デリカフーズ<3392>は外食・中食業界向けにカット野菜、ホール野菜を卸す、いわゆる「業務用の八百屋」の国内最大手であると同時に、野菜の機能性に早くから着目し、農産物の分析研究においても、国内で他の追随を許さないデータベースを蓄積している。顧客企業に対して、こうした研究成果を生かした野菜を中心とした健康に導くメニュー提案をできることが強みで、「農と健康を繋ぐ付加価値創造型企業」として更なる成長を目指している。

2016年11月10日付で発表された2017年3月期第2四半期累計(2016年4月−9月)の連結業績は、売上高が前年同期比7.4%増の16,695百万円、経常利益が同5.3%減の199百万円と増収減益決算となった。売上高は新規顧客の開拓や既存顧客での取引シェア拡大が順調に進んだことに加えて、2015年4月に開設した奈良FSセンターの稼働率が向上したことにより計画を上回って推移したが、7月以降の天候不順や台風の上陸などにより、野菜が全般的に不作状況となり、調達価格の上昇や品質悪化による作業効率の低下や廃棄ロスが増加したこと、並びに6月に開設した西東京FSセンターの立ち上げ費用等の負担増が響いて、利益面では減益となった。

2017年3月期通期の業績は、売上高で前期比6.1%増の33,500百万円、経常利益で同20.9%減の560百万円を見込む。野菜価格高騰の影響が少なくとも年内は続くことや西東京FSセンターの立ち上げ負担増により、利益ベースで期初計画を下方修正した。なお、西東京FSセンターでは業界初となる「真空加熱野菜」の量産ラインを導入、今後の主力商品の1つとして育成していく。外食企業では人手不足が慢性化しており、簡単に調理できる食材が求められていることに対応する。外食企業からの引き合いは旺盛で、2017年3月時点では月間20百万円まで売上規模が拡大する見通し。7月には奈良FSセンターでも生産を開始したほか、11月には名古屋工場でも生産を開始する予定となっており、3年後に10億円の売上規模を目指す。

2018年3月期からスタートする次期中期経営計画については、2017年2月の第3四半期決算と同時に発表する予定となっている。今までの営業戦略を継続していくことに加えて、真空加熱野菜など高付加価値事業の育成や、物流機能の内製化、受発注機能の一元化を進めることで、収益成長を図っていくものと見られる。東京オリンピック・パラリンピックに向けて需要拡大が見込まれる関東エリアにおいて、新工場の建設も視野に入っているほか、天候不順に起因する野菜調達リスクを軽減するため、海外調達ネットワークの強化も引き続き進めていく方針だ。

■Check Point
・17/3期2Qは増収減益、減益は天候不順や台風被害が影響
・間接業務の効率化に向けて物流業務の一部内製化を開始
・17/3期の1株当たり配当金は前期比横ばいの15円

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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情報提供元: FISCO
記事名:「 デリカフーズ Research Memo(1):「真空加熱野菜」の量産ラインを導入、主力商品の1つとして育成