画家吉野祥江、夫ミッキー率いるゴダイゴから感じる多様性「人種、宗教違っても仲良く」/連載5
画家吉野祥江(53)が、11月1~3日に米国サンディエゴで開催の「アート・サンディエゴ」に出展、来年2月11~18日には東京・玉川高島屋で個展を開催する。2007年(平19)にゴダイゴのミッキー吉野(72)と結婚。コンサートに作品を提供したり、アルバムジャケットも描いている。
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全ての災いを食べ尽くすヤギの絵を描いている。ガザもウクライナも、平和への願いは夫のミッキーの影響を受けている、
「多分、一緒にいるからだと思うんですけど、ゴダイゴの曲で『ビューティフル・ネーム』というのがあるじゃないですか。ミッキーが、よくピアノで弾いていて歌っています。英語の歌詞で、黄色もホワイトも背が高い、低いも全然関係ないっていう。みんな同じに名前があるんだみたいな。日本語の文字の歌詞でも、やっぱりゴダイゴの核の中に、やっぱりそういうダイバーシティ(多様性)みたいなものがあって、それをすごく感じるんですよね。バンドのメンバー自体も、外国人がいて人種が違って、宗教も仏教がいてクリスチャンがいる。それで、みんな仲良くやってるじゃないですか」
グローバルなテーマを持って活動するゴダイゴ。それをプロデュースするのが、リーダーのミッキーだ。
「私たち結婚の時には、神父さんをゴダイゴのメンバーのスティーブさんにやってもらいました。ベース・ギターだけじゃなくて、神父さんも本業ですからね。結婚届けの証人も、ボーカルのタケカワ(ユキヒデ)さんに書いてもらいました。全部、メンバー内で完結するていうね(笑い)」
72歳と53歳の夫婦。結婚して、17年がたった。
「ミッキーはもう、心臓にステントが入ってたりとかします。自分のペースで散歩をするのが一番いいんですよね。それで、ミッキーは私に頑張ってもらって世界中の展覧会に行ってほしいと。自分も行けるとは同行すると。アメリカは、もうスタッフがいるし、去年は台湾に行ったりしました。そういう展覧会の場で、ミッキーが演奏したりするんです。他人の仕事だから楽しいというか、自分の仕事じゃないから、結構楽しいプレミアムを持ってやってますね。ラフに展覧会場で楽しんで、ふっと見たら、ミッキーが演奏している。そういうアーティスティックなことを考える時間が、楽しいって言ってくれるし、表情がやっぱり違いますね」
コンサートではなく、展覧会での演奏。
「コンサートだと、やっぱりピリピリしてるじゃないですか。そんなのじゃないから、ニヤニヤして楽しんでる。あれはやっぱり素晴らしい、楽しみながらできるっていうのは、強みですよね。ミッキーはアートが好きだし、いろんなものからインスピレーションっていうか、きっかけを探してる感じがあります。そんなことが、ミッキーの刺激になってるのかなと思ってます。これがまた画家同士、音楽家同士だと、またぶつかるところも出てきちゃう。違うから、いい影響があるんだと思います」【小谷野俊哉】(続く)
◆吉野祥江(よしの・さちえ)1971年(昭46)1月18日、東京・世田谷区生まれ。07年(平19)に韓国・弘益大絵画科卒業。同年、ミッキー吉野(72)と結婚。15年モダンアート展優秀賞。23年にアート・エキスポ・ニューヨークでベストブースデザイン賞。同年レッド・ドット・マイアミで最優秀国際出展者。