北朝鮮への軍事戦略として最近取りざたされているのが「Left of Launch(発射の左側)」である。これは、北朝鮮の弾道ミサイル発射のシークエンスを見立てて、発射の左側、すなわち、発射前に対応しようとするものである。対応方法としては、サイバーや電磁波を使用するものから、物理的な破壊まで幅広く検討されている。これは、新たな考え方ではなく、日本でも「策源地攻撃能力」として検討されているものである。しかしながら、「Left of Launch」としてのサイバーや電磁波の使用は、効果が不透明であるとともに、もし北朝鮮が「攻撃を加えられた」と考えれば、韓国又は日本の米軍基地を目標として核弾頭を装備した弾道ミサイルを発射する可能性はゼロではない。抑止力として「策源地攻撃能力」を保有することは必要ではあるが、あくまでも物理的な方法に留めておく必要があるであろう。