「NISA5000万円」から“毎年300万円”取り崩しても「年金収入が230万だから」と“住民税非課税世帯”の夫婦にがく然! 給与年収300万円なら「税金9万円」なのに…働く現役世代との“税格差 ”とは
NISAで300万円売却しても「300万円の所得」にはならない
株式や投資信託を課税口座で売却して利益が出ると、原則20.315%の税金がかかります。一方、NISA口座で取得した商品から生じる譲渡益や配当・分配金は、原則非課税です。
2024年からのNISAでは、年間投資枠は、つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円の合計最大360万円です。非課税保有限度額は1800万円で、このうち成長投資枠は1200万円までとなっています。
商品を売却すると、その商品の取得金額(簿価)分の非課税保有限度額を、翌年以降に再利用できます。
なお、「NISA5000万円」は、5000万円を新NISAに投資したという意味ではありません。1800万円の非課税保有限度額は取得価額で管理されるため、ここでは値上がりなどによって時価残高が5000万円になったケースを想定します。
例えば、200万円で購入した商品を300万円で売却しても、売却代金300万円の全てが所得になるわけではありません。課税口座なら利益100万円が課税対象ですが、NISAならこの100万円は非課税です。
年530万円使っても住民税非課税世帯になれる?
住民税が非課税になるかは、原則として前年の所得などを基に判定されます。NISA口座内の非課税の譲渡益は、この判定に使う課税所得には加算されません。
65歳以上で収入が公的年金のみの場合、住民税が非課税となる年金収入の目安は地域や扶養人数によって異なります。
例えば、1級地で、配偶者を扶養する夫は年金収入211万円以下、扶養親族がいない妻は155万円以下が1つの目安です。
今回の夫は年金150万円、妻は年金80万円です。ほかに所得がなく、生計を一にする夫婦であるなどの条件を満たせば、夫婦とも住民税非課税となり、世帯全員が非課税の「住民税非課税世帯」に該当する可能性があります。
つまり、年金230万円にNISAの売却代金300万円を加え、年間530万円を生活費として使ったとしても、「530万円の所得がある」と判定されるわけではないのです。
給与年収300万円なら税金が発生する
一方、300万円を給与として受け取る場合は、事情が異なります。
2026年分の税制を前提に、給与年収300万円、70歳以上で、所得のない妻を扶養し、社会保険料控除など一定の条件を置いて概算すると、所得税と住民税を合わせて年間8万~9万円程度になるケースがあります。
実際の税額は、社会保険料、各種所得控除、居住する自治体などによって変わるため、「約9万円」はあくまで一例です。
NISAから300万円を取り崩すケースと給与300万円では、同じ「300万円を使える」状態でも、税務上の扱いは大きく異なります。
非課税世帯なら社会保険料などが軽くなることも
所得が一定水準以下の場合、国民健康保険料の均等割などの軽減や、高額療養費制度の低所得者向け自己負担上限などが適用される場合があります。
また、住民税非課税世帯を対象とした給付金が実施されることもあります。ただし、対象条件は制度ごとに異なるため確認が必要です。
まとめ
NISA口座の商品を300万円売却しても、300万円の全てが所得になるわけではなく、NISA内で生じた譲渡益もは非課税です。
今回のように夫の年金150万円、妻の年金80万円で、ほかに所得がない夫婦なら、NISAから毎年300万円を取り崩して年間530万円を生活に使っても、住民税非課税世帯に該当する可能性があります。
ただし、住民税の非課税基準は居住地域や扶養状況などで異なります。NISA以外の所得がある場合も結果が変わるため、実際の判定は自治体の基準を確認しましょう。
また、上場株式の配当をNISAで非課税にするには、原則として「株式数比例配分方式」で受け取る必要があります。
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級