日本有数の繁華街で有名な商業施設も多く、ショッピングやグルメが楽しめる街・銀座。銀座で初めてバーに併設された醸造所でクラフトビールをつくったのが「BREWIN`BAR 主水-monde-(ブリューインバー モンド。以下、主水)」です。


始まりは、ベテランバーテンダーの「自分たちの手で“銀座のクラフトビール”をつくりたい」という想いから。同じ夢を持つ職業がばらばらの人たちが集い活動を始めるも、その道のりは簡単ではなかったそう。

今回は、大人の雰囲気あふれる店内で“銀座のクラフトビール”ができるまでの話やビールの話を聞きながら、とっておきのクラフトビールを飲んできました。


ビールへの想いが「主水」をつくった



もともと「主水」は、銀座8丁目で30年続いたオーセンティックバー「MONDEBARモンドバー」でした。30周年を迎えた2015年10月に一旦閉め、2015年12月に大手4社のビールやクラフトビールを独自の空冷システムで提供するビアバーとしてリニューアルオープン。

バーテンダー 武蔵昌一さん
ビールはその場の雰囲気を明るくしてくれる飲み物。いつか自分たちでビールをつくってみたい」との想いを胸に秘めていた武蔵さん。バーからビアバーにリニューアル後、ビールへのこだわりを追求する中で、「やっぱり自分たちの手でビールをつくりたい。お店に来てくれる方に、つくりたての、ここでしか味わえない銀座のビールを飲んでほしい」と強く思うように。

そこで、バーテンダー、ソムリエ、シェフ、エンジニア、クラフトマン、デザイナー、ブルワー(醸造家)など、職業は違えど同じ夢を持つ人たちが集い、ビール醸造所併設のバーをつくるべく活動を始めました。
自家醸造クラフトビールが提供できるようになるまで、さまざまな苦労があったそうです。


その一つが醸造設備の選択。パーティールームだった場所を醸造所にする予定だったため、大きな醸造設備を置くことができません。小さくても問題なくビールをつくることができる装置を求め、世界中の設備を調べ、カナダ製の装置にたどり着きました。しかし、準備の最中に醸造機のパーツの一部が検疫で没収されてしまうというトラブルが発生。結局、そのパーツは日本のもので代用したそう。

ビルオーナーをはじめ、いろんな方から「はあ?ビールをつくる?無理だろ」などと言われつつも、一人一人説得し、課題を一つ一つ乗り越えてきた皆さん。活動を始めてから1年半後、ようやく自家醸造クラフトビールを提供できるようになり、その時の喜びはとても大きかったそう。

ピカピカのタンクが並ぶ醸造所



ビアバーの奥に作られた醸造所は「銀座醸造所」と名付けられ、ピカピカのタンクが並びます。


醸造設備が小さいことは「主水」のよさの一つ。
カナダから輸入した醸造機のタンクは小さく、高さは1mほどで、1回の仕込みで75Lのビールができます。他の設備に比べると1回の醸造量が少ないため、お客さんの意見や要望を取り入れやすいのだとか。また、つくる回数が多くなる分、改善を重ねやすく、よりおいしいクラフトビールを目指すことができます。

左:ブルワー 宮部友紀さん 右:ヘッドブルワー 榊弘太さん
「お客さんの意見と僕たちスタッフが飲みたいビールのイメージをすり合わせてつくっています。」とブルワーの榊さん。榊さんはブルワー歴24年のベテランで、「ドリンカビリティ(飲みやすさ)がありつつも、ちゃんと個性があるクラフトビールを目指していきたい」とのこと。

ブルワーやスタッフに要望を伝えれば、あなたや私の飲みたいビールをつくってもらえるかもしれませんね。

とっておきのクラフトビールをあなたの元へ



「主水」はビールが劣化しないよう、空冷システム(ビールタンクをタンクごと冷やして、タップから注ぐシステムのこと)を取り入れています。「主水」のシステムは、すべて手造りの完全オリジナルシステムなんだそう。

タップ数は14個。銀座醸造所でつくった新鮮なクラフトビールが常時つながっています。提供サイズは、ハーフパイント(280ml、800円、税抜)、USパイント(420ml、1,200円、税抜)、UKパイント(560ml、1,500円、税抜)。


いろいろと飲んでみたいという方におすすめな「飲み比べセット」もあり、3~10種(1種類100ml程度、500円、税抜。詳しくは店内でお尋ねください)を選ぶことができます。


フレンチ出身のシェフがつくる料理も自慢のひとつ。『わかめの唐揚げ』『野菜のピクルス』など、手軽に食べられるものや、『タンドリーサバ』『もち豚のロースト』『グラタン』など、しっかりと食べられるメニューがあります。

今回は、武蔵さんのおすすめメニュー、あなごを使った『Fish &Chips(1,500円、税抜)』と『ケルシュラオホ(写真はハーフパイント)』を注文しました。

「Fish &Chips」は、衣に『アメリカンペールエール』を使い、外はサクサク穴子は熱々でフワフワ。自家製のタルタルソースがたまりません。ポテトもねっとりとしていてホクホク。濃色系の色の「ケルシュラオホ」は、燻製した麦芽を使用し、ケルシュ酵母で発酵させたエールビール。スモークの香りが深く、やさしい味わいで、あなごの風味とよく合います。飲み込んだあとに口や鼻に残る芳醇なスモーク香が満足度を高めます。熱々のフライを、適温に冷やされたビールと一緒に食べる。なんとも贅沢なペアリング。


家でも「主水」のビールが楽しめるよう、お土産ビール(1本800円、税抜)が販売されています。在庫は随時変わるので、詳しくはお店で確認してください。


とっておきの“銀座のクラフトビール”と料理。その味を支えるベテランバーテンダーのおもてなし。

いろんな人の夢や想いから生まれた「BREWIN`BAR 主水-monde- 銀座醸造所」は、ゆっくりとクラフトビールをたしなみたい方におすすめのスポットです。ひとりでカウンター席で楽しむもよし、グループで楽しむもよし。きさくで知識豊富なバーテンダーさんとの会話は、ビールを楽しむためのスパイスになるはず。



BREWIN`BAR 主水-monde- (ブリューインバー モンド)


〇住所:東京都中央区銀座8-11-12 正金ビルB1
〇TEL:03-3574-7004
〇営業時間
【月~木】16:00~23:30(L.O. 23:00)
【金】16:00~25:00(L.O. 24:30)
【土】14:00~23:30(L.O. 23:00)
 ※祝祭日の前日は金曜日扱い
〇定休日:日曜、祝日
〇座席数:カウンター8席、テーブル30席
〇喫煙・禁煙:分煙(店内に喫煙スペースあり)
〇お子様連れ:子供可、ベビーカー入店可
〇公式ホームページ:http://www.brewinbar.com/
〇Facebook:https://www.facebook.com/brewinbar/





情報提供元: ビール女子
記事名:「 「自分たちの手で、“銀座のクラフトビール”をつくりたい。」ベテランバーテンダーが目指すビールづくり