親が扶養親族となるには


1. 扶養親族の要件


所得税において、扶養控除を受けることができる扶養親族の要件は以下のとおりです(※1)。






(1)配偶者以外の6親等以内の血族および3親等内の姻族であること

(2)納税者と生計を一にしていること

(3)年間の合計所得金額が62万円(令和8年分以降)以下であること

(4)青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと



 


2. 年金の所得額


年金には公的年金等控除があり、受給している年金額がそのまま年間の所得とはなりません(※2)。

 

例えば、65歳以上の親が330万円未満の年金を受け取っている場合、公的年金等控除額は110万円となります。したがって、扶養親族の所得要件を満たす年金額は、ほかに所得がなければ172万円以下となります。

 


3. 生計を一にしているとは


親が同居している場合は、生計を一にしている条件に問題はありません。

 

親が別居している場合でも、常に生活費や療養費などを送金しているなど、親と生計を一にしていると認められる場合には扶養控除の対象となります。ただし、同じ親を扶養控除の対象にできるのは、原則として子どものうち1人です(※1)。

 


扶養控除される金額は


1. 所得税において扶養控除される金額


70歳以上の親を扶養している場合、同居であれば58万円、同居以外であれば48万円の扶養控除を受けることができます(※1)。

 


2 住民税において扶養控除される金額


70歳以上の親を扶養している場合、同居であれば45万円、同居以外であれば38万円の扶養控除を受けることができます(※3)。

 


親を扶養に入れることによる節税効果は


同居する親を扶養した場合の節税効果について、以下の事例で具体的に見て行きましょう。

 


《事例》


父親75歳:老齢年金額180万円

母親72歳:老齢年金額80万円

子ども(会社員):年収600万円



 


1. 扶養控除対象者の確認


(1)父親の合計所得金額は、下式のとおり70万円となり扶養控除の要件である62万円を超えるため対象外となります。

 

年金収入180万円-公的年金等控除額110万円=所得額70万円

 

(2)母親の合計所得金額は0円であることから扶養対象となり、所得税で58万円、住民税で45万円の扶養控除が受けられます。

 


2. 所得税の節税効果


所得税は、課税される所得金額に応じて5~45%の税率が適用されます(※4)。

 

年収600万円の会社員の税率が10%であったとすると、控除される58万円に10%の税率を乗じて5万8000円の節税効果が見込まれます。

 

自分自身の税率を確認する方法は、源泉徴収票に記載されている「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計」を差し引いた額が「課税所得」となりますので、国税庁の速算表(※4)で税率の区分を確認してください。

 


3. 住民税の節税効果


個人住民税の所得割の標準税率は合計10%になりますので、控除される45万円に10%の税率を乗じて4万5000円の節税効果が見込まれます。

 


まとめ


65歳以上の親で、年金以外に所得がなく、年金収入が172万円以下であれば、年金を受給している親でも扶養対象となります。別居している親を扶養する場合は、常に生活費や療養費などを送金しているなど生計を一にしていると認められる必要があり、扶養できるのは1人の子どもに限られます。

 

年収600万円の会社員に、所得税の税率10%が適用されるケースでは、同居する親を1人扶養した場合、所得税と住民税を合わせて約10万円の税負担軽減となる可能性があります。

 


出典


(※1)国税庁 タックスアンサー No1180 扶養控除

(※2)国税庁 タックスアンサー No1600 公的年金等の課税関係

(※3)東京都主税局 個人住民税

(※4)国税庁 タックスアンサー No2260 所得税の税率

 

執筆者 : 辻章嗣

ウィングFP相談室 代表

CFP(R)認定者、社会保険労務士


情報提供元: ファイナンシャルフィールド
記事名:「 親を自分の扶養に入れると税金対策になるって本当ですか? 年金をもらっている親でも扶養に入れられるのでしょうか?実際、どのくらい節税になるものですか? 」