■成長戦略

テックファームホールディングス<3625>は今後の成長戦略として、業界特化型のITソリューション並びにプラットフォームの開発・運用などを横展開で推進し、安定収益基盤を積み上げながら、中長期的な成長を目指していく戦略となっている。このため、ここ最近はEBEやJAGのように戦略的なM&Aや業務提携を活発化させている。自動車アフターマーケット、アグリテック市場以外の取組み状況は以下の通りとなる。

ee-TaB*に関しては、「客室オーダー機能」としてレストランでのオーダー受付やタクシーの呼び出し機能、清掃機能など逐次、機能の拡充を進めていることもあって、ホテルや旅館での導入が着実に広がり始めており、当面の目標である導入客室数5,000室も視野に入ってきた。全国のホテルの客室数は約84万室で、旅館も含めると150万室を超えており、潜在需要は依然大きく、導入室数は今後も右肩上がりに拡大していくことが予想される。現在の売上規模はまだ小さいものの、ストックビジネスとなるため損益分岐点を超えれば安定した収益源として同社の業績に貢献するものと期待され、2020年6月期からの収益貢献が見込まれる。

カジノ関連では米国市場の動きが鈍いため、国内での取り組みを徐々に進めている。2018年7月にカジノを含む統合型リゾート施設(IR)実施法案が成立し、国内で3ヶ所を上限に設置されることが決定したためだ。開設は早くても2020年代前半になると見られ、業績への貢献はまだ先だが、米国で導入を目指してきたモバイル電子決済ソリューションの受注を目指していくことになる。

そのほか、(株)三輝との合弁会社である(株)サンキテックで展開する住宅リフォーム支援事業も注目される。住宅リフォームの見積もりシステムを中小工務店向けに開発・販売している。住宅リフォーム市場は年々拡大しているものの、業者によって見積もり方法や作業工賃などが様々で、リフォーム費用の不透明さが業界全体の課題となっている。サンキテックの見積もり作成支援パッケージソフトを導入すれば、迅速かつ明確な形で顧客に見積もり費用等の提案が可能となるため、工務店の業務効率向上にも寄与し、今後の成長期待は大きい。導入価格は約200万円で、これにデータベースの更新料や保守・メンテナンス料が定期的に発生する格好となる。

サンキテックの売上実績としては2017年6月期実績で約10百万円だったが、2017年8月にサービス等生産性向上IT導入支援事業の補助金対象サービスの1つに選ばれたことや、住宅リフォーム市場が拡大していることも追い風に、2018年6月期の売上高は1億円前後になったものと思われ、足元では単月ベースで黒字化している。今後、事業規模が拡大した段階で子会社化する予定となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 テックファム Research Memo(5):業界特化型ITプラットフォームの横展開を進め、持続的な成長を目指す