【悼む】岡宏さんのもう1つの顔 それは“バンマス“の愛称で親しまれたアングラー
<悼む>
日本有数のビッグバンド、岡宏とクリアトーンズ・オーケストラのバンドマスターで歌手の岡宏(歌手名BOSS★岡)さんが88日午前1時58分、入院先の病院で脳梗塞のため死去した。83歳。日本音楽事業者協会が発表した。
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岡さんは音楽家であると同時に、アングラーとしての顔も持っていた。記者が岡さんを取材したのは昨年9月1日と10月1日。当時、日刊スポーツ釣り宿共栄会に所属してた千葉・大原「力漁丸」で、ヒラメ釣りの部分解禁および全面解禁のときだった。
右舷トモ(最後尾)が特等席で、常連客の間では“バンマス”が愛称だった。力漁丸には先代の船長時代から通っていたという。部分解禁の9月1日は、前日にも乗船していた。ヒラメは解禁前で狙えないため、オニカサゴがターゲットだった。「型が小さいのしか取れなかった。でも、サメはたくさん釣れたよ」と笑っていた。
そして迎えた部分解禁日。この日、ラスト15分で、船中最大となる3・1キロを釣り上げたのだ。「船頭が良くて、道具が良くて、腕が良ければ釣れるんです」と無邪気に笑う笑顔が、今でも脳裏に焼きついている。「こうじゃないと芸能人はつとまらないですよね」と豪語しつつも、動画を止めると「バレなくて良かった…」と胸をなで下ろす姿も愛嬌(あいきょう)たっぷりだった。
昨年6月に「かすり傷」で歌手デビュー。船を下りると、「これ聞いてみて。別に宣伝しなくてもいいから」と車に乗せていたCDをプレゼントしてくれた。
実は今日、天童よしみさんの取材をテイチクエンターテインメントで行っていた。その際、岡さんのポスターが社内に掲示されていて、「岡さん、元気かな?」と思っていたのだが、その直後に訃報を知った。そして、力漁丸の現船長にその旨を伝えると、先代船長が4日に亡くなったということを知った。
なかなか経験したことのない偶然だが、あっちの世界で、先代船長の操船する船で釣りを楽しんでいるのかもしれない。謹んでお悔やみ申し上げます。【川田和博】