以下は、2022年12月12日にYouTubeチャンネル「FISCO TV」で配信された「NYダウ先物の活用メリットと投資戦略」である。世界の株式市場は10月以降、緩やかながら回復基調を辿っており、こうした中、今回は個人投資家からの注目度も高まっている大阪取引所のNYダウ先物について、フィスコアナリスト仲村幸浩が、その活用メリットを紹介、3回に分けて配信する。


NYダウ先物とはその名の通り、NYダウを対象とした先物取引です。そもそもNYダウとはどういった指数かといいますと、こちらはアメリカの大手有名企業30銘柄で構成される修正平均型の株価指数です。世界で最も歴史が長い株価指数の一つで、メディアで取り上げられることも多いので最も有名な指数とも言われています。

NYダウは日経平均株価と同様、修正平均型の指数で、値がさ株の影響を受けやすいタイプの指数になります。値がさ株ではなく、時価総額の大きい大型株の影響を受けやすいタイプの指数で時価総額加重平均型がありますが、これに該当するものとしては機関投資家がベンチマークとしてよく使っているS&P500種株価指数が挙げられます。日本ではこれと同じタイプの指数として東証株価指数、いわゆる「TOPIX」が該当します。日経平均とNYダウ、そして、TOPIXとS&P500がそれぞれペアとして挙げられることが多いです。

NYダウは輸送と公共事業以外の業種の銘柄のうち、企業の評判が高く、成長が持続的で、多くの投資家が高い関心を示す銘柄が主として選定され、構成銘柄は必要に応じて見直されます。

それでは現在のNYダウの指数構成をみてみましょう。現在はこのようになっており、わずか30銘柄とはいえ、代表的な株価指数なだけに組み入れられているセクターのバランスは非常に良いことが見て分かります。

次に各セクターの構成銘柄を見ていきましょう。まず、情報技術ですが、こちらは皆さんよくお馴染みのスマートフォン大手のアップルやパソコン向けソフト「Windows」で有名なマイクロソフトのほか、半導体メーカーのインテルなど超有名企業が多く並んでいます。

次に資本財ですが、こちらは世界大手の航空機メーカーのボーイングや建設機械大手のキャタピラーのほか、多様な製品・サービスを手掛けるコングロマリット型の企業としてハネウェル・インターナショナル、スリーエムから構成されています。

続いて一般消費財は、こちらは皆さんがよくご存知のファストフードチェーン大手のマクドナルドや、世界最大級のスポーツアパレルブランドであるナイキなどが挙げられます。ヘルスケアは、有名なところでは医薬品から医療機器までを手掛けるジョンソン・エンド・ジョンソンがありますね。そのほか、民間医療保険会社のユナイテッドヘルスグループや大手小売薬局チェーンのウォルグリーン・ブーツ・アライアンスなど幅広いタイプの企業から構成されています。

生活必需品は一般消費財と少し似ていますが、こちらも大手飲料メーカーのコカ・コーラのほか、「P&G」ブランドで有名な家庭用品大手のプロクター・アンド・ギャンブルなど超有名企業が組み入れられています。コミュニケーションには皆さんが小さい頃からお馴染みのウォルト・ディズニーがあります。テーマパーク運営だけでなく、ABCなどのテレビ局の運営のほか、最近では積極的に投資を行っている動画配信サービス「ディズニープラス」なども展開しています。

そして、こちらが最後の3つです。金融はその名前がもたらすイメージの通り、日本でいういわゆる「メガバンク大手3行」に該当するところではJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスが挙げられます。これらは商業銀行業務や投資銀行業務を担っています。金融セクターの中には他にも、クレジットカード会社世界大手のアメリカン・エクスプレスや、電子決済サービス大手のビザなど、テクノロジーに近いような企業なども入っています。意外にも、化学品や石油・天然ガスを扱う、化学とエネルギーからはわずか一社ずつしか採用されていません。NYダウは最も歴史が長い株価指数の一つと言われますが、足元の時代の潮流も正確に反映した株価指数といえるかと思います。

それでは、いよいよ本題に入りまして、NYダウを対象としたNYダウ先物取引についてご紹介したいと思います。特徴がいくつかありまして、まず一つ目は、NYダウ先物は円建て取引であるということです。一般的に米国の株式に投資する場合には為替リスクが伴いますが、NYダウ先物は円建て取引のため、日本株を売買するのと同じように取引することができます。為替リスクを考慮する必要は一切ありません。このため、純粋にNYダウが上がるか、下がるかの二択だけを予想すればよいというシンプルな取引になります。初めて米国株投資をする人にとっても入りやすい優れたメリットといえるかと思います。

続いて二目は、NYダウ先物は日経225先物やマザーズ先物と同様に、夕方午後4時半から翌朝6時までのアメリカ時間にも対応しているため、アメリカの雇用統計や消費者物価指数などの重要指標の発表で相場が大きく動く際には即座に対応することが可能です。

三つ目に、マーケットメイカー制度が挙げられます。この制度は、金融商品市場における取引方法の一つで、取引所から指定されたマーケットメイカーと呼ばれる存在、一般的に株式であれば証券会社や専業ディーラーが該当しますが、これらマーケットメイカーが常時「売り気配」と「買い気配」を提示することで売買を成立させています。市場の流動性が低く、トレーダーが取引したいタイミングで取引相手を直接見つけることが難しい場合でも、マーケットメイカーの気配提示により円滑な取引が可能となります。取引したい時に取引できないといった流動性リスクを回避することができます。


— NYダウ先物の活用メリットと投資戦略vol.1〜vol.2〜に続く—


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情報提供元: FISCO
記事名:「 【NYダウ先物の活用メリットと投資戦略vol.1】NYダウとは?