グラスが紡ぐ物語〜ビールの個性を引き立たせるグラスたち〜
ジョッキで、お気に入りのグラスで、家にあるテキトーなもので、ワイングラスで。いやいやグラスなんて使わないでそのままグビッと…。どんな風に飲んでも「旨いビールは旨い!」のですが、それぞれのビールを専用グラスで飲むと、ビールが生き生きとして香りや味わいもより一層引き立ちます。
ビールのために生まれてきたグラスたちの想いは「ビールの個性をもっと感じてもらいたい!」。そんなビールグラスたちが紡ぐ物語をご紹介します。
象が見える?それは幻覚「デリリウム ピンク象のグラス」
フルーティーでほのかな甘みもあり、あとからアルコールの強烈な辛みがやってくるベルギービール『デリリウム トレメンス』。 一口飲むときっとあなたの前にもこの象が現れ「一緒に踊ろうよ」とニコニコ誘ってくるだろう。その可愛さに騙されてビールを飲み進めて一緒に踊りだしたら、もう最後。 岩手の大自然の中、ヨーロッパの伝統的なビール文化を尊重して、本格的なビールを造り続けているベアレン。 もしブルワーを目指す若者がこのクマを見たら、きっとこのクマと一緒にビールを造りたいと思うのではないだろうか。 そしてベアレンビール「ザ・デイ」を飲みながら、こんな妄想をするかもしれない。 初めは少し怖くて近寄り難かったクマ。 缶を纏っていたベアレンビール「ザ・デイ」をパッケージそのままのグラスカンに注げば、ビールは一糸纏わぬ裸の状態で現れる。 「世界のビールが日本でも気軽に1杯から飲めるお店を作りたい」との想いから、福岡天神でぶっとんだ世界のクラフトビールを提供する立ち飲みビアバー「ビアキチ」。 ドラ猫は、毎日ビアキチ君を店の外から見て虎視淡々と「その日」を伺っていたに違いない。 箕面大滝や紅葉、ニホンザルで有名な、緑豊かな大阪府箕面市。 そんな箕面ビールのキャラクターは箕面のちょっとヤンチャなお猿さん。 「ビールに味を!人生に幸せを!」のキャッチフレーズが印象的な「ヤッホーブルーイング」 の『水曜日のネコ』。 日々忙しく仕事に追われる現代人。 やっと1週間の真ん中の水曜日。 グラスにはお店の看板息子でもある「ビールボーイ君2号」のマーク。 キャップのツバを横にしたヤンチャで人懐っこそうな少年、ビールボーイ2号君。 立飲みビールボーイの店先では、ビールボーイ君2号が前掛けをして元気よく「1杯どうですか〜?」と出迎えてくれるので、1人でもついつい気軽に立ち寄ってしまう。 愛されキャラで、きっとビールボーイ君2号のファンのお客さんも多いはず。 球場で試合を円滑に運営するのに重要な役割を果たすボールボーイのように、お客様の気持ち良い乾杯のひとときのため日々奮闘している。 クラフトビールと誠実に向き合い、日々美味しいビールを注ぎ続けるビールボーイ2号君の想いは「ビールでみんなを元気にしたい!」 ノリノリで人生いい波乗ってるビールボーイ君2号。 少年よ、ビールを抱け! 「自分たちが飲みたいビールを作ればいい」という想いの元、既存の枠にとらわれないオリジナルなビールを造り続けてきた京都醸造。 ー出身も生い立ちも違う、ベン、クリス、ポールの3人の共通点はビールが大好きだということ。 日本の青森の地で3人は出会い、歴史と伝統が織りなす京都の町でビール醸造を始めるー 六角形は、亀の甲羅を表す形だ。亀は日本のみならず世界中でも古くから愛され、人間の生活に馴染んでいる動物である。 たとえ「N」で正しかったとしても、それを「奈良」の「N」と決めつけるのはどうだろう。 全てのビールに造り手の想いや愛が込められています。専用グラスにビールを注げば、その想いが溢れ出てきて、ほろ酔いでグラスの声に耳を傾ければ、ささやかな声でビールのお話をしてくれます。 お家時間が多い今日この頃。
「デリリウム トレメンス」とは、オランダ語で「アルコール中毒による震え」という意味。これを飲むと、ピンクの象→クロコダイル→ドラゴン→鳥の順番で幻覚が現れるというがメッセージが込められており、ボトルのラベルにはその動物がポップに描かれている。
グラスには、初めに現れる幻覚の「ピンクの象」が散りばめられていて、かわいくも怪しい雰囲気。グラスの内側の底にはこの象が刻まれていて、そこから常に細かい泡が立ち続け、ビールのおいしさを保つ。
