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実は、「ポケモンGO」ヒット前からかなり実用的な形で活用していたアプリがあるのをご存じだろうか。
どんなアプリかというと、食の安全・安心に関わるトレーサビリティアプリだ。
この記事ではそんなトレーサビリティアプリについてご紹介したい。
トレーサビリティとは、追跡(トレース)可能な状態という語句の意味通り、手元にある商品を生産段階まで追跡が可能な状態のこと。
とりわけ話題になることが多いのは、我々の体に入る食品のトレーサビリティだ。
個人の経営する八百屋がそこここにあり、場所によっては生産農家から直接購入することも可能だった昔とは違い、現在店舗に並ぶ商品は、どこでどのように作られたのかわからないケースが多い。
生鮮品の場合、最近はブランディング効果を狙うということもあってか、生産者の写真や名前が売り場に掲載されることも多いが、加工食品だと生産者の情報はほとんどわからない。
ここ数年は、食品の製造工程で異物が混入するだとか、食品の衛生管理の問題とか、産地偽装といった問題がニュースになることが多く、「どのように生産されたか?」というプロセスが見えないことに不安を感じる人も少なくないだろう。
トレーサビリティアプリを使えば、こうした不安に対して生産者側からできる限りの情報を与え、消費者が納得の上で購入することができるようになる。
「トレーサビリティ・アプリ」は、オーストラリアのマクドナルドがリリースしたアプリ。
ハンバーガーのパッケージにコードが記載されており、アプリを起動してコードを読み取ると、各食材の産地やできるまでのストーリーをAR表示する。
ただただ実用的なつくりになっているわけじゃなく、パッケージから情報がポップアップ表示されるなど、楽しく見れる工夫がされているあたり、マクドナルドならではといった印象だ。
情報だけでなく、生産者の顔が表示される点も、安心感を与えてくれる。
このアプリがリリースされたのは2013年。
日本でマクドナルドの鶏肉問題が発生したのは2014年で、そこからマクドナルドの評判が一気に悪化した。
今では当時の評判がウソだったのではないかというほど好調なマクドナルドだが、食品の安全という意味では、日本でもこのアプリを導入してほしいところだ。
「産地AR」はクウジット株式会社がリリースした、産地情報を表示するアプリ。
商品やパッケージに印刷されたARマーカーをアプリで読み込むことで、産地情報を表示してくれる。
また、産地情報以外にも関連商品のクーポン情報やくじ引きなどといったコンテンツを用意することもできるようになっており、安心・安全に関する情報を届けるだけでなく、プロモーションにも活用可能だ。
このアプリがリリースされたのは2014年。
これまで継続的にサービス提供されてきたが、2017年8月31日でサービス終了とのこと。
「アキタたまごAR」は、株式会社アキタが提供するグルメな卵「きよらグルメ仕立て」と連動したアプリ。
2014年にリリースされた。
「きよらグルメ仕立て」のパッケージラベルにかざすことで、ARによるゲームを楽しむことができる。
それに加えて、卵の生産情報を表示するトレーサビリティ機能も用意されている。
情報提供だけでなく、ゲームによって商品に親しめるようになっているという点がユニークなアプリだ。
豊洲移転の問題で「安心・安全」が大きな論点になったことを見ても分かる通り、日本人の「安心・安全」への関心は高い。
このため、トレーサビリティアプリが今後も受け入れられる可能性は十分ある。
今回紹介したトレーサビリティアプリは、ほとんどが2014年ごろにリリースされているが、AppleがスマートフォンのAR対応を強化していけばARアプリが容易に開発できるようになるため、今後はリリース数も増えていくのではないだろうか。
トレーサビリティアプリは消費者が強い関心を持った上で商品情報を見てくれるため、商品提供者側から見ても開発するメリットは大きい。
プロモーションにおいては、躍起になって商品の開発ストーリーを語り、商品への興味を持ってもらおうとするが、トレーサビリティアプリなら消費者が最初から興味を持って商品ができるまでのストーリーを見てくれるからだ。
ARがより身近なものになっていくだろう今後の、トレーサビリティアプリの動向に注目したい。
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