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一生懸命スキンケアをしたり、食生活に気をつかったりしているのに肌トラブルが頻発するなら、肌をこすり過ぎているかもしれません。肌の表面に摩擦が起きると、どんなトラブルが生じるかチェックしておきましょう。
摩擦は肌にとって刺激になります。刺激は強弱の程度はあれど、肌に炎症を引き起こします。すると、脳が「肌を守るためにメラニンを作りなさい」とメラノサイトに命令。シミの原因になり嫌われがちなメラニンは、実は肌を守る役割があります。
脳から指令を受けたメラノサイトはメラニンを生成するため、紫外線対策を徹底していてもシミができたり、肌がくすんだりしてしまうのです。
人間の肌は複数の層で出来ています。目に見える一番上の部分が表皮で、表皮は上から順に角質層、顆粒層、有棘層(ゆうきょくそう)、基底層の4層構造です。
表皮はわずか0.2mmの厚さしかなく、角質層は0.01~0.02mm程度でラップの薄さとほぼ同じです。それほどまでに薄い表皮に摩擦を与えると、角質層が大ダメージを受けます。
すこやかな肌の場合、角質層には角質細胞が整然とならび、そのすき間を細胞間脂質が埋めています。肌内部の水分蒸発を防ぐ、紫外線や外気の乾燥から肌を守る、ウイルスやほこりなどが体内に侵入するのを防ぐなど、肌のバリアとしての役割を担っています。
しかし、摩擦で角質層がダメージを受けるとバリア機能が低下。外的刺激に対して非常に弱い肌になってしまいます。すると、肌の乾燥悪化によるかさつきやキメの乱れ、ひどい肌荒れや吹き出物など、肌トラブルが頻発してしまうのです。
普段の生活のなかで、肌に摩擦を与えるシーンは多々あります。少しでも摩擦のダメージを減らすため、見直したいポイントをおさえておきましょう。
クレンジングや洗顔のときに、メイクや皮脂汚れを落とそうとして、肌をゴシゴシこすっていませんか?クレンジングや洗顔は、スキンケアの中でも特に肌摩擦が起こりやすいので注意が必要です。
クレンジングを選ぶ際は、以下のポイントに当てはまるタイプを選ぶのがベター。
特に、肌にやさしいと人気のミルクタイプのクレンジングは、メイク落ちが悪いデメリットがあります。メイクが落ちないからとゴシゴシこすってしまっては、肌にやさしいどころか大ダメージを与えてしまいます。
しっかりメイクのときはミルククレンジングは避けるほうがベター。
また、ウォータープルーフのマスカラやアイライナーなど、濃いめのアイメイクをしている人は要注意。落としにくいアイメイクは、専用リムーバーを使うのがおすすめです。専用リムーバーをコットンにたっぷり含ませて、アイメイクにやさしくなじませ、さっと拭き取ってからクレンジングしましょう。
洗顔は濃密なもこもこ泡をクッションにして洗いましょう。手と顔の間に常に泡があるようにして、肌の上で泡を転がすように洗います。
泡立たないタイプの洗顔は、思わぬ力が指先に入って肌摩擦を引き起こす可能性があります。肌をこすり過ぎないように十分注意しながら洗いましょう。
クレンジングも洗顔も、すすぐときにシャワーを直接顔にかけるのはNG!シャワーの水圧で角質層がはがれてしまいます。手のひらにお湯をためて、やさしく洗い流してください。
ただし、バシャッと勢いよく顔にお湯をかけたり、ゴシゴシしながらすすいでは意味がありません。手のひらにためたお湯に顔を近づけて、お湯に顔を浸すようにしてすすぎましょう。
洗顔後に使うタオルの状態と拭き方に気を配りましょう。
まず、タオルの状態についてです。かたくゴワゴワになったタオルを使うのは、肌摩擦の原因になります。タオルは洗濯を繰り返すとどうしてもゴワゴワになりがち。以下のような工夫を取り入れて、ふわふわのタオルを使うようにしてください。
次に拭き方についてです。タオルで顔を拭くときは、肌をゴシゴシ拭くのはNG。水分をタオルで拭きとるのではなく、吸い取らせるのが正解。タオルを肌にやさしくあてて、水分をタオルに吸収させます。
化粧水、美容液、乳液など、基礎化粧品を肌になじませるときは、ハンドプレスを基本にしましょう。ゴシゴシとすり込むように化粧品をなじませるのは絶対にNGです。
アイテムの特性に合わせて使い方は異なりますが、次のようなやり方で化粧品を顔につけていきましょう。どのプロセスでも、「絹豆腐を崩さないようになでる力加減」で肌に触れてください。
【基礎化粧品のベーシックなつけ方】
ハンドプレスは頬、フェイスライン、口元、目元、おでこなどパーツに分けて行いましょう。1か所につき10秒程度ハンドプレスします。
顔のコリをほぐしたり、血液の流れを良くしてむくみを解消するフェイスマッサージ。マッサージする時間はとても心地よくリラックスできるので、毎日のケアに取り入れている人も多いのではないでしょうか。
しかし、フェイスマッサージはどうしても肌に摩擦が生じやすい行為。あまり頻繁に行うと摩擦ダメージが蓄積しかねません。
マッサージの回数を減らす、短時間で行うなど、マッサージの頻度は少な目を基本にしましょう。
また、乾いた肌にフェイスマッサージをすると、摩擦は大きくなります。必ずクリームやオイルを肌に塗り、手の滑りを良くしてから行ってください。
ベースメイクを塗るときのパフやスポンジ、アイメイクのチップやブラシなども肌摩擦の原因になります。とはいえ、毎日のメイクは必須という人も多いことでしょう。
伸びが良いメイクアイテムを基本に、肌をメイク道具でこすりすぎないようにやさしくメイクをしましょう。
皮膚が動かないような力加減がベスト。特に皮膚が薄くてデリケートなまぶたは、アイメイクでこすり過ぎると黒ずみやすいので注意してくださいね。
スキンケアやメイクでの肌摩擦の見直しポイントを5つお伝えしましたが、それ以外でも肌への摩擦に注意しましょう。次のようなシーンでも肌摩擦は生じています。
摩擦を意識するのとしないのでは、数年後の肌に差がつきます。特に摩擦によるシミやくすみは、見た目年齢を老けさせる原因になります。
とはいえ、摩擦に対してあまり神経質になり過ぎると、ストレスでかえって肌には悪影響になりかねません。神経質になり過ぎず、「肌に触れるものが肌の摩擦を引き起こす」という点を頭の片隅に置いて生活すると良いでしょう。