今日の欧米市場では、ドル・円は伸び悩む展開を予想したい。日米金利差拡大を背景にドル買い・円売り基調は継続の見通し。ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げの可能性やオランダ総選挙の与党勝利などはほぼ織り込み済みであり、イベント通過後もドル高は小幅にとどまりそうだ。

市場では米FOMC(14-15日)、オランダ総選挙(15日)、米予算教書(16日)が注目されている。米FOMCでの利上げが足元ではメーンシナリオとなっており、市場コンセンサスである年3回の利上げペースが年4回になる可能性が高まるだろう。目先は、日米の金利差拡大が意識され、ドル買い材料となりそうだ。ただ、ある外為ディーラーは「次の利上げ時期が不透明なのでドル買いは限定的になる」との見方を示す。

また、オランダ総選挙は、直近の世論調査では反移民や反欧州連合(EU)のウィルダース氏率いる自由党が支持を低下させ、ルッテ首相率いる与党・自由民主党と拮抗しているようだ。仮に自由党が勝利しても、政策的に他党との連立は難しいとの見方が広がり、与党政権の継続が見込まれている。予想通りの結果となれば、リスク回避の円買いは弱まるものの、その一方で極端な円売りにも振れにくいとみられる。

さらに、16日に米議会に提出される2018会計年度(17年10月-18年9月)の予算教書に関しては、今回は予算の骨格にとどまる見通し。景気刺激策が好感されれば、株高・長期金利上昇を通じてドル高に振れるだろう。ただ、財政赤字拡大が意識され、経済の先行き不透明感によりドル買いは弱まるとの見方もある。今週は重量級のイベントが集中するなか、見込み通りならドル買い・円売り基調は続くものの、それほど大きな値動きにはなりにくいだろう。(吉池 威)

【今日の欧米市場の予定】
・19:00 独・3月ZEW景気期待指数(予想:13.0、2月:10.4)
・19:00 ユーロ圏・1月鉱工業生産(前月比予想:+1.4%、12月:-1.6%)
・21:30 米・2月生産者物価指数(前月比予想:+0.1%、1月:+0.6%)
・米連邦公開市場委員会(FOMC、15日まで)

※米国の北東部に大雪予報が出されているため、指標発表が延期になることがあります。



<FA>

情報提供元: FISCO
記事名:「 欧米為替見通し:ドル・円は伸び悩みか、相次ぐイベントも上昇は限定的に