全国の小中学校で不登校の児童生徒が増えている。


文部科学省の調査によると、令和6年度の小中学校における不登校児童生徒数は約35万4,000人と過去最多となった。そのうち約13万6,000人は、学校内外の機関などで専門的な相談や指導を受けていない。


子どもが学校に行けなくなったとき、学校や教育委員会だけでなく、民間の相談機関やフリースクールなど学校外の支援を利用する家庭もある。教育・育児相談などを手掛けるボーダレススター代表の貞盛秀明氏に、不登校の子どもや保護者を支えるうえでの課題について聞いた。



不登校35万人超、支援につながらない子どもも


不登校をめぐる状況は、一つの原因だけでは説明できない。


友人関係や学習面、生活リズム、家庭環境など、背景は子どもによって異なる。学校へ戻ることが適切なケースもあれば、別の学習環境を選択する方が本人に合う場合もある。


また、子どもの状態だけでなく、保護者が「どう対応すればいいのかわからない」と孤立するケースもある。文部科学省も不登校児童生徒への支援について、学校だけではなく教育、福祉などが連携し、子どもや保護者が必要なときに支援を受けられる体制の必要性を示している。


一方で、実際には専門的な相談・指導につながっていない児童生徒も少なくない。どのような支援先があるのかが分からない、相談すること自体に心理的なハードルを感じるなど、家庭が支援につながるまでにも課題がある。



学校外の支援には何が求められるのか



ボーダレススターは、オンラインを中心に教育や育児、心理面に関する相談を行っている。


代表の貞盛氏は、公立小学校や特別支援学校で教員を務めたほか、進学塾での指導などを含め、教育分野に携わってきたという。


現在は、不登校や引きこもりに関する相談のほか、子育てや学習、いわゆるギフテッドと呼ばれる子どもに関する相談などにも対応している。


貞盛氏によれば、相談の入り口になることが多いのは保護者だという。


子ども本人が困りごとを言葉にできない場合、まず保護者から家庭での様子や学校との関係などを聞き、状況を整理していく。


学校外支援には、学校とは異なる立場だからこそ話しやすいという利点がある一方、子どもの学校での様子を直接確認できないという限界もある。


オンライン相談であれば地域を問わず利用できるが、画面越しでは表情や行動などから読み取れる情報にも限りがある。民間支援を利用する場合には、どこまで対応できるのか、必要に応じて医療や行政など別の専門機関につなげられるかを確認することも重要になる。



「ギフテッド」という言葉をどう扱うか


近年、特定の分野で高い能力や関心を示す子どもについて「ギフテッド」という言葉が使われる機会も増えている。


一方、「ギフテッド」は一つの性格や行動パターンを指すものではない。


能力の表れ方や学校生活で抱える困難はそれぞれ異なり、「集団生活になじめないからギフテッド」と単純に判断できるものでもない。貞盛氏は、子どもを特定の枠にはめるのではなく、本人が何に困り、何を得意としているのかを見ることを重視しているという。


これは不登校への対応でも同様だ。


「学校へ戻す」ことだけを目標にするのではなく、本人が学習や社会との接点をどのような形で持つのが適切なのかを考える必要がある。


ただし、個別対応を重視するほど、支援者の経験や能力によって対応に差が出やすくなるという問題もある。民間支援が広がるのであれば、支援者の専門性やサービス内容を利用者が判断できる仕組みも重要になってくる。


民間サービスだけでは解決できない


不登校の増加を背景に、フリースクールやオンライン学習、民間の相談サービスなど、学校外の選択肢は増えている。


こうしたサービスは、学校だけでは対応しきれないニーズを補完する可能性がある。


一方、利用には費用がかかるケースもあり、家庭の経済状況によって利用できる支援に差が生じる可能性もある。


また、学校と民間支援者の間で情報をどこまで共有するのか、誰が全体の支援方針を調整するのかといった問題も残る。不登校を「学校だけの問題」あるいは「家庭だけの問題」として捉えることには限界がある。


学校、教育委員会、福祉、医療、民間事業者など、それぞれが役割を分担しながら、必要な支援へつなぐ仕組みが求められる。


不登校の児童生徒が35万人を超えるなか、「学校に戻すか、戻さないか」という二択だけでは十分ではない。


子どもによって異なる学び方や居場所をどう確保し、その家庭を誰が支えるのか。学校外の支援が広がるほど、公教育との役割分担と連携のあり方が重要になりそうだ。



【取材協力】
ボーダレススター
代表 貞盛 秀明 (さだちゃん先生)
https://www.borderless-star.com



情報提供元: TREND NEWS CASTER
記事名:「 不登校35万人超、学校だけで支えきれるのか 広がる「学校外支援」の役割と課題