ECBは定例理事会で市場の予想通り、政策金利やパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)を維持することを決定した。インフレが目標に近づくまで金利は現行、またはそれ以下で維持。PEPPは少なくとも2021年6月まで維持する。ラガルドECB総裁は回復がまだ脆弱でPEPPを購入枠全額使用する公算が極めて高いとの見解を示した。

連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長がインフレ目標の修正で平均2%とし一時的なインフレ加熱も容認する方針を見せ、想定されていた以上に長期にわたり低金利を維持する政策を示すとドル売りが加速し、ユーロ・ドルは2018年以来となる1.2ドル台に達した。この際、専務理事兼首席エコノミストのフィリップ・レーン氏が「ECBにユーロ相場の目標はないが、金融政策に影響する」とユーロ高けん制発言を行ったため、ECBがユーロ高是正として資産購入の拡大を発表するとの見方も市場で浮上していたがラガルド総裁はPEPPの拡大は協議しなかったとしている。

さらに、ユーロ高に関しては現状で、「過剰反応する必要はない」と言及。ただ、ユーロ高がインフレに下方圧力となるとして、注意深く監視していくとし、注意を促すにとどめた。現行の水準にはECBはまだ警戒感はない。市場はECBが警戒する水準を模索するために上値を試す可能性もある。





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情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:ユーロ高値試す可能性も、ECBに警戒感なく