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一方、速筋線維は収縮速度が速く大きな力を発揮することができるので、「短距離走」のような瞬発力が要求される運動時に動員されます。速筋線維は白く見えるので、「白筋」とも呼ばれています。
速筋線維には更に、「IIa線維」と「IIb線維」という2つの種類があり、この中でも特にIIb線維は収縮速度と筋力が高く、大きく発達すると言われています。
また、IIb線維は筋肉量にも大きく関与すると言われています。そのため、速筋線維、特にIIb線維を刺激することで筋肉量を増やすことができ、基礎代謝アップにつなげることができると言えます。
ではなぜ腕立て伏せが基礎代謝アップに有効と言えるのか、その理由についてお伝えしていきましょう。
筋線維は遅筋線維と速筋線維の2つの種類がありますが、その比率は筋肉によって異なります。
遅筋線維が多い筋肉として、ふくらはぎの深層筋である「ヒラメ筋」や、すねの筋肉である「前脛骨筋」などが挙げられます。
それに対して速筋線維が多い筋肉には、太もも表側にある「大腿四頭筋」や二の腕の筋肉である「上腕三頭筋」、そして胸の筋肉である「大胸筋」があります。この上腕三頭筋と大胸筋をまとめて鍛えられるエクササイズがあります。それが「腕立て伏せ」なのです!
このようなことから、腕立て伏せを行うことで速筋線維が多い上腕三頭筋と大胸筋を刺激することができ、効率良く筋肉量を増やし、基礎代謝アップにつなげることができると言えるのです。
ここで今一度、「基本的な腕立て伏せのフォーム」をおさらいしておきましょう。
この基本的なフォームで腕立て伏せができていないと、大胸筋と上腕三頭筋に効かせることができなくなるので、基礎代謝アップにつなげることができません!しっかりと覚えておきましょう。
1. 両手を肩幅よりやや広めに広げて、肩よりもやや低い位置に手を置くようにします。そうすることで肩への負担を軽減させることができます。
2. 頭から足を結ぶ線を一直線にキープさせたまま、息を吸いながら上腕部を開いていくことで左右の手の間に胸をゆっくりと下ろしていき、息を吐きながら開いた上腕部を閉じるという動作を繰り返していきます。
そうすることで大胸筋と上腕三頭筋に効かせることができます。
「通常の腕立て伏せでは10回もできない!」という場合は、下の写真のように両膝を床について腕立て伏せを行うようにしましょう。
それでも10回こなせる自信がない場合は、壁を使った腕立て伏せを行うとよいでしょう。
壁を使った腕立て伏せは、足の位置で強度が変わります。強度を上げるには、両足の位置を壁から遠ざけるようにします。この時、腰が弓なりに反らないように注意しましょう。
逆に通常の腕立て伏せでは10回が余裕でこなせてしまう場合には、両足をイスなどに乗せて胸よりも高い位置に足を上げて行ってみましょう。
それでは腕立て伏せによる筋肉量アップ効果を高めるにはどうすればよいか、その具体的な方法についてお伝えしていきましょう。
先程お伝えしたように、基礎代謝アップのために筋肉量を増やすには、速筋線維を刺激する必要があります。
速筋線維を刺激するためには、「運動強度」がポイントとなります。具体的には、10回前後反復可能な強度で腕立て伏せを行うようにします。
また、筋肉量を増やすためには「乳酸の蓄積」も必要となります。乳酸が蓄積されると、筋肉の成長を促す「成長ホルモン」が分泌されるようになるからです。
乳酸を蓄積させるには、セット数を多めにし、セット間の休憩時間を短めに設定するようにします。具体的には、合間に1分間の休憩を入れながら3~6セット行うようにします。
腕立て伏せが基礎代謝アップに有効な理由がご理解いただけたでしょうか。
しかし、だからといって「基礎代謝アップには腕立て伏せだけやればいい!」というものではありません!下半身の大きな筋肉を刺激できる「スクワット」や、背中の大きな筋肉を鍛える「ベントオーバーローイング」なども行うようにしましょう。
ボディメイクで大事なことは、全身の筋肉をバランス良く鍛えることです。
「脚だけ」とか「胸だけ」というような偏ったトレーニングメニューは、カラダのバランスを崩すことにもつながってしまうからです。するとカラダが歪んだ状態となるので、却ってボディメイクがうまくいかず、そればかりか腰痛などを起こしやすくなってしまいます。
効率良く「なりたいカラダ」に近づけるエクササイズを選び、バランスを考慮してプログラムを作成するようにしましょう。