細田守監督の新作「果てしなきスカーレット」25年冬にソニーピクチャーズとタッグで全世界配給
東宝は23日、都内のTOHOシネマズ日比谷でラインアップ発表会見を開き、細田守監督(57)の新作「果てしなきスカーレット」を25年冬に公開すると発表した。コロナ禍の中、自身最高興収となる66億円超を記録した21年の前作「竜とそばかすの姫」以来、4年ぶり7作目となる。製作のスタジオ地図が、米ハリウッドメジャーのソニーピクチャーズと共同製作し、出資も受ける初の試みとなる。屋内の配給は東宝、それ以外の国はソニーピクチャーズにより、全世界配給となる。7作で、初の冬公開となる。
細田監督は、ビジュアルを公開。マントを身にまとい剣を携えた女性が描かれ、それが主人公のスカーレットだと説明した。同監督は「とある国の王女なんですけども、すごい厳しい世界を旅している。いろいろなアクションもあって、1種のロマンス的なものもあるエンタメ作品…ワクワクする映画になったらいいなという志を持って描いています」と作品の概要を説明した。
細田監督の映画の、さわやかなこれまでの作風と、違った質感のビジュアルとなった。同監督は「今まで、さわやかな映画が公開されますと言ってきたが…毛色が違う。右上にある海のような、現実でないような厳しい世界から、希望を見ているような女性が描かれている。ほおも服も汚れ、マントと剣を携えている。強いまなざしを持って、混沌(こんとん)の世界から果てしない先を見ている」などと語った。
スタジオ地図の齋藤優一郎プロデューサー(48)は「次の映画をどうするか、監督と話し合っていた時期、世界の方に希望を見いだす作品にすべきでは? と話した。その議論の中で、世界的スケール、現代性を併せた企画が出てきた。見た時の第一印象は、世界的に反響が起きるのではないか? と」と、細田監督の企画提案に世界に向けた可能性があると感じたと振り返った。
その上で「作家性、新しいチャレンジに満ちた作品をグローバルに届けるためには、日本と世界が手を取り合う、新しい枠組みを考えなければないかと考えたソニーピクチャーズから一緒に作って世界に届けようと熱烈なオファーが来た」と、ソニーピクチャーズとのタッグの経緯を説明。「高度なビジネスモデルを作るのは容易じゃなかったが、諦めなかった。日本映画、ハリウッド初の共同出資、製作、東宝とソニーピクチャーズで全世界配給という枠組みを作ることができた」とかみしめるように語った。
細田監督は「生と死に踏み込むのも大きなテーマ。主人公が乗り越えて最後までたどり着けば良いなとスカーレットを描いています」と胸を張った。「とある古典をモチーフに現代に何かを与えられれば。誰もが知っている有名な古典をベースに」とも語った。