夫は定年、妻は現役の60代夫婦。「いい年なんだから落ち着けよ」自由な妻に口を出す夫の「情けない本心」
All About 2026年11月05日 00:00:00
スポーツジムに通ったり、健康に気を配って散歩を続けたりと、体力づくりにも余念がない。見た目も中身も若々しく、まだまだやりたいことがあると語る女性は多い。
そんな妻を見る夫は……
「僕は昨年65歳で定年退職したんですが、2歳年下の妻はまだ現役で働いています。結婚32年。子どもたちも独立して二人暮らしですが、妻が最近、パワーアップしていてちょっと驚いているところです」ケイタさんはそう話す。もともと家事は分担していたが、退職してからは8割方、自分がやるようになったと言う。
「それはいいんです。でも最近、妻のリエはたがが外れたように遊ぶようになってしまって。平日も友人と食事だの娘と外食だので、僕とあまり夕飯をとってくれない。週末はこのところ、昔やったことのあるビリヤードをまた始めたと言って出掛けていく。どこかのチームにも入ったらしい。スポーツジムにも通っていますね。そこでも友人ができたみたいで」
まるで独身に戻ったかのように人間関係を広げ、楽しいことを増やしていく妻に、ケイタさんは置いてけぼりを食らわされた気持ちらしい。
「楽しまなければ損でしょ」
「いい年なんだから落ち着いた生活をしようよと言ったこともあります。でも妻は僕をじっと見て『私たち、人生の残り時間はそれほど多くないと思う。もっと楽しまなければ損でしょ』と。今までできなかったことをしたいのよという妻に気圧されて、僕は何も言えなかった」退職して家にいる自分のことも気に掛けてほしい。本当はそう言いたかったのだが、さすがにプライドが邪魔して言えなかった。今までできなかったことをしたからといって、それが仕事になるわけでもないし、どうして夢中になれるのかが分からないとケイタさんは感じている。
何かを始めるなら、それが経済活動に結びつかなければ意味がない。彼は元ビジネスパーソンらしく、ついそう思ってしまうようだ。だがリエさんは、何かをすること自体を楽しんでいるのだ。結果としての対価を求めてはいない。
「老後のことも考えれば、そんなに浪費してはいけないと僕は思っていますが、妻は元気なうちにある程度、好きなことに使いたいと思っている。そこにも齟齬(そご)がありますね」
妻はもっと堅実なタイプではなかったかと感じることもあるそうだ。
ヘアカラーが派手になって
半年ほど前、帰宅した妻の髪色が赤くなっており、ケイタさんはびっくりしたという。もともとリエさんの職場は自由なところなので、ネイルなどはけっこう派手だったし、髪も明るめの栗色に染めていた。ところがそのときのリエさんは、金髪に近いような色に変え、さらに赤いメッシュがバンバン入っていたのだ。
「かっこいいでしょと自慢していましたが、僕から見たら『おいおい、大丈夫か』という感じでした。年齢を考えろと。すると妻は『娘にもかっこいいって言われたわよ』と。翌日、職場でも好評だったというんですけど、彼女の認識違いではないかと思いますね。芸能人ならともかく、いい年した一般女性が奇抜な髪の色をしていたら、やっぱり変でしょ」
あなたは感覚が古すぎると妻は言う。動けるうちに、できるうちに好きなことをして好きなように生きていなかったら、きっとあとで後悔するわよと。
「妻の母が1年ほど前に亡くなったんです。晩年、義母はずっとあれもしたかったこれもしたかった、だけどもう体が動かないと愚痴を言っていたようで、それも影響しているんでしょうね。長生きしたって自分で動けなかったら意味がない。だから動けるうちに私は好きなように生きることにしたと、改めて言われました」
大人には大人の役割があるのでは……
だから年齢を考えろとか世間体を気にしろとか、そういうつまらないことは言わないでと妻から宣言されたケイタさんは、分かったとは答えたが、何かがモヤモヤしているという。「古くて堅いのかもしれないけど、大人には大人の役割があると思うんです。おばあちゃんの知恵みたいなもの。ひたすら若くいたいと頑張っても痛いだけじゃないですか。そういうことを言うと、妻にも娘にも怒られるから言わないけど、年とった人間がどんどん軽くなっている。そういうところが僕としては受け入れがたいんですよね」
妻は「じゃあ、あなたは今、何が楽しくて生きているの?」と時々言う。人は楽しくなくたって生きるんだよと答えた。それもまた真理かもしれないが、「楽しそうに生きている人」には年齢を問わず、人を引きつけるものがあるのではないだろうか。
情報提供元: All About