ビール女子のみなさま、こんにちは!ポートランド在住の東リカです。
ポートランドの女子ブルワーをリレー形式で紹介するこの企画。4人目は、前回のナタリーさんとガールギャングを結成するマディ(Madeleine McCarthy)さんです。
彼女がアシスタント・ブルワーを務める「Sasquatch Brewing Co.」でお話を伺いました。


ブルワーは錬金術師みたいな仕事



マディさん、こんにちは!今日はお忙しいところ、ありがとうございます!早速ですが、プロのブルワーになるきっかけから教えて下さい。


Maddy



実家のオクラホマでビール好きの夫とホームブリューイングをしていたんだけど、彼がまず「プロのブルワーになりたい」って言い出したの。それでアメリカのクラフトビールのメッカである、ここポートランドに引っ越して来て、夫は無事ブルワーになった。
でも、ブルワーって本当に忙しくて、一緒に過ごす時間も全然取れないし、「もうそれならいっその事、自分もブルワーになっちゃえ!」と思ったのがきっかけかな。
彼の仕事を手伝っているときに、女子ブルワーが男子に負けない美味しいビールをつくれるって知ったことも影響してる。自分にもできるんじゃないかって思えたの。


確か、旦那さんは前回インタビューしたナタリーさんの同僚なんですよね?マディさんは彼らと同じ職場ではありませんが、実際にブルワーとして働いてみていかがですか?


Maddy


最高よ!毎日、ベッタベタに汚れて、なかなかキツい仕事なんだけど、自分の手で何かを生み出すことに、ものすごく充実感を得られるの



今プロブルワーとして2年目とのことですが、天職を見つけた!という感じですか?


Maddy


そうかも!実家は化学専攻の父をはじめ理系一家で、私も大学は理系だったし、昔から好きなものがあるとすぐに「これってどうやってできてるんだろう?」「作ってみたい」って思うところがあったの。ブルワーって、科学と創造力の両方を使ってモノを生み出す仕事でしょ。なんだか色々調合して魔法の薬を生み出す錬金術師みたいで、本当に面白いの。毎日、新しいことを学べるのも楽しいし、それに、1日の終わりに「自分の手でこれをつくったんだ」と誇れるものがあるのって、すごく素敵じゃない?


確かに!マディさんは、今後どんなビールをつくってみたいですか?


Maddy


大好きなビールは、サワーやワイルド・ベルジャンみたいなファームハウス系(自然界に存在する天然の酵母を使用し自然発酵させてつくるビール)なんだけど、私はまだしばらくは手を出せないかな。まずは、ベーシックなビールをマスターしないと!




美味しい上にキラキラ楽しいビール


そういえば、グリッタービールをつくっていませんでした?


Maddy


うん。金色のグリッターが入った『Gold Dust Woman』っていうIPA。フリートウッド・マックの曲から名付けたの。スティービー・ニックスの大ファンだから(笑)。SheBrew用に作ったんだけど、ものすごく評判がよくて商品化することになったわ。



ポートランドで話題になりましたよね。初の商品化レシピなのにすごいです!どのように思いついたのですか?


Maddy


ビールは楽しい!グリッターも楽しい!一緒にしちゃえば、もっと楽しくなる!と思って(笑)。実際形にする時には、グリッター入りビール作りの経験のある「Pink Boots Society(ビール業界の女性のNPO)」の人たちに、色々教えてもらったの。特にSheBrewで、同じ年にグリーンのグリッタービールを作ったリーには、ものすごく助けられた。



グリッタービールがマディさんの代表作でしょうか?


Maddy


私の初の商品化されたレシピだから、もちろんそうなんだけど、グリッターに囚われたくはないかな。グリッターは味をカバーしているものじゃなくて、美味しいビールがある前提で成り立っているのがグリッタービールだと思うし。


ビールづくりで一番大切なのは、やっぱり味でしょうか?


Maddy


一番目は、衛生よ(笑)!ビールづくりの過程の9割は、清掃や洗浄と言えるかも。でも、そうね、完成品としての最優先事項は、自信を持って「おいしい」って言えること。




いい仲間がいっぱいのクラフトビールコミュニティ



男社会の中の女子ブルワーだという意識はありますか?


Maddy


ポートランドでは、私がブルワーになる前に他の女性ブルワーが道を切り開き、活躍してくれているから、女子だからダメって感じは全くない。性別をはじめとする属性よりも、どれだけ美味しいビールをつくれるかでリスペクトを得られると思う。それに、「SheBrew」はもちろん、ポートランドの女子ブルワーのコミュニティはすごく強固で頼りになるの。


クラフトビールのためにポートランドへ引越して来たとのことですが、ポートランドが特別だと思いますか?


Maddy



全ての都市を知っているわけじゃないけど、ポートランドのクラフトビールコミュニティは、なんて言うか、いい人ばっかりなの。こっちに引越してきて、このコミュニティの一員として受け入れてもらって、オンオフ両方、ほとんどの時間をこの仲間と過ごしていても、全然飽きない。ついついビール飲みすぎちゃうって問題はあるけどね(笑)。
実家のあるオクラホマに女子ブルワーはいないし、ブルワーは男性の仕事って思われている。私がブルワーだって言うと、ものすごく驚かれるわ。でも、マイノリティになる体験も意外と面白かった。オクラホマ出身の私がブルワーとして働くことで、地元の女子が「私にもできるかも!」と思ってくれるだろうし、またコラボとかしたいと思ってる。
それに、ビールづくりって昔は、女子の仕事だったのよ!台所仕事の一環だと考えられてたんだって。だからまた女子がブルワーになるのって、自然の流れかもね。



日本のビール女子へメッセージをお願いします。


Maddy


ビールって本当に奥が深い飲み物。実は私、クラフトビールにハマる前は、「ビール=パパの飲み物」って思っていたけど、今は生活の全てがビールに染まってる。ビールの良さがいまいち分からないって人には、とにかくたくさんの種類を試してほしい。私の場合はレッドビールだったんだけど、「これいける」っていう自分の「入り口(gateway)」ビールに出会えたら、そこからふかーいビールの世界に入り込んでいけると思う




どうもありがとうございました!
情報提供元: ビール女子
記事名:「 【インタビュー】ビールをつくるため夫婦でポートランドへ!ビールづくりの錬金術師女子ブルワー