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■社内で夫が女性社員から嫌われて…
社内結婚をして4年足らずで離婚したミナさん(36歳)。離婚理由は「あくまでも私のわがまま」だと彼女は言う。
「そりゃ結婚しているときは、夫の愚痴くらい社内の友だちに言いましたよ。だけどそれは半分のろけも入ったようなもの。最後まで、別にどちらかが裏切ったわけでもなんでもなかったんですから」
結婚生活に不満はなかった。だが、その不満のないところが不満だったと彼女は言う。人生が決まってしまうことへの不安があったのだ。
「こういうのって男性が言いがちだと思うんですが、この先、子どもが生まれて、仕事を続けながら子育てして家を買って……という生活が見えてきてしまって、急に人生がつまらなく思えて。そんなとき私に海外転勤の話があったんです。上司は『無理だよなあ、結婚しているんだから。夫婦で転勤という手もなくはないけど』と言ってくれました。でも何かを変えたかったので、ひとりで行くと即答し、そのまま夫には離婚したいと切り出したんです」
夫は「ひとりで行ってきてもいい。離婚する必要はないでしょ」と言ったが、彼女はどうしても結婚という枠から自由になりたかった。
「それなのにいざ離婚したら、夫が妻を海外に行かせたくなかったから離婚したという噂が流れて、夫が社内で悪者になっちゃったんですよ」
それは彼女としても不本意だったので、必死で夫をかばい、自分が悪いのだと言い続けると、あんなふうに妻に釈明させるのはかわいそうだと、さらに夫が悪く言われる始末。
「夫はとうとうメンタルをやられてしまい、退職するはめに。私はもうじき海外へ赴任しますが、噂って怖いなとつくづく思いました」
人の噂は七十五日というが、今の時代は追い打ちをかけるように噂が枝分かれして深く広がっていくので、かえってなかなかおさまらないのかもしれない。今後、話が逆転して、本当は彼女が悪かった、しかもとんでもない女だったなどということになる可能性もある。強靱な精神力がないと、離婚という個人的な決断さえ容易にできない時代なのだろうか。
■離婚時にハプニングが重なって…
離婚自体はすんなり進んだのに、同じ時期に子どもがけがをしたり親の介護が始まったりしたためにすっかり疲れてしまったアツコさん(39歳)
「27歳で結婚してすぐ夫の浮気が発覚、あげく借金までしていたことがわかって離婚しようとしたら妊娠がわかって……。やり直そうとして5年ほどがんばったんですが、無理でした。夫ももうわかっていたんでしょう、ひとりで家を出ていきました。慰謝料も養育費も払えないけどせめてと100万円置いていったのが、彼の誠意でしたから、もうそれでいいやと思っていたんです。そのときちょうど、子どもが遊んでいてたまたま骨折したり、私の父親が倒れて介護が必要となったりといろいろあったけど、私自身は心機一転と思って新たな気持ちでいたんですよね」
ところがいろいろなことがひとつにまとめて噂になり、近所で「夫が子どもを虐待して骨折、それを止めようとした妻の父親に殴りかかって父親も入院」と尾ひれがついていった。
「さらにその後、私が痩せたこともあって、実は妻に愛人がいたということにもなっていって。笑い話じゃすまないですよね。でも噂って、誰が張本人かわからないし、つきとめようもない」
近所から好奇な目が飛んできたが、アツコさんは気にしないようにして生活していた。だが、最終的には子どもを連れて実家に戻った。
「まあ、でもどこへ行ってもたいして変わらないですね。人は無責任な噂が好きなんだろうなと思います。私自身は自分の経験から、憶測でものを言わないようにしようとは思っています」
噂が噂を呼び、「どう思われているのか」という恐怖心や不安が生まれ、そこから心を病む人もいる。「ぶれずに」生きていくことは大変なのだ。気にせず、やり過ごす術を身につけていくことが大事なのかもしれない。