世界の羊料理が中野に集結! 羊食文化広める「羊フェスタ2026」が、とにかく“半端めぇ〜”盛り上がりだった
羊肉の食文化「羊食(ようしょく)」の発信を目的とした日本最大級のイベント「羊フェスタ2026」が、11月7日・8日の2日間、東京・中野のなかのアンテナストリートで開催されている。11回目の開催となる今年は「来れば日本の羊の今がわかる!」をテーマに、国内外の羊食関連団体や飲食店が27のブースを出展。来年の「ひつじ年」に向け、12年に一度のメモリアルイヤーを目前に控えた関係者や羊ファンの熱気で、会場は大いに盛り上がっている。当編集部はオフィシャルパートナーとして特別協賛するオーストラリアの羊肉生産者団体「ミート・アンド・ライブストック・オーストラリア」の招待を受け、初日の様子を取材。そのお祭りムードを実際に体験してきた。
ラム、マトン好き、集まれ! 年に一度の「羊肉の文化祭」が今年も開催
生後12ヶ月に満たない子羊肉「ラム」と、生後24ヶ月以上の成羊肉「マトン」に大別される羊肉。日本では、主にジンギスカンやラムチョップなどの料理で親しまれ、牛肉などと比較して低カロリーで、脂肪燃焼を促進する働きがあるとされるL-カルニチンを多く含むことでも知られている。
そして、日本で流通する羊肉のシェア7割を占めるのが、オーストラリア産の「オージー・ラム」だ。今回、我々が招待を受けた「ミート・アンド・ライブストック・オーストラリア」(MLA)は、シドニーに本拠地を置く、同国の羊肉生産者団体である。
開場15分前に現地に到着すると、羊肉が焼ける香ばしい香りが会場中を既にジャック。一方、MLAが出展する「LAMBASSADOR(ラムバサダー)」ブースをはじめ、有名ステーキハウスの「ウルフギャング・ステーキハウス」や中国料理の「味坊」など、知名度の高い店舗のブースには早くも長い行列ができていた。
お出かけ日和の晴天に恵まれた会場には、ジンギスカン発祥の地とされる北海道をはじめ、マトンを使ったご当地グルメ「伊那ローメン」で知られる長野県伊那市、オーストラリア、アイスランド、アイルランド、ウェールズ、そして中国・シルクロードなど、羊食文化が根付く国や地域に関連したブースが集結。加えて、西早稲田の「羊のロッジ」、虎ノ門の「ヒツジパブリック」など、都内の人気羊肉専門店も出展しており、まさに「羊肉の文化祭」を謳うにふさわしい雰囲気だ。
そして、ついに開場時間の11時を迎え、2日間にわたるイベントがスタート。子羊の着ぐるみ「羔(こう)ちゃん」が来場者を出迎える中、会場は開幕早々から大きなにぎわいを見せ、のぼりなどに書かれた「英国王室が愛した極上ラム肉」「超希少ラム肉」「北海道のなまらうまいジンギスカン」など、食欲そそる謳い文句に惹かれた人たちの列で、どこのブースにも活気が生まれる。正直なところ、羊の性格のようにのんびりしたフェスだと思ってやって来たのだが、そんな予想を覆す盛況ぶりに、つい思わず“羊語”で「こりゃ半端めぇ〜」という驚きの声が漏れたのだった。
特製ソースのラムチョップや韓国ラムバサダーの熱々プルコギで、オージー・ラムの魅力を発信
ラムバサダーとは、オージー・ラムのPR大使としてMLAが認定する食のプロ集団のことだ。場内最大規模の「LAMBASSADOR」ブースでは、彼らとコラボレーションした3つのコーナーが展開されている。
「オーストラリア産ラムチョップ」のコーナーでは、ラムバサダーが考案した特製ソース付きのラムチョップを1000円で販売。各日4人の料理人とコラボし、「ニラミント醤」「香味発酵ポン酢」「八丁味噌ソース」「メキシカンサルサ」など、個性豊かなソースの一品を味わうことができる。
隣のコーナーには韓国のラムバサダーが来日し、熱々ジューシーな「ソウル風ラムプルコギ」を、こちらも1000円で販売。
ごま油を使った特製醤油だれの香りを漂わせながら、鉄板でラム肉を焼き上げるパワフルなパフォーマンスも、会場の盛り上げに一役買っていた。
