個人事業者の減価償却の基本的ルール


個人事業者が事業の用に供する資産(パソコンなど)を取得した場合、その取得価額が10万円未満のものは、資産計上することなく、購入した期の必要経費(勘定科目は消耗品費、事務用品費、雑費など)として全額計上できます。

 

そして、取得価額が10万円以上の場合は、固定資産として計上し、毎期減価償却することが基本ルールとなります。ただし、以下の特例を利用することができます。

 

(1)10万円以上20万円未満は、一括償却資産の特例を利用できる

特例の利用により、固定資産の取得価額を3年間で均等償却することができます。また、償却資産税の対象にもならないため、節税となる可能性があります。

 

(2)40万円未満は、少額減価償却資産の特例を利用できる

令和8年4月1日以降取得分から対象となる取得価額の上限金額が30万円未満から40万円未満に引き上げられています。特例の利用により、取得年度に全額償却(経費算入)できます。つまり、30万円のパソコンは、特例を利用することで購入年度に全額経費とすることができます。ただし、青色申告者であることが特例利用の条件となります。

 


副業により経費にできる主な費用


仮に、会社員である給与所得者が自宅の一室を利用して動画編集の副業を始め、毎月一定の収入を得ており、その収入が「事業所得」に該当すると仮定してみましょう。

 

事業所得(雑所得、不動産所得、山林所得の場合も)の場合、副業でも経費計上が可能となります。ただし、経費として認められるのは「副業をするうえで発生した支出」のみであり、プライベートによる支出は経費計上できません。主な費用としては、以下のようなものがあります。

 

(1)家賃

事務所を借りている場合には、経費として計上できます。この事例のように、自宅の一室で副業している場合には、業務で利用する割合で「家事按分」して経費計上します。

 

家事按分の方法としては、「面積割合」、「時間割合」などの方法がありますが、多く利用される面積割合とは、自宅の総面積に対する副業で使用している面積の割合により、その割合を家賃に掛けて副業で使用している費用を求める方法です。また、家事按分は住宅ローンの利息分などにも採用され、経費として計上することもできます。

 

(2)設備や消耗品にかかる費用

パソコン、プリンター、インターネット回線(機器)、水道光熱費、事務用品など、副業するうえで必要となる経費を計上できます。ただし、業務とプライベートで共用する場合には、家事按分により費用の額を算出します。

 

(3)保険料

事業そのものや必要設備にかけている保険料(損害賠償保険、火災保険、自動車保険など)は、経費として計上できます。同様に、家事按分が必要になる場合もあります。

 

(4)交通費、交際費、新聞図書費などの経費

副業に必須となる費用については、経費に算入できます。ただし、プライベートな飲食などは対象外となります。

 


まとめ


30万円のパソコンは、一定の要件を満たせば購入年度に全額を経費に算入できます。また、家賃や光熱費も業務で使用する部分については経費として計上できます。さらに、青色申告者の場合、生計を一にする配偶者や他の親族が副業に従事し、一定の要件を満たせば、税務署長に届け出した給与の額について、事業所得の必要経費に算入することができます。

 

また、白色申告者でも、一定の条件で親族1人につき最高50万円、配偶者は最高86万円を必要経費とみなして事業所得を算出できます。

 

なお、当然ながら必要経費として計上するためには、支出の内容や金額を証明できる領収書などを保管しておく必要がありますので、日頃からしっかりと管理するように心掛けましょう。

 


出典


国税庁 No.2100 減価償却のあらまし

国税庁 No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)

国税庁 No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除

 

執筆者 : 高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー


情報提供元: ファイナンシャルフィールド
記事名:「 動画編集の副業を始めました。パソコンを新しく買い替えたのですが「30万円」の購入費は全額経費になりますか? 他にも「経費」として落とせるものを教えてください。家賃や光熱費も認められますか? 」