芸術の秋ですね。東京都内でも見逃せない展覧会が目白押し。今回はこの秋ぜひ見ておきたい海外の有名美術館展3選をご紹介します。

「ルーヴル美術館展 ルネサンス」(国立新美術館/六本木)

まずご紹介したいのは、六本木の国立新美術館で開催中の「ルーヴル美術館展 ルネサンス」。

レオナルド・ダ・ヴィンチといえば、美術に詳しくない人でもすぐに名前が挙がる知名度抜群の芸術家であり科学者。ポスターにも使われているレオナルドの《女性の肖像》、通称《美しきフェロニエール》の初来日がこの企画展の目玉です。

そもそもレオナルドの真筆とされる絵画作品は15点ほど、女性の肖像画は《モナ・リザ》を含め全4点しかなく、そのうちの1点に出会える貴重なチャンスです。

作品のタイトルは、「《女性の肖像》、誤って付された別称《美しきフェロニエール》」。長いですよね。実は《美しきフェロニエール》とは、もともと別の女性の肖像画の呼び名でしたが、19世紀初めに2枚の呼び名が混同され、いつしかレオナルドの絵がそう呼ばれるようになったそう。今回、レオナルドの《女性の肖像》と混同された肖像画も、同じ会場に並んでいます。

ちなみにその肖像画は横顔で描かれていますが、レオナルドの絵は人物を斜めに描く「四分の三正面観」という手法で描かれているのが特徴。凛(りん)とした表情は強い意志を宿しているように感じられ、角度によっては怒っているようにも、恥ずかしがっているようにも見えました。視線もこちらを向いているのか、その先を見ているのかつかみかねる、不思議な魅力のある絵です。

この絵だけは間近で見るための列があり、私が訪れた10月の平日の午後は30分ほど並びましたが、待った甲斐(かい)はありました!

会場にはこのほかにもルネサンス時代の名作ぞろい。絵画だけでなく、タペストリーや絵付けの皿、メダルなども並び、当時の様子の一端にふれられます。特設ショップには、鎌倉紅谷の「クルミッ子」とのコラボ商品「ルーヴルッ子」も。私が行った日は完売でしたが、気になる方はチェックしてみては。

■ルーヴル美術館展 ルネサンス
会期:2026年9月9日(水)~12月13日(日)
会場:国立新美術館 企画展示室1E
開館時間:10:00~18:00(金・土曜と12月7日~12日は20:00まで)※入場は閉館の30分前まで
休館日:火曜日(11月3日、12月8日は開館)、11月4日(水)
観覧料:当日券一般2400円、大学生1400円、高校生1000円、中学生以下無料
※12月7日(月)~13日(日)は日時指定制。前売券・当日券で入場できるのは12月6日(日)まで

「テート美術館 ターナー展」(国立西洋美術館/上野)

続いては、上野の国立西洋美術館で開催中の「テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話」。光の画家とも呼ばれるJ.M.W. ターナーは、イギリスのロマン主義を代表する画家です。

もしかすると、夏目漱石の『坊っちゃん』で、赤シャツが松を見て「ターナーの画にありさうだね」という場面が思い浮かんだ人もいるのでは? 自然の風景のなかに描かれた光や大気の静かな美しさが心に響きます。

ロンドンのテート美術館は、世界最大のターナー・コレクションを持つ美術館。今回は、ポスターにもなっている《捕鯨船エレバス号に万歳! もう一頭獲ったぞ!》をはじめ、油彩や水彩など80点以上が来日しています。展示を見ていくと、作風が少しずつ変わっていき、新たな表現を模索し続けていたことが分かるのも興味深い点です。特に後期の作品では、色が溶け合っていたり、輪郭がぼやけていたりして、何を描いているのだろうと、つい見入ってしまいました。

作品は、海や山、空など、ダイナミックに変化する自然を描いたものが中心です。展覧会のキーワードは「崇高」。想像を超える圧倒的な自然の力を前にしたときに湧き上がる感情ですよね。ターナーはよく旅をした画家で、若いころはスケッチブックを手にイギリス各地を歩き、アルプスやベネチアも繰り返し訪れたそうです。

