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上記の3つが主な理由として考えられます。詳しく一つずつ考えてみましょう。
猫は野生で暮らしていた時には、獲物に居場所を知られてしまうことがないように注意したり、自分より強い捕食動物に行動範囲がバレることを避けようとしたりしていたため、鳴き声をあまり発さない動物でした。
イエネコとして飼いなさられた今では、ハンティングした獲物を食料とするのではなく、飼い主さんに供給されるエサが主な食料となっているため、鳴き声を使って飼い主の注意を引こうとするようになりました。
飼い主の方であれば、愛猫がおなかがすいた時などに「ニャーーン」と長めに鳴いて、食事をせがむ光景を見たことがあるのではないでしょうか。それでも、猫に本能的に染みついている以前からのボディランゲージや、においを使ったコミュニケーションもあるので、そちらも併用することがあります。
鳴き声だけで飼い主さんの注意を引けない場合には、しっぽを当てながら顔を見て食事をねだってくるかもしれません。ときには鳴き声を出さないで、しっぽをパシパシと当てて飼い主さんの注意を引こうとすることもあります。猫の要求が何なのか見きわめてできる限り応えてあげるようにすれば、猫との絆が深まることでしょう。
猫ちゃんに構いすぎて徐々に機嫌が悪くなっていったときや、とにかく不機嫌なときに近づくと、しっぽで手をペシッと叩かれるかもしれません。そのようなときは、猫ちゃんをそっとしておいてあげるようにしