東京金融取引所(TFX)が手掛ける取引所為替証拠金取引「くりっく365」は、2022年11月の取引数量が前月比16.4%減の302万5504枚、1日の平均取引数量は13万7526枚と前月比で減少した。月末時点の証拠金預託額は4656.10億円と前月比で46.51億円減少した。取引通貨量では、米ドル、メキシコペソ、南アフリカランド、豪ドル、トルコリラの順となった。一方、取引所株価指数証拠金取引「くりっく株365」は、11月の取引数量が前月比35.4%減の535万1720枚、1日の平均取引数量は24万3261枚と前月比で減少した。月末時点の証拠金預託額は776.80億円となり、前月比で21.14億円の減少となった。

取引数量トップは米ドル・円で153万2990枚(前月比4.9%減)だった。11月10日に発表された米10月消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回る結果となり、インフレ緩和を意識して米長期金利は急低下。主要通貨に対するドル売りが急速に広がり、ドル・円は一日で5円以上下落した。その後も、米連邦準備制度理事会(FRB)が12月会合以降利上げ幅を縮小することを想定したドル売りが広がり、ドル・円は一時137円台まで下落。10月の最高値151円台から15円近く急落しており、荒い展開となっている。ユーロ・米ドルは取引数量9万2807枚(前月比6.4%増)だった。11月4日に発表された10月米雇用統計で失業率が上昇したことから、ポジション調整的なユーロ買い・米ドル売りが強まった。その後、前述の10月米CPI発表後にドル売りが急速に広がったことで、ユーロ買い・ドル売りが加速。ただ、月後半は欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備制度理事会(FRB)利上げペースをにらみもみ合う展開となった。

12月のドル・円は方向感の定まらない展開か。米国経済の大幅な減速を想定して米FRBは利上げペースの減速を計画しているとの見方が広がっており、目先的にドル買い・円売りは抑制される見込み。ただ、インフレ高進を抑止するための利上げは来年1月以降も行われる可能性が高いため、本格的なドル安トレンドに転換するとは想定しにくく、方向感の定まらない展開となりそうだ。11月のような荒い展開にも注意したい。ランド・円は弱含みか。ラマポーザ大統領の不正金銭を巡る疑惑が浮上し、ランド・円は12月1日には一時7.5円台まで急落している。同大統領は辞任を検討しているとの報道もあり、政情不安を懸念しランドは売られやすい状況が続きそうだ。そのほかにも、電力不足問題の長期化や中国景気減速への懸念などランド売りにつながる材料は多い。12月6日発表の7-9月期国内総生産(GDP)など経済指標発表も注目となりそうだ。


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情報提供元: FISCO
記事名:「 12月のくりっく365、ドル・円は方向感の定まらない展開、ランド・円は弱含みか