クラウドビジネスの開発やクラウドメーカーとの協業(新たなスキームとチャネルの開拓)も進め、ストックビジネスを強化する方針である。また、「Microsoft Office365」を中心とした法人向けSaaS販売・契約管理プラットフォーム「さーす丸」では、クラウドファーストに対応したサービスを展開していく考えで、他社製品も含めてサービスを順次拡大しており、社内で管理するソフトが多い企業に好評である。

(2) セキュリティ関連などの子会社
子会社の機能も積極的に活用する考えである。(株)リステックは、小規模卸やコピー機ディーラーなどをターゲットに、セキュリティシステムを搭載したサーバーなどを製造卸売している。現在、販売会社の新規開拓と関係強化、異業種企業とのコラボレーションによるチャネル拡大などを図るとともに、顧客ニーズを取り込んだセキュリティ製品のストックビジネス化を進めている。大企業向けセキュリティ関連製品の販売に特化している(株)セキュリティアは、顧客ニーズに応える提案・導入支援やトレンド商品の拡充など営業を強化する一方、中規模企業向けにもセキュリティ支援サービスを提供する方針である。マルチネット(株)は、雪印メグミルク<2270>やコニカミノルタ<4902>など大手企業に対してシステム・経営の両面からITソリューションを提供しており、グループの大手法人顧客の窓口にもなっている。このように同社は、子会社を通じてストックビジネス化しやすいセキュリティ関連の販売やサービスを強化しており、2021年12月期にはセキュリティ製品の売上高16億円を目指している。

(3) アスクルエージェント事業
アスクルエージェント事業では、ITサービス事業のエリア拡大や他社エージェントの買収・継承を背景に継続的に成長している。加えて、アスクル専任営業を各拠点に配置し、地の利を生かした営業活動を展開することで、顧客数の増加を図っている。なかでもソロエルアリーナを強化することで、顧客窓口の共有による複数サービスの提供などITサービス事業とのシナジーをより拡大、顧客の囲い込みやストックビジネス化につなげ、一方で中規模のみならず小規模~大企業の新規開拓も推進する方針である。アスクルエージェント事業とITサービス事業の連携効果への期待は非常に高く、2021年12月期にはアスクルエージェント事業の売上高110億円を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 ハイパー Research Memo(4):ストックビジネス強化で2021年12月期に営業利益630百万円を目指す