■要約

イグニス<3689>は、スマートフォン向けネイティブアプリの企画・開発・運営・販売等を主力としている。「コミュニティ」「ネイティブゲーム」「メディア」の3つのジャンルを事業の柱とし、ゲーム及び非ゲームの領域で独自のポジショニングを確立してきた。また、新規事業としてVRやAI、IoTなどにも挑戦している。ここ数年、過去の業績を支えてきた小規模アプリ中心から、コミュニティ領域などライフタイムの長い中・大規模アプリへ開発リソースをシフトすることによる収益構造改革に取り組んできたが、その成果が具体的に形となってきた。ロングセラーゲームとして安定運営を持続している「ぼくとドラゴン」(ネイティブゲーム)に加えて、足元ではオンライン恋愛・婚活サービス「with」(コミュニティ)が着実に伸びてきた。さらには、様々な新規事業も動き出しており、新たな成長ステージを迎えている。

2018年9月期第1四半期の業績は、売上高が前年同期比9.0%減の1,289百万円、営業損失が247百万円(前年同期は148百万円の利益)と減収減益となり、営業損失に落ち込んだ。減収となった主な要因は、リリースから3年を経過した「ぼくとドラゴン」(ネイティブゲーム)の新規ユーザー獲得縮小である。もっとも、ライフサイクルの成熟期に入ってきたことから、プロモーション費用を抑えたことも影響しており、利益面での貢献は依然として大きい。一方、市場が拡大しているオンライン恋愛・婚活サービス「with」(コミュニティ)のほか、新たに立ち上がった「TLUNCH」※(メディア(その他))が大きく伸びている。損益面では、減収による収益の押し下げのほか、「with」を中心とした広告宣伝費や新規事業の開発・立ち上げに向けた研究開発費など、先行費用の拡大により営業損失に落ち込んだ。ただ、これらの先行費用は想定内であり、ほぼ計画どおりの進捗とみられる。

※土地オーナーとフードトラック事業者をマッチングさせるフードトラック・プラットフォーム。


なお、注目される新タイトル「メガスマッシュ(コードネームGK)」(ネイティブゲーム)については2018年3月28日にiOS版とAndroid版を同時リリースした。VR事業においては新たな大型プロジェクト(VR空間上でライブを開催したり、ライブに参加することができる自社開発プラットフォーム※)の本格始動についても公表しており、これらの動向に注目すべきである。また、新規事業投資を目的としたファイナンス計画(新株予約権によるターゲット・イシュー・プログラム等)も発表されている。

※Virtual Live Platform「INSPIX」(商標登録出願中)。


■Key Points
・2018年9月期第1四半期の業績は減収減益(営業損失)となるが想定内の進捗
・新タイトル「メガスマッシュ」は配信開始に向けて最終段階(2018年3月28日にリリース)
・VR事業で新たな大型プロジェクト(VRを活用した自社開発プラットフォーム)も本格始動
・2018年9月期も増収予想ながら、今後の成長に向けた投資フェーズが継続する見通し
・新規事業投資を目的としたファイナンス計画(タ—ゲット・イシュー・プログラム等)も発表

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 イグニス Research Memo(1):新作ゲームは配信開始に向け最終段階。VRを活用した大型プロジェクトも本格始動