市場エコノミストは、新型肺炎の感染拡大が米国経済にも影響するとの見方から1−3月期国内総生産(GDP)の成長見通しを引き下げている。ただ、4−6月期にはV字回復を期待しているようだ。新型肺炎の感染拡大による経済への影響は短期的にとどまるとの見方が多い。

今後、1)現在制御されている米国内での感染が急激に拡大する可能性、2)期待されているギリアドの新型肺炎の薬が効かない可能性、3)モデルナ・セラピューティクス社Modernaのワクチン開発には時間がかかること、4)企業が弱い1株当たり利益を警告する可能性、などのリスクを注視していく。

米国のトランプ政権は今のところ米国内での新型肺炎の感染が制御されているとする一方で、米疾病対策センター(CDC)や米保健社会福祉省(HHS)アザー米厚生長官は「米国で新たに新型肺炎の感染が拡大する可能性」を警告。潜在的なパンデミックに備えるよう呼びかけた。CDCはさらに、新型肺炎のパンデミックで「なるか・ならないかの問題ではなく、時間の問題だ」と警告した。

米国債券相場は続伸。米国の成長見通しが引き下げられ、追加利下げ観測が一段と強まったほか、「質への逃避」目的の投資資金が流入したことが背景となる。米国の長期債利回りは過去最低を記録した。ただ、欧州や日本経済も景気後退のリスクに直面、ECBの追加利下げ観測も浮上する中、米国外の成長見通しも冴えず、ドル売りが継続するとは考えにくい。






<CS>

情報提供元: FISCO
記事名:「 NYの視点:米10年債利回りは過去最低、「質への逃避」続く