12日の欧米外為市場では、ドル・円は上げ渋る値動きを予想したい。米インフレ指標の底堅い内容を受け、米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利下げ観測は後退。半面、週明け以降の中国経済指標発表などを前に、調整のドル売りがドル・円を下押ししそうだ。

ハト派寄りのトーンが目立った10日のパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長証言を受け、前日の取引では今月末の連邦公開市場委員会(FOMC)での大幅利下げ観測が広がった。ただ、前日発表された米6月消費者物価指数(CPI)ではコア指数の予想上振れを受けて、ドルは買い戻された。また、米30年債入札が低調で長期金利が上昇し、ドルを押し上げる場面もあった。本日のアジア市場ではその流れを受け継ぎ、ドル・円は一時108円60銭台まで値を切り上げたが、国内勢は明日からの東京市場の3連休を前にドル売りを強めたとみられ、108円前半に失速した。

この後の海外市場では、再開したばかりの米中通商協議が材料視される可能性があろう。トランプ米大統領はツイッターで、中国政府が米国の農産品の輸入を拡大するよう求めている。先の米中首脳会談では交渉再開で一致したが、摩擦の再燃が警戒されドル買いは進めづらい。来週明けの15日には中国の国内総生産(GDP)などの主要経済指標の発表も注目されるため、週末の調整によるドル売りはいつもよりも多めになりそうだ。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・18:00 ユーロ圏・5月鉱工業生産(前月比予想:+0.2%、4月:-0.5%)
・21:30 米・6月生産者物価指数(前月比予想:0.0%、5月:+0.1%)
・23:00 エバンス米シカゴ連銀総裁講演(通商と米中西部)




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情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は上げ渋りか、週明け以降のイベント前に調整も