ピンクの象は満面の笑みで片足を上げて、フラフラと踊っているようにも見える。
グラスの底から現れ続ける泡の如く、幻覚の動物たちが次々と現れ、震えるほどおいしいこのビールと共にあなたも踊り狂い続けてしまうだろう。
〇ブルワリー:ヒューグ醸造所
〇グラス形状:チューリップ型
〇「デリリウム トレメンス」紹介ページ:https://www.nipponbeer.jp/lineup/delirium/私の世界が歪んでる?「デリリウム 象の鼻のグラス」
こちらはグラスは脚の部分が斜めになっています…これは私の幻覚なのか…。
いえ、この脚の部分は象の鼻の形になっているのだ。
不安定そうでちょっとドキドキしてしまう。
この象の鼻をギュッと握り締め、幻覚の世界へ乾杯! ビールと心を丸裸に「ベアレン グラスカン」
ベアレンとはドイツ語で「熊」を意味し、肉体労働が多く体躯のがっちりとした醸造職人をイメージして名づけられた。美味しいビールを造って自信に満ちたような表情の醸造職人のクマがトレードマーク。
でも一緒に働くにつれて、彼が美味しいビールを世界中に届けるために一切の妥協なく、ビール作りに没頭している厳しい表情だと気が付いた。
長い時を一緒に過ごし、衝突することもあったけれど、段々と彼の優しさや暖かさに包み込まれ、今ではすっかり親友に。
お互いに心を丸裸にして付き合えるこの関係が「日常」になった喜びを噛み締める。”
今は会えないけれど、丸裸になれる親友と一緒に飲んで大笑いできる日を願って、今宵もクマの醸造職人と乾杯。 こら〜!待て待て〜!「走るビアキチ君グラス」
店名の由来は「ビールのきちがい」略して「ビアキチ」と、とんでもなく尖っていそうなこのお店のキャラクターは、脱力感たっぷりな猫の「ビアキチ君」。
店先ではビアキチ君がお店の名物ニューヨーク風スライスピザを両手で掴んで頬張って、私たちを日常から少しヘンテコで緩い世界へ誘ってくれる。
グラスのビアキチ君は、一人でに逃げる大好きなピザを咥え走っている。
ピザが逃げるってどういうこと!?と思いながら、ビアキチ君の口から逃げるピザのチーズを追っていくと、何とそこにはビアキチ君のピザの反対側を咥えた見知らぬドラ猫が!
察するに、ビアキチ君がいつのもようにボーッとクラフトビールとピザを堪能していたら、その隙を見てお店の外からこのドラ猫が突如ピザを略奪しにかかってきたのだろう。
どこまでも続きそうな2人の追いかけっこ。
ビアキチ君のピザへの執念は、ドラ猫を追っかけさせたら日本一のあの国民的アニメの主人公に勝るとも劣らない。
ビアキチ君は追っかけているというより、もはや引っ張られているようにも見えるが…。
そんなビアキチ君を見て、みんなが笑ってます。お日さまも笑ってる。
今日もよか天気!
〇販売店:BEERKICHI(ビアキチ)
〇グラス形状:パイントグラス
〇グラス販売ページ:https://beerkichi.thebase.in/items/39577933ビールに願いを「箕面ビール ヤンチャなお猿のグラス」
「箕面ビール」は、そんな環境で「今表現できる箕面ビールらしい味」を追求したビール。
今の製造方法が絶対では無いという思いの下、常に試行錯誤を繰り返し「目で見て香りを確かめ、自分たちの舌で確認する」ことを最も重要視し、季節感も大事にした、生活の一部にとけ込むデイリーなビールを造っている。
グラスのお猿さんは、ほろ酔いで調子に乗っているのか、頭の上にビール瓶の栓を乗せて、王様気取りで嬉しそう。
彼はふと考えた。
毎日隣にいてくれるこのビールのことを。
首をすくめて、つぶらな目でグラスをじっと見つめる。
「この美味しいビールがある何気ない日常を“幸せ”っていうんだな…」
しみじみそんな思いを噛み締め、いつまでもこの日常が続いて欲しいと、右手でグラスをギュッと握りしめる。
お猿さんと彼のグラスを箕面ビールで満たせば、あなたの体が潤う宴の始まり。 真ん中をゆるっと「ヤッホーブルーイング 水曜日のネコグラス」
癒しの香りと苦味の少ない優しいベルジャンホワイトエールが、ピンと張った心と体の糸をふっと緩めてくれる。
そんなビールを表すようにグラスのネコは脱力している。
でも「水曜日のネコ」の缶に描かれているネコは、首をスッと伸ばし凛としているのだ。
このネコに何があったのだろうか?
