12日の日経平均は5営業日ぶりに反落。55.49円安の28015.02円(出来高概算10億4000万株)で取引を終えた。前日の米国市場は、予想を下回った物価統計により過度なインフレ懸念が和らぎ、量的緩和の早期縮小観測が後退。素材や資本財などを中心に買われた流れが波及する格好から買いが先行し、一時28279.80円まで上昇。ただ、米長期金利が低下したことで、米グロース株が軟調だっただけに、半導体関連株など値がさ株の一角が引き続き弱い値動きとなり指数の重荷に。買い一巡後はこう着感の強い相場展開のなか、次第に戻り待ちの売りに押される展開。

東証1部の騰落銘柄は、値上がり銘柄数、値下がり銘柄数ともに1000程度でほぼ拮抗していた。セクター別では、海運が3.82%と大きく上昇したほか、鉱業、非鉄金属、化学など19業種が上昇。一方、陸運、空運、水産農林、電気機器など14業種が下落した。指数インパクトの大きいところでは、第一三共<4568>、信越化<4063>、電通グループ<4324>、安川電<6506>がしっかり。半面、東エレク<8035>、アドバンテス<6857>、ソフトバンクG<9984>、オリンパス<7733>が軟化した。

前日発表の米消費者物価指数(CPI)のコアが前月比0.3%増と市場予想(0.4%増)を下回ったため、コロナ禍後の景気回復に伴うインフレ加速が一時的とみているFRBの見方に沿う内容で、素材や資本財などを中心に買われた流れを引き継いだ。また、海運市況の好調などを背景に郵船<9101>、商船三井<9104>といった海運株が上昇した。また、中小型株の決算が本格化するなか、国際紙パルプ商事<9274>、日本化学工業<4092>、エンビプロHD<5698>が堅調。一方、グレイステクノロジー<6541>、セレス<3696>が下落するなど明暗を分けた。

新型コロナウイルスの変異株(デルタ株)の感染拡大が続いているほか、東京などに出されている緊急事態宣言の延長観測もあり、国内経済の正常化に対する警戒感が拭えないだけに、積極的に上値を買い上がる雰囲気にはつながらなかった。また、あすのオプション特別清算指数(SQ)算出日を控えた需給要因も影響したようである。

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情報提供元: FISCO
記事名:「 景気敏感株中心に買い優勢も、値がさハイテク株が指数の重荷に【クロージング】