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化粧品は製造された後、販売・購入をしてから購入者が使い切るまでに長い時間がかかります。化粧品を開封し、使いはじめると空気にふれるため酸化がはじまるだけでなく、手で直接触れることで手に付着した雑菌や微生物が繁殖したり、腐敗したりする恐れがあります。
そうならないためにも、化粧品を使い切るまで、品質を維持することが大変重要です。微生物とはなんなのか、また化粧品の品質を維持するためのおすすめの方法をお伝えします。
微生物とは非常に小さな生物で、肉眼で見ることはできません。顕微鏡で約1,000倍に拡大すると見えるくらいでしょう。微生物が繁殖し、数が増加すると腐敗してしまうおそれがあります。
微生物とひとことで言ってもその種類は数多く存在し、悪いものばかりでなく、生活に役立つ微生物も存在します。
例えば、カビの仲間である麹、細菌の1種である乳酸菌・パン酵母・納豆菌などが身近なもの。これらは菌が増殖しても「腐敗」とは呼びません。つまり、人間にとって都合の悪い微生物が増殖した場合を「腐敗」と呼んでいるのです。
人間は微生物に囲まれて生活していると言っても過言ではありません。外気はもちろん、家の中で使っているものにも微生物はたくさん存在します。例えば、ふきんや食器洗い用スポンジには1gで1万~100億個、微生物が付着していると言われています。
体内にも微生物が存在しています。特に口の中には1gで1,000~100億個の微生物が存在しているようです。この数からもわかるように、微生物の増殖のスピードはとてもはやいです。その生育の3大要素となっているのが「水・栄養・成長に適切な温度」です。
肌上にも常在菌と言われ、数種類の微生物がバランス良く存在することで、有害な菌や物質から肌を守り、正常な状態を保っています。
肌にとって良くない菌ばかりに気を取られ、過剰に除菌・殺菌をしてしまうと常在菌のバランスが崩れてしまいます。すると肌の防御機能が低下し、良くない菌が繁殖するおそれがあるので逆効果となります。
化粧品に関係する微生物は、主に細菌・真菌と呼ばれる酵母やカビのこと。化粧品中は微生物にとってとても繁殖しやすい場所です。それは化粧品に含まれている多くの成分や水が、微生物の栄養分となるからです。
また、化粧品を使い切るには長い時間がかかります。その期間に微生物に汚染されることなく、品質を維持するのがとても重要となっています。
そこで微生物汚染が起きるおそれのあるケースをご紹介します。
メーカーの製造工程で発生するのが一次汚染です。原料・容器を含む原材料、製造設備や空気などの製造環境、作業者などによって微生物が製品に混入し、増殖する汚染の仕方です。
一次汚染の時点で問題が発覚した場合、法律で販売することは禁じられているので、世の中に出回ることはないので安心です。
消費者が実際に使用している際に発生するのが二次汚染です。化粧品が使用・保管される環境、使用者の手・指などが触れることで微生物が混入し、増殖する汚染の仕方です。
細心の注意を払って開発・製造された化粧品でも、私たちの使い方次第で菌が混入し、品質が劣化するおそれがあります。ただ二次汚染は化粧品の使い方・保存の仕方で予防することができます。
私たちが予防できるのは、微生物による二次汚染です。化粧品は毎日1~3ヶ月、長いもので1年以上同じ商品を使い続けることもあるので、できるだけ清潔な状態を保ちたいというのが本音。
今日から始められる、微生物の汚染を予防できる方法についてお伝えします。
化粧品は普段どのように手に取っていますか?チューブタイプやポンプ式のものは必要な量のみ取り出すことができますが、ジャータイプはそうはいきません。ジャータイプの化粧品を使う場合は、スパチュラを使うことをおすすめします。
直接、指で取るとそこから微生物が侵入し、繁殖するおそれがあります。化粧品を取る前にアルコールでスパチュラを拭き、取ったあとは化粧品が付着しているかもしれないので、ティッシュオフして、清潔に保ちましょう。
普段使っている化粧品の量以上に間違えて取り出してしまった場合、もったいないと思ってつい戻したくなりませんか?しかし、一度外気に触れた化粧品を元に戻すと、微生物の繁殖の原因になりかねません。
一度外に出したものはデコルテやボディに塗布して、使いきりましょう。最近では、一度出した化粧品が戻らないような作りをしている容器を使用しているメーカーも多いくらいなので、注意しましょう。
保存場所によっても微生物が繁殖するおそれがあります。特にお風呂場などの高温多湿な場所は要注意です。微生物・菌が混入・繁殖しやすい環境にあるものは、保存場所を変えることをおすすめします。
温度の変化が少なく、湿度の低い場所で保存するのが良いでしょう。そして、仮に菌が繁殖してしまった場合は、どこから・なぜ菌が繁殖したのか原因や混入経路を把握し、再発防止に努めましょう。
人間の生活と密接に関係している微生物は、私たちに良くも働きますが、悪く働く場合もあります。特に化粧品においては、肌に付けるものなので、悪い菌を増殖させないように気を付けましょう。
気に入って使っているアイテムなら、品質を落とさず使いたいもの。清潔な状態を保てるよう、工夫をして健やかな肌を目指しましょう。