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例えば、『機動武闘伝Gガンダム(1994-1995)』『パシフィック・リム(2013)』などでは、パイロットが体の動きを反映させる特殊なスーツを着て、巨大な人型ロボットを操縦しています。
そしてこのアイデアは、現実世界でもいくらか可能になっています。
最近、人型ロボット「ナディア(Nadia)」がボクシングトレーニングする動画が公開されました。
ナディアはオペレーターの動きを反映しており、まるで人間のような滑らかな動きで体を揺らしたりミットを打ったりできました。
この人型ロボットは、「フロリダ人間機械認知研究所(IHMC)」とロボット開発チーム「Boardwalk Robotic」が協力して開発中です。
目次
現在、IHMCとBoardwalk Roboticが協力して開発しているのは、次世代の人型ロボット「ナディア(Nadia)」です。
研究チームの目標は、「ナディアに人間と同じ可動域を与える」ことです。
そこでチームは、「人間の動きを極めようと励む」体操選手を参考にして、彼らの身体の可動域をロボットに獲得させることを目指しています。
そのため「ナディア」という名前は、1993年に国際体操殿堂入りしたルーマニアの女子体操選手ナディア・コマネチ氏から取られました。
人型ロボットが人間と同じように動けるなら、危険な環境でも遠隔操作を用いて人間の代わりに作業できます。
例えば、消火活動、災害救援、爆発物処理などを、誰も危険にさらすことなく行えるでしょう。
そしてこれらロボットをレバーやボタンで操作するのではなく、オペレーターの体の動きをそのまま反映させることができるなら、有用性は大きく広がります。
実際、研究チームによると、「ナディアがもつ29の可動域は、世界の人型ロボットの中で最も大きい」ようです。
また、油圧アクチュエータと電動アクチュエータの組み合わせにより、人型ロボットの中で最高の出力重量比を目指しています。
そんなナディアは、VRゲームの仮想ロボットを体全体で操作するかのように、現実でもある程度自由に動かすことができます。
アニメや映画のアイデアは、既に現実のものになりつつあるのですね。
最近では、そのような遠隔操作の可能性が、ミット打ちの動画を通して明らかにされました。
開発チームのメンバーが構えるミットの位置へ、ナディアが的確にパンチできているのが分かります。
動作は比較的ゆっくりですが、フックやストレートなど、人間と同じような動きができていますね。
オペレーターの動きがそのまま反映されるので、体を揺らしたり、パンチを避けたりすることも可能なようです。
YouTubeのコメント欄には驚きの声が集まっており、ロボット格闘技を題材にした映画『リアル・スティール(2011)』と比較している人もいます。
確かに、スピードが改善されるなら、人間の代わりにロボットで格闘することも可能でしょう。
将来的には、1つのアバターとして等身大の人型ロボットを使用したり、巨大ロボットを直感的に操作したりできるのかもしれません。
ナディアの新しい報告動画は、「遠隔操作のワクワクするような可能性」を示してくれました。
今後の進展にも大きく期待できます。
参考文献
Nadia Humanoid
https://www.ihmc.us/nadia-humanoid/
NADIA Designed to go where people go, and do what people do
https://boardwalkrobotics.com/Nadia.html
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
海沼 賢: 以前はKAIN名義で記事投稿をしていましたが、現在はナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。