■富士スピードウェイに並ぶ2台のレーシングカー 今回、タイレルが富士スピードウェイでのイベントにて展示されるとの情報を得て、現地に向かった。 メインコースで行われていたK4-GPのパドック内の特設ブースに展示されていた。 そこには、タイレルとGP 935の2台が展示されていた。 このGP 935は、なんとスズキのカプチーノをベースとしたカスタム車両であった。 展示会場となったK4-GPとは、軽自動車の耐久レースの名称である。 そのため、ベースが軽自動車であるGP 935と並んでの展示となっていた。 今回、GP 935を制作された方のお誘いによって、この富士の地でタイレルも一緒に展示する運びとなったのだった。 ■進化を続けるタイレル 前回、タイレルは76年日本グランプリでのシェクター仕様に進化をとげていたことをご報告したと思う。 今回、新アイテムと更なる機能美を備え、進化をとげていた。 新アイテムとは、ジョディ仕様のヘルメットである。 1976年に日本初のF1グランプリが開催された際、ジョディ・シェクターが被ったヘルメットデザインが再現されている。 機能としての進化点は、チェーンカバー・エアクリーナーボックスカバーの追加である。 タイレルの心臓部はスズキのバイク、ハヤブサである。 そのため、駆動系はチェーンを用いている。 今回装着されたチェーンカバーは、走行中にチェーンが破断した際、飛散防止のために取り付けられたとのこと。 今回は展示のみで、走行することはなかったが、今後走行する機会が増えることを見据えた進化であった。 筆者としては、走行する姿を目にする機会が増えることが、今から楽しみである。 安全のために用意されたカバーも、ただの無機質なモノではないところがこだわりを感じて止まない。 カバーとはいえ、曲線美を纏った形状で制作されていた。 この流線形の形状も、もちろん綿引氏の手によって、一から叩き出して生み出された唯一無二の一品なのだ。 エアクリーナーボックスカバーについては、テーマである76年シェクター仕様を彷彿とさせるデザインとなっている。 カバーをすることで、走行時に異物を吸い込んでしまうリスクを防ぐことができる。 メッシュの奥に、ファンネルが見える点が非常に心をくすぐられる。 ■タイレル制作 前進のきっかけ 製作者である綿引氏にお話を伺っていたところ、タイレル制作が大きく前進したきっかけについて、知ることができた。 昨今のコロナ禍による、外出自粛がきっかけとのことだった。 それまでは、休日はご家族と外出する機会が多かったそうだ。 しかし、緊急事態宣言の発令に伴い、外出する機会がなくなってしまった。 そこで、休日の空いた時間を利用して、工房にてタイレルの制作に勤しまれた。 今回のように、イベントを行える機会が増えたタイミングで、タイレルは多くの人々の前に姿を現したのであった! 今回の展示に際して、ご子息もご一緒に参加されていた。 ご子息もクルマが好きとのこと。 富士スピードウェイの隣にできた、富士スピードウェイホテル内「富士モータースポーツミュージアム」(https://fuji-motorsports-museum.jp/)へ親子で見学に行かれたそうだ。 タイレルのみだけでなく、家族サービスも抜かりはなかったのであった(笑)。 ■GP 935もこだわりが凄かった 今回、隣に展示されたGP935についても、気になる読者は多いだろう。 このGP 935は冒頭で触れた通り、90年代にスズキから発売されていた「カプチーノ」がベース車両となっている。 驚くべきことに、ボディサイズから普通車にはなっているが、ナンバー付きの公認車両なのである。 そのため、公道を走行することが可能となっている。 この車両は、今回K4-GPに参戦されているチームが制作している。 「きっと、プロのレーシングチームなのだろう」と、お話を伺うまでは思っていた。 しかし、チームメンバーの方々は、趣味でレースに参戦されているとのことだった。 チームとして発足してから歴史は長いが、普段は各々本業があるとのこと。 レース活動の延長線上で、GP 935を制作されたそうだ。 今回GP 935は出走車両ではなかったが、レース参戦用の車両を別に用意して挑まれていた。 そのマシンはスバル ヴィヴィオ。 旧車王ヒストリアとしては、ドンピシャな年代の車種であった。(笑) ■K4-GPとは? 今回、タイレルとGP 935が展示されたイベントのK4-GPについても触れたいと思う。 K4-GP(https://k4-gp.com/)は「軽自動車で多くの人にモータースポーツを楽しんでもらおう」という趣旨のもと、夏と冬の年2回、耐久レースが開催されている。 初心者からレース経験者まで、ともに楽しめることを目的とされている。 車両制作・改造は参加者の意思を尊重して、レギュレーションの範囲内で自由に行うことができる。 また、車両クラスも細かく設定されており、多くのカテゴリーに分かれている。 そのため、普段街で目にするクルマからレーシングカー顔負けのボディメイキングをされたマシンまで、バラエティに富んでいる。 混走する形で、出走台数127台と想像以上に多いことにも驚いた。 だが、軽自動車のみのため、コースが狭い印象はなかった。 レースと聞くと、MTのイメージがあると思う。 しかし、K4-GPではATやCVTのクラスも設けられている。 レギュレーションに合致していれば、普段乗っているクルマでの参戦も可能となる。 事実、帰宅時に高速道路で、参戦車両が自走で帰路に就いているところに遭遇した。 興味を持たれた方は、一度ホームページを覗いてみてはいかがだろうか? ■巴自動車商会/カスタムビルド&レストア WATAHIKI 店舗情報 住所:〒310-0912 茨城県水戸市見川3-528-2TEL:TEL/FAX 029-243-0133URL:http://cbr-watahiki.comお問い合わせ:http://www.cbr-watahiki.com/mail.html ●綿引氏のYouTubeチャンネル"cbrwatahiki"「アルミのイオタ」および「タイレル P34」の製作風景も紹介されていますhttps://www.youtube.com/user/cbrwatahiki/featured ■Special Thanks! K4-GP:https://k4-gp.com/ [ライター・カメラ/お杉]
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