そして「北海道遺産 ジンギスカン応援隊」のコーナーでは、昨年の味付ジンギスカングランプリでグランプリを受賞した「HAY MEATの厚切りマトンジンギスカン」と「いまじんのネギ塩油タン」の食べ比べセットを1,200円で販売。
話題の羊肉料理が一気に楽しめる一品ということもあり、こちらも長い行列ができるほどの盛況ぶりを見せていた。
実際に味わった3品は、どれも「うめぇ〜」と顔がほころぶおいしさ。世界的にも高いシェアを誇るオージー・ラムの実力を、確かに感じることができた。
若者に人気広がる羊食文化。大手外食チェーンの参入も追い風に
会場では、本フェスの実行委員長であり、ラムバサダーの一人でもある羊齧協会の菊池一弘さんから、今年のこだわりなどについて話を聞くことができた。
「第1回は下北沢の会場に1万人くらいの来場者を集める規模で始まったイベントですが、昨年は2日間で3万6千人を動員するまでに成長しました。このままいけば、今年はそれを上回る方々に来ていただけそうなので、本当に嬉しいです」
まずは、開幕後のにぎわいに、ほっとした様子を見せた菊池さん。最初は珍しさを持って受け止められたという本フェスだが、10年以上の開催を通じて、羊食文化の広がりを確かに感じているという。
「特にその表れといえるのは、コロナ禍以降、若い来場者が増えたことです。昔は食にこだわりのある40代から50代の方々が中心のイベントだったのですが、昨年は20代、30代の来場者が半数以上になりました。そうしたところに、羊肉がマニアックな食べ物から一般的な食べ物へとシフトしてきていることを感じます」
その要因として、食のグローバル化・多様化によって「羊肉=レストランなどで食べるごちそう」というイメージが定着してきたことをあげる菊池さん。そうした追い風もあって、昨今では、大手外食チェーンが羊肉料理に参入する流れが、業界のトレンドになっているという。
「今回出展している『ジンギスカン酒場ラムちゃん』も、居酒屋チェーン『博多劇場』を運営する一家ホールディングスさんが力を入れている業態です。また、同じくブースを出店している『旭川成吉思汗 大黒屋』さんも、北海道を飛び出し、東京や名古屋へ積極的に出店されています。ほかにも、『いきなり!ステーキ』さんが先月から一部店舗限定でジンギスカン料理を提供したり、松屋フーズの『松のや』さんがジンギスカン定食を発売したりするなど、大手の参入によって羊食料理がより身近な存在になりつつあります」
こうした背景を踏まえると、本フェスの盛り上がりも「必然」といえるのかもしれない。さらに、もっと身近に羊肉に親しむ方法として、自宅でのおすすめの食べ方を尋ねてみると、スーパー等、真空パック入りで販売されている「味付きジンギスカン」のアレンジを紹介してくれた。
「冷凍で保存しやすい形で売られているので、野菜炒めや焼きそばに使うのはもちろん、ミックススパイスなどでアレンジを加えると味の複雑さが生まれ、一気にエスニック風の料理に変わります」
なるほど、それはパンに挟んでもおいしそうだし、酒のつまみにも良さそうだなと、いろいろな想像が膨らむ。正直、羊肉といえば、個人的には「みんなでジンギスカン」か「晴れの日に高級レストランで」という二極的なシーンで楽しむ印象があり、日常的に親しむイメージが湧かなかった。しかし、「めぇ〜(へぇ〜)」と何度も唸らされる菊池さんの話を聞き、その先入観が覆されたのだった。
そのほか、札幌市公認サッポロスマイルPR大使で、ラムバサダーとしても活躍するキャラクター「ジンギスカンのジンくん」のコーナーには、ジンくん本人が札幌から駆け付け、子どもたちの人気者に。また、雑貨やカレンダーなどの羊グッズが手に入る「ひつじなんでも市」も同時開催され、食以外でも羊を愛する人たちの熱気で満ちていた。
「羊フェスタ2026」は、11月7日・8日の2日間、東京・中野のなかのアンテナストリートで開催。8日の開催時間は、10時から16時まで。入場無料となっている。