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一番前に生えている切歯には食べ物を噛み切る役割があります。犬は食べ物を飲み込む傾向があるので、あまり噛むことがなく切歯が使われることもあまりありません。でも切歯は口の中の食べ物が外に出ない役目も担っています。
切歯は一番歯垢がつきにくい歯なので、切歯に歯垢や歯石がついているなら歯周病などの口腔内トラブルを患っている疑いがあります。
・犬歯
犬歯には捕らえた獲物や食べ物などを逃さないように噛み付く働きがあります。犬歯を使って食べるというより、獲物を仕留めるための歯と言えるでしょう。
犬歯は歯の中で一番尖っているので、たとえ甘噛みだとしても噛まれると痛みを感じることがあります。特に乳歯は永久歯よりも細く尖っているので、噛まれると強い痛みがあります。
・臼歯
乳歯の臼歯は前臼歯ですが、永久歯は前臼歯の奥に後臼歯が新たに生えることで数が増え、臼歯も前臼歯と後臼歯の2種類になります。
一番奥に生えている臼歯には、食べ物を引き裂きすりつぶす働きがあります。食べ物が最後まで残りやすい歯なので、歯垢や歯石が付きやすくなっています。
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犬の歯の表面は「歯冠」「エナメル質」「歯肉」「歯肉溝」、歯の断面は「象牙質」「セメント質」「歯髄」「歯槽骨」で構成されています。
・歯の表面
歯の表面を構成している歯冠、エナメル質、歯肉、歯肉溝は、普段私たちが肉眼で目にしている犬の歯の表面です。
歯肉から出ている歯冠には、噛み付いたりすり潰したりする役割があります。歯冠を覆っている硬い層のエナメル質は、歯をコーティングし保護する働きをしています。あまりにも強い力が加わると折れてしまうこともあります。
歯の根元部分である歯肉は歯を支える役割をしています。そして通称歯周ポケットという名前でも知られている歯冠と歯肉の間は歯肉溝と呼ばれており、この隙間に細菌が入り込んで広がっていくと歯周病につながります。
・歯の断面
歯の断面は象牙質、セメント質、歯髄、歯槽骨の4層で成り立っています。象牙質はエナメル質の奥にある部分で、歯を内側から支える働きをしています。
セメント質は歯と歯根膜をつなぐ役目があります。歯髄は神経や血管が集まっている歯の中心部です。そして歯は歯槽骨という骨で支えられています。犬がかかりやすい歯周病は、症状が進行すると歯槽骨まで溶かしていきます。
ごく稀に生じることですが、犬の中には永久歯が生えているのに乳歯が抜けず、口腔内に残ってしまうことがあります。また永久歯が生えてこないで、成犬になっても乳歯が残ったままの状態になってしまうケースもあります。
このように成犬になっても乳歯が残っている症状を「乳歯遺残」といいます。乳歯遺残になると歯のかみ合わせが悪くなるため、歯垢が残りやすく歯周病の原因にもなります。
乳歯が残っていると口腔トラブルの原因となりますので、乳歯から永久歯へと生え変わる時期は乳歯が残っていないかどうかをチェックするようにしましょう。万が一乳歯が残っている場合は抜歯する必要がありますので、かかりつけの獣医師さんに相談してみましょう。
多くの方が「歯石」や「歯垢」という言葉をよく見聞きするのではないでしょうか?両者の違いは何でしょうか?
歯垢とは食べ物の残りカスのことではなく、口内の細菌の塊のことです。歯垢が唾液などのネバネバで歯につくと、食物の糖分を栄養として細菌が増殖していきます。そしてそのまま放置して硬くなったものが「歯石」です。
犬の歯の歯石の表面上にさらに歯垢が付着し歯石となるということを繰り返すことで階層が増え、通常の歯磨きケアでは落とすことができないほど口の中の状態が悪化していきます。
愛犬の歯周病予防の基本は何と言っても、日々の歯のケアや歯磨きです。上記で触れたように、犬の歯石は歯磨きでは落とすことができないので、歯石化する前の歯垢を普段の歯磨きケアでしっかり落とすことが歯周病予防につながります。
つまり、犬の歯垢がまだ歯石になる前に歯磨きケアで歯垢をキレイに除去し、歯石を防ぐことが犬の歯磨きの目的です。
犬に歯石がついてしまうと歯磨きで取ることは難しく、雑賀うの場合は全身麻酔での歯石除去が必要となるケースもあります。そのようなケースにならないように、普段から歯を磨くことを習慣としていきましょう。
もちろん犬は自分で歯磨きをすることができないので、歯磨きケアは飼い主さんにすべてがかかっています。愛犬の健康維持のためにもぜひ歯磨きケアについてこの機会に見直してみるのはどうでしょうか?