好きな仕事をしてやりがいを感じている人、家族のために頑張っている人、人生を模索しながら目の前の仕事を黙々とこなしている人…理由はどうあれ、みんな気を張って、踏ん張って、背筋を伸ばして仕事をしているはず。
「水曜日のネコ」の缶に描かれるネコは、そんな一生懸命働く現代人のような気がするのだ。
月曜からの疲れも溜まってきてるけど、まだあと2日頑張らないといけない。
そんな夜に心も体もスマホもオフにしてブルーライトから解放されると、優しい暗闇がふんわりと浮かび上がる。
その暗闇にゆっくりベルジャンホワイトのビールを降り注げば、あなたもこのグラスのネコのようにユルユルな軟体動物になるだろう。
グラスに浮かぶ半月は、週の半分まで頑張ったあなたの輝き。
電源の切れた水曜日の夜が始まる。いつの間にか心地よい睡眠へ誘われることだろう。 少年よ、大志を抱け!「波乗りビールボーイ君2号グラス」
「クラフトビールの楽しさを伝えたい!」との思いで、都内中心にクラフトビールをリーズナブルに提供する「クラフトビアマーケット」の別業態「立飲みビールボーイ」。
〇販売店:立ち飲みビールボーイ
〇グラス形状:パイントグラス(ハーフサイズ)
〇公式HP:https://www.craftbeermarket.jp/bb-shibuya-parco/亀と歩むレキシ「京都醸造 六角形ロゴのグラス」
これは映画のあらすじ紹介では無い。
現実にある京都醸造の紹介だ。
これだけでも胸の高鳴りが止まらないが、実際に京都醸造のビールを目の当たりにすると、それはセンセーショナルな出会いになる。
商品名はそのビールへの想いを端的に表し、パッケージもシンプルでありながらどこのお店のビールコーナーでも圧倒的主役になる存在感。現代的でありながらも、日本の伝統を感じるデザインは、きっと緻密に計算され尽くされたものなのだろう。
ビールにアートと文学が宿っている。
このグラスに刻まれた京都醸造のロゴは、まさに京都醸造を体現している。
六角形は縁起の良い形とされ、「鶴は千年、亀は万年」のように長命・長寿の象徴とされている。ロゴには「ビールは人と人を結びつける「縁」の力を持ち、京都醸造が長生きしてほしい」との想いが込められているという。
また六角形の中にある「K」は「京都」の「K」だが、Brewingの「B」とCompanyの「C」も見出せ、創業者が3人いるので三角形が3つと…等々、多くの意味が込められている。
そして特殊な動物だ。こんな重たい物を背負ってゆっくり生きる生き物が他にいるだろうか?寿命も他の動物と比べると驚くほど長く、体も非常に強い。
亀の誕生は古く、2億年以上昔に遡る。
絶滅する動物が多い中、亀がこんなにも長い時を生き抜いたのは、他の種が思いつかないような甲羅を背負うという信念を決して曲げず、しかし焦らずマイペースに生きてきたからだろう。
まさに京都醸造は、独特で強い信念を持ち、人間の生活に馴染み、愛され、癒してくれる亀のように感じる。
京都醸造の長く続くであろう歴史は、まだ始まったばかり。
このグラスに京都醸造のビールを注ぎ味わえば、あなたもその歴史の中の1人になる。 “N”の仮説「奈良醸造 “N”のグラス」
定番ビールではなく、様々なビアスタイルで個性的なビールを造る奈良醸造。
商品名もユニークで、パッケージもアーティスティックな奈良醸造は「奈良」のイニシャル「N」がロゴマーク。
と、安易に決めつけていいのだろうか。
この幾何学的で騙し絵風な「N」らしき形。
疲れて熟睡している「Z」にも見える。
滑りっぱなしにはさせてくれない「滑り台」にも見える。
常に新しいことをし続けるという意味で「NEW」の「N」か。
自然なものの集合体からなるビールという意味で自然数全体の成す集合「Natural number」の「N」か。
いや、やっぱり奈良を愛する奈良醸造なのだから「奈良」の「N」か。
そんな風にあれやこれや思いを巡らせ、私はこの「N」らしき形に弄ばれる。
グラスに唯一無二な奈良醸造のビールを注ぐと、この横長の「N」らしき形が白くくっきり光り出す。
私は沈思黙考し、ゆっくりじっくりビールを味わう。
いつの間にか「N」に私の時の流れを支配される。
それが、奈良醸造を楽しむ速度なのだろう。
お気に入りのビールを専用グラスで味わえば、あなたとそのビールとの仲はより一層深いものになるはず。