あなたの猫の『血液型』は?調べる方法や知っておくと役立つシーンなど、基礎知識3選
1.猫の「血液型」とは
猫にも私たち人間と同じように「血液型」があり、主にA型、B型、そして珍しいAB型の3種類が存在します。
しかし、猫の血液型は人間とは異なり、輸血時の適合性や、特定の猫種においては子猫の健康に関わる重要な要素となるので、事前に調べておくと良いかもしれません。
万が一の事態に備え、愛猫の血液型について理解を深めましょう。
A型
猫の血液型の中で最も多く見られるのがA型です。多くの純血種や雑種猫に分布しており、猫全体でもA型の割合が最も多いと言われています。
A型の猫の赤血球表面にはA型の抗原が存在し、血漿中にはB型の赤血球を攻撃する抗B抗体を持っています。
そのため、A型の猫にB型の血液を輸血すると、体内で激しい拒絶反応が起こる可能性があり危険です。
遺伝的には、A型はB型に対して優性であるため、片方の親からA型の遺伝子を受け継ぐだけでA型になります。
ブリーディングにおいては、B型の母親とA型またはAB型の父親の間で生まれた子猫で、「新生子同種溶血」という重篤な疾患を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
B型
B型の血液型を持つ猫は、一部の純血種に比較的多く見られます。例えば、スコティッシュフォールド、ブリティッシュショートヘア、ペルシャ、ヒマラヤンなどが挙げられます。
B型の猫の赤血球表面にはB型の抗原が存在し、血漿中にはA型の赤血球を攻撃する抗A抗体を持っています。そのため、A型の血液を輸血すると、強い輸血不適合反応を引き起こす危険性があるので注意しましょう。
遺伝的には、B型は劣性遺伝であるため、両親からB型の遺伝子を受け継いだ場合にのみB型となります。
ブリーディングにおいては、B型の母親がA型またはAB型の子猫を出産した場合、初乳に含まれる抗A抗体によって子猫の赤血球が破壊され、「新生子同種溶血」を引き起こす可能性があるようです。
AB型
AB型の血液型を持つ猫は非常に少なく、猫全体のごくわずかしか存在しません。AB型の猫の赤血球表面にはA型とB型の両方の抗原が存在し、血漿中にはA型とB型どちらの赤血球に対する抗体も持っていません。
そのため、理論的にはA型またはB型の血液成分のうち赤血球のみを少量であれば輸血できる可能性がありますが、実際には赤血球を壊さず血漿と結晶に含まれる抗体を完璧に分離する事が困難であるため、輸血反応のリスクを考慮し、可能な限りAB型の血液を輸血することが推奨されています。
遺伝的なメカニズムは完全には解明されていませんが、A型とB型の遺伝子を両方持つことでAB型が発現すると考えられています。
ブリーディングにおいては、AB型の猫の繁殖例が少ないため、遺伝的な伝わり方や新生子への影響についてはまだ不明な点が多いと言われているようです。
2.猫の「血液型」を調べる方法
愛猫の血液型は動物病院での血液検査で調べることが可能です。少量の血液を採取し、血液型判定キットを使用してその場で、あるいは検査機関に送って判定を行います。
避妊・去勢手術時や健康診断などの機会に、獣医師に相談して検査してもらうのが一般的です。費用は動物病院によって異なりますが、数千円程度が目安となります。
3.猫の「血液型」を知っておくと役立つシーン
緊急時の輸血
猫が事故や手術、病気などで大量出血した場合、緊急輸血が必要となることがあります。このとき、血液型が適合しない血液を輸血してしまうと、「急性輸血不適合反応」と呼ばれる非常に危険な拒絶反応を引き起こし、最悪の場合、命に関わることもあるので注意が必要です。
事前に愛猫の正確な血液型を知っておくことで、迅速かつ安全な輸血が可能となり、救命率を高めることができます。
また、人間のような公的な献血システムは動物医療業界にはなく、血液バンクを備えていない動物病院がほとんどです。 事前に血液型を把握しておくことで、輸血が必要になった際にスムーズにドナー猫を探すなどの対応が取れる可能性もあります。「体格が良く、若くて健康であること」が条件ではありますが、同居猫同士や猫仲間の中で同じ血液型を事前に探しておくと、有事の際に安心です。
ブリーディング
猫のブリーディングを行う上で、血液型の知識は非常に重要です。特にB型の母親とA型またはAB型の父親から生まれた子猫は、新生子同種溶血という重篤な疾患を発症するリスクがあります。
これは、B型の母親が持つ抗A抗体が初乳を介して子猫に移行し、子猫の赤血球を破壊してしまうことで起こります。
新生子同種溶血を発症した子猫は、生後数日以内に黄疸や貧血などの症状を示し、高い確率で死亡してしまうことも。そのため、繁殖を計画する際には、事前に親猫の血液型を検査し、危険な組み合わせを避ける必要があるのです。
血液型に関する正しい知識を持つことは、健康な子猫を育てる上で不可欠であり、ブリーダーとしての責任と言えるでしょう。
動物病院での情報共有
愛猫の血液型をカルテに記録しておくことで、動物病院での処置がスムーズになります。緊急時だけでなく、今後の治療方針を立てる上でも、血液型に関する情報は重要な判断材料となります。
このように、愛猫の血液型を把握しておくことは、万が一の事態に備えるだけでなく、安全なブリーディングを行う上でも非常に重要な知識と言えるでしょう。
まとめ
猫の血液型は、健康診断などで簡単に調べることができるので、いざという時のために調べておくと良いでしょう。
病気や怪我に備えることも大切ですが、純粋に「うちの子の血液型を知りたい」という思いから聞いてみても良いかもしれませんね。
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