習近平主席は2016年から、本格的な軍改革に着手した。「強軍路線」を掲げ、従来の7大軍区を5戦区に統合し、余剰兵員30万人削減など陸軍を中心に改革を行った。海空軍の増強や戦略ミサイル部隊、宇宙・サイバー分野の整備に重点を移している。軍改革に断行する背景には2014年の軍事演習に参加した6つの「精鋭部隊」が対戦相手に完敗したという出来事があった、と中国メディアは報じた。

今年7月23日、中国国営放送・中央テレビ局の政論特集番組「将改革進行到底(改革をやり通す)」の第7回放送「強軍之路(強い軍隊への道)」(上)で、2014年に行われた対抗戦による軍事演習の様子が報道された。

 番組が取り上げたのは、中国軍が14年に内モンゴルで実施した大規模な対抗軍事演習。このとき、「精鋭部隊」と目されていたのは七大軍区から選ばれた7つの部隊だった。この精鋭部隊による「赤軍」と初に組織した仮想敵専門部隊の「青軍」が仮想戦を行ったところ、当初の予想に反し、精鋭部隊の赤軍が6対1で大敗を喫する結果となった。中国軍屈指の精鋭部隊と考えられていた赤軍6つが惨敗してしまったのだ。

 その後、画面は習近平軍委主席が軍制改革について語っている様子に切り替わったが、そこで習主席は「今の中国軍の状態は『致命的』といってもよい」、「非常に気をもんでいる。改革を進めなければ、中国軍が戦争なんかできるはずがない。勝てるわけがない」と手厳しく批判している。

■習主席による軍制改革の目的

 国営メディアは、軍事演習に参加した6つの「精鋭部隊」の相次ぐ惨敗が、北京当局は軍制改革を加速させることになった直接的な動機になったと報じている。

 中国軍は20年に渡り江沢民派の軍幹部の支配下に置かれてきたため、習主席は2012年最高指導者の座に就く当初、軍の中枢を構成する4つの総部と7大軍区の大部分は、長年江派の勢力に掌握されていると考えられている。

 習主席は前任者胡錦濤の二の舞だけは踏むまいと考えていた。胡錦濤は江沢民が引退した後に最高指導者に就任し、中央軍事委員会主席の座に就いた。だが軍の実権は2人の軍委副主席、つまり江派の徐才厚と郭伯雄が握っていたため、胡錦濤はただのお飾りに過ぎなかった。

 そのため、習主席は軍委主席に就任すると直ちに軍部での反腐敗運動を強力的に展開させた。その結果、60人近い「副軍級」以上の軍腐敗官僚が逮捕され、徐才厚と郭伯雄と共にかつて重用した子飼いの部下たちも次々と失脚していった。

 これ以降、習主席は軍の再編成にますます力を注ぎ、中国陸軍をもとの18集団軍から13集団軍に編成し直し、もとの集団軍に振り分けられていた番号を全て抹消して新たに番号を付け直した。同時に若手将校の抜擢や、軍上層部の人事異動も頻繁に行ってきた。

 海外メディアは「北京当局の一連の軍改革の目指すところは、軍内部に存在する派閥勢力を解体し、徐・郭の残した弊害を徹底的に解消し、さらに「長老(江沢民)」の影響力を削ぎ落したうえで、軍を完全に掌握することだ」と分析している。

(翻訳編集・島津彰浩)

【ニュース提供・大紀元】




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情報提供元: FISCO
記事名:「 中国軍「精鋭部隊」の軍事演習での惨敗が軍改革加速の一因=中国国営メディア