■イデアインターナショナル<3140>の事業セグメント別詳細

(2)住関連ライフスタイル商品小売事業(「小売事業」)

a)全体動向
小売事業は、直営店舗(一部、フランチャイズ(FC)店もあり)の運営事業とEC(自社EC)の2つの要素から構成されている。売上高の構成比では店舗小売りの割合が圧倒的に高いが、成長性ではECが高く、ECは店舗投資がない分利益率の高いため、成長戦略の1つとして同社がEC強化に注力しているという状況にある。

店舗小売りにおいては、インテリア雑貨・キッチン雑貨を扱う「IDEA SEVENTH SENSE」、オーガニック化粧品「Terracuore」、トラベル用品の「TEAVEL SHOP MILESTO」の3業態(及びそれらの派生ショップブランド)を運営している。これは商品のブランドをグループ別に、インテリア・キッチン雑貨の「BRUNO」、オーガニック化粧品の「Terracuore(テラクオーレ)」、トラベル用品の「MILESTO(ミレスト)」の3つに集約したことに対応させたものだ。

同社は過去のリストラ期において、インテリア雑貨やオーガニック化粧品の店舗の整理を進め、一方で、ここ1〜2年は販売好調なトラベル用品店舗の拡大を行ってきた。2016年9月現在では、全国の主要都市のランドマーク的商業施設などに、21店舗を展開している(一部は複数ブランドが店舗を共用している)。

b)店舗小売りの状況と出店戦略
2017年6月期第1四半期の小売事業の売上高は前年同期比1.4%増の572百万円だった。このうち店舗小売りは約490百万円で、前年同期比ほぼ横ばいだったとみられる。しかしその内容には大きな変化があり、自社ブランド『MILESTO』で展開するトラベル用品の構成比が全体の50%近くに達した。前年同期では構成比が25%~30%程度だったのと比べると大きく躍進した。このことは、小売事業の店舗小売りにおいても自社ブランド商品の売上構成比が上昇したことを意味している。

他方、オーガニック化粧品とインテリア雑貨は減収となっているが、オーガニック化粧品については店舗取扱いを絞り込む一方でECでの拡販に切り替えを進めているところだ。インテリア雑貨については、店舗網再編の影響で減収になったとみられる。

同社は2017年6月期において15店舗の新規出店を計画している。今第1四半期は1店舗の新規出店にとどまったことが店舗売上高の伸び悩みとセグメント営業利益の減益につながったと考えられるが、この点について懸念する必要はないと弊社では考えている。

足元では、同社にとって出店の環境は好転してきている状況だ。現在、ショッピングモール等の商業施設においてアパレル店舗の閉店が相次いでいる。商業施設の運営者(デベロッパー)が空いたスペースの後継テナントとして雑貨業界に注目しているのが今の状況だ。同じアパレル業種で後継テナントを探すのが困難だからだ。その中で同社は、商品のブランド認知度が向上してきていることもあり、デベロッパーからの出店要請が数多く寄せられている状況だ。

アパレル店舗の跡地は同社が運営する店舗には大きすぎるケースも多い。これに対して同社は、複数の店舗業態・ブランドを展開している強みを生かし、複数の業態を組み合わせるハイブリッド型店舗などで対応していく方針だ。ハイブリッド型店舗はこれまでに、アミュプラザ博多(TEAVEL SHOP MILESTO/Terracuore)と有楽町マルイ(IDEA SEVENTH SENSE/Terracuore)で展開してきたが、今第1四半期にルミネ池袋(IDEA SEVENTH SENSE/Terracuore)を出店し、3店舗となった。今後も立地条件に応じてハイブリッド型店舗を拡大させていく計画だ。

第1四半期は1店舗(ルミネ池袋)の出店にとどまったが、現状は6店舗の出店が確定し、準備を進めている状況だ(立地、業態等の詳細情報は、営業戦略の観点から開店まで非公表)。前述した新規出店の事業環境好転を追い風に、通期ベースでの15店出店を目指して、今後も立地等の調査・交渉を行う計画だ。

c) EC事業の動向
ECは、事業セグメント上は小売事業に含まれている。同社が認識するEC売上高は、自社のECプラットフォーム(自社本店サイト及び楽天支店、Yahoo!ショッピング支店など)の売上高と、他社のECプラットフォームでの売上高の合計から成り立っている。この合計は小売事業の売上高について業態別内訳の1項目“インターネット販売高”として公表されている(ただし、本決算時のみ)。

同社がより重要視するのは、自社ECだ。自社EC売上高は今第1四半期も前年同期比31%増と順調に伸長し、70百万円を超えたとみられる。内容においてはオーガニック化粧品のTerracuoreが前年同期比横ばいにとどまった一方、インテリアが大きく伸長した。

インテリアには、キッチン雑貨も含まれており、第1四半期の伸びのけん引役はここでもホットプレートやホットプレートの各種オプション商品にけん引されたキッチン雑貨だったもようだ。ホットプレートは焼肉や野菜のグリルに適したグリルプレートやパンケーキや目玉焼きが焼けるマルチプレートなどのオプションが充実しているため、季節性が薄れてきていると考えられる。

小売市場におけるEC売上高の比率は上昇が続いている。また、ECは卸売や店舗小売りに比べて収益性が高いと推測される。こうしたなか、同社はホットプレートというヒット商品を中核にして、ECにおいてもキッチン雑貨の販売を今後も伸ばしていくと弊社では予想している。また、キッチン雑貨以外の分野においても、以下で詳述する新製品を突破口に、再び増収基調に戻ってくると期待している。こうした狙いどおりに売上高が拡大すれば収益性が高い業態だけに全社への利益貢献も実体的なものになってくると期待している。

d)トピックス:新シリーズ『Terracuore Notes』
同社は今般、新ブランド『Terracuore Notes』(テラクオーレ ノーツ)を発表した。“Note”とは「香調」のことで香りの調子、ニュアンスを指す。同社はTerracuoreブランドでオーガニック化粧品を、また、BRUNOブランドでインテリア雑貨やキッチン雑貨などライフスタイルグッズを展開している。 Terracuore Notesは両者のコンセプトを取り込んで、インテリアの重要な要素の1つとして香りを取り入れ、心地よい空間を演出しようというものだ。

具体的には、インテリアフレグランス雑貨とバス&ボディ製品が製品グループとして展開され、インテリアフレグランス雑貨の中ではファブリックミストやルームミスト、アロマオイル等が、バス&ボディ製品ではシャワージェルやボディスクラブなどが発売される予定だ。

発売開始は2017年1月末の予定で、卸売、小売の両事業で展開される見込みだ。現在までに、取引先からは全般に好感触が得られており、順調な立ち上がりを見せると期待されている。スメルハラスメント(スメハラ)という造語が浸透していることの裏返しとして「香り」に対する潜在的ニーズは高いと考えられる。インテリアフレグランス雑貨は新しい市場ではないが、成長余力が大きい市場だ。また、意識面で男女差が大きいイメージがある市場だ。Terracuore Notesの特長・強みの1つとして“ユニセックスなギフト感”が挙げられており、女性のみならず男性ユーザーを掘り起こすことで潜在成長性は一段と大きくなると期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 イデアインター Research Memo(4):ハイブリット型の大型店舗出店へ