子どもの習い事を選ぶ際、技術や体力の向上だけでなく、協調性や粘り強さ、自分で目標に向かう力などを重視する家庭もある。


スポーツや文化活動には、学校とは異なる人間関係や目標に触れられるという特徴がある。一方で、こうした経験が子どもの内面的な成長にどのようにつながるのかを客観的に評価することは容易ではない。


2024年に設立されたCiel Starチアダンススクールでは、チアダンスの技術指導だけでなく、生徒一人ひとりの成長ペースに合わせた指導を重視しているという。


チアダンスという集団競技を通じて、子どもたちに何を伝えようとしているのか。代表の相原優衣氏に話を聞いた。


チアダンスで「やり抜く力」は育つのか


チアダンスは、ダンスの技術だけでなく、複数人で動きを合わせ、チームとして一つの演技を完成させる競技だ。


そのため、自分一人が上達すればよいわけではなく、周囲とタイミングを合わせたり、仲間と練習を続けたりする場面も多い。


相原氏は、こうした過程に子どもが協調性や粘り強さを経験する機会があると考えている。


Ciel Starでも、「やり抜く力」を育てることをスクールのコンセプトの一つとして掲げている。


ただし、チアダンスを習えば自動的に非認知能力が身につくと考えるのは早計だ。


同じ練習でも、指導方法や本人の性格、周囲との関係などによって経験の受け止め方は異なる。


子どもが失敗したときにどのように声をかけるのか、競技結果だけでなく努力の過程をどう評価するのか。技術指導以外の部分も、教育的な経験を左右することになる。



世界大会の経験をどう指導に生かすか


相原氏は、競技者として世界大会での優勝経験を持つ。スクール側も、この経験を指導者としての一つの背景として紹介している。


競技経験の豊富な指導者から専門的な技術を学べることは、生徒にとって一つの選択肢になる。


一方で、競技者として高い実績を持つことと、子どもへの指導力は必ずしも同じではない。


特に初心者や幼い子どもの場合、完成度の高い演技を求めるよりも、本人の発達段階や性格に合わせた指導が必要になる。


相原氏は、基礎を重視しながら、生徒ごとの成長スピードに合わせることを意識していると話す。


実際、同スクールでは少人数制や個々の成長ペースに合わせた指導を掲げている。


ただし、スクールが拡大すれば、代表者本人だけですべての生徒を見ることは難しくなる。


個人が持つ競技経験や指導ノウハウを、ほかの講師にどのように共有するか。その仕組みづくりもスクール運営では重要になる。



「一人ひとりに寄り添う」と規模拡大は両立するか


習い事ビジネスでは、教室数や生徒数が増えるほど、一定のカリキュラムや指導マニュアルを整備する必要性が高まる。


その一方、画一化を進めすぎれば、子どもの性格や成長速度に合わせた対応が難しくなる場合もある。


Ciel Starでは、レッスン前後のフォローや、生徒一人ひとりへの対応を重視しているという。


こうした方針は小規模な教室では実践しやすいが、生徒や講師が増えた場合にも同じ水準を保てるかが課題になる。


例えば、講師間で指導方針を共有する研修や、生徒の成長状況を記録する仕組みなど、個人の力量だけに頼らない運営が必要になる。


これはチアダンスに限らず、スポーツスクールや学習塾など、教育サービス全般が抱える問題でもある。



習い事にどこまで「教育効果」を求めるか


文部科学省も、学校外で行うスポーツや文化活動などを、子どもの心身の発達や豊かな感性につながる活動として捉えている。


一方で、習い事に求めるものは家庭によって異なる。


競技力を伸ばしたい家庭もあれば、体力づくりや友人との交流、楽しめる居場所を求める家庭もある。


そのため、「非認知能力が育つ」という一つの価値だけで習い事を評価するのではなく、子ども本人がどのような経験を得ているのかを見ることが重要だ。


チアダンスには、仲間と協力して一つの演技を完成させるという特徴がある。


その経験を子どもの成長にどうつなげるかは、競技そのものだけではなく、指導者の関わり方やスクールの運営体制にも左右される。


生徒一人ひとりへの対応と、スクールとしての指導品質をどこまで両立できるのか。今後の拠点展開では、その仕組みづくりも問われることになりそうだ。




【取材協力】
Ciel Starチアダンススクール
代表 相原優衣
https://ciel-star.com/


情報提供元: TREND NEWS CASTER
記事名:「 子どもの「やり抜く力」は習い事で育つのか チアダンス教育が抱える可能性と課題