今回の展覧会でユニークなのが、ターナーの作品と並んで、いくつか現代アートも展示されていること。例えば、アルプスの雪崩を描いた《グリゾン州の雪崩》の近くには、オラファー・エリアソンがアイスランドの氷河を1999年と2019年に同じ場所で撮影し、気候変動による変化を見せる写真が並んでいました。現代アートと組み合わせる見せ方は海外では珍しくないのだとか。

時代や環境は違っても、自然への意識や問題提起の姿勢には共通するものがあるのだなと感じました。

それから、この展覧会、一部撮影OKなのもうれしいところ(※個人利用に限ります)。気になる作品があればおさめてみるのもいいですね。

■テート美術館 ターナー展――崇高の絵画、現代美術との対話
会期:2026年10月24日(土)~2027年2月21日(日)
会場:国立西洋美術館
開館時間:9:30~17:30(金・土曜は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(11月23日、2027年1月11日は開館)、11月24日(火)、12月28日(月)~2027年1月1日(金・祝)、1月12日(火)※2027年1月12日(火)~2月21日(日)の期間、国立西洋美術館 常設展は閉室
観覧料:当日券 一般2400円、大学生1500円、高校生1100円、中学生以下・障害者手帳をお持ちの方及び付添者1名無料
※観覧当日に限り常設展も観覧可(2027年1月12日~2月21日は常設展閉室)
※[巡回展]大阪中之島美術館:2027年3月13日(土)~6月27日(日)

「オルセー美術館所蔵 いまを生きる歓び」(東京都美術館/上野)

最後は、11月14日に上野の東京都美術館で開幕する「オルセー美術館所蔵 いまを生きる歓び」。“印象派の殿堂”とも呼ばれるパリのオルセー美術館から、絵画や彫刻、工芸、写真など約110点がやってきます。

ミレーの《落穂拾い》やファン・ゴッホの《星月夜》といった名画も。《落穂拾い》は23年ぶり、《星月夜》は16年ぶりの来日です。《星月夜》は、南仏アルルでローヌ川越しの夜空を描いた1888年の作品です。

個人的に「いまを生きる歓び」というテーマに強く引かれました。作品の多くが生まれた19世紀は、産業の発展や技術革新によって、社会が大きく変化した時代。描かれているのは、激動の時代の中でも、日々の暮らしに小さな幸せを見つけながらひたむきに生きる人々の姿です。

昨今も世界各地で紛争や災害が起き、先行きは不透明です。そんな時代だからこそ、「いまを生きる歓び」を掲げたこの展覧会から受け取るものは大きそうな気がします。作品リストを見ると、活力がわいてくるような絵が多くそろっている印象を受けました。いまを生きる意味や価値に思いを寄せる時間になりそうです。

ちなみに会場づくりは、オルセー美術館をはじめフランスで活躍するセノグラファー(展示空間のデザイナー)のセシル・ドゥゴス氏が手掛けるそうで、会場の雰囲気も楽しみです。

■東京都美術館開館100周年記念 オルセー美術館所蔵 いまを生きる歓び
会期:2026年11月14日(土)~2027年3月28日(日)
会場:東京都美術館 企画展示室
開室時間:9:30~17:30(金曜は20:00まで)※入室は閉室の30分前まで
休室日:月曜日、11月24日(火)、12月22日(火)~2027年1月3日(日)、1月12日(火)、3月23日(火)※11月23日(月・祝)、1月4日(月)、1月11日(月・祝)、3月22日(月・休)は開室
観覧料:通常券 一般2400円、大学生・専門学校生1300円、65歳以上1600円、18歳以下・高校生以下無料(前売券は11月13日まで販売、一般2200円)

ターナー展とオルセー展はどちらも上野公園にあるので、1日で両方をはしごすることもできます。チケットは、できれば公式Webサイトなどで事前に買っておくとスムーズ。気持ちのよい秋の日に、東京で名作にふれてみませんか。

古屋 江美子プロフィール

子連れ旅行やおでかけ、アウトドア、習い事、受験などをテーマにウェブ媒体を中心に執筆。子ども向け雑誌や新聞への取材協力・監修も多数。これまでに訪れた国は海外50カ国以上、子連れでは10カ国以上。All About 旅行ガイド。
情報提供元: All About
記事名:「 【東京】レオナルド・ダ・ヴィンチ初来日作やファン・ゴッホ16年ぶり来日も! 秋の注目展覧会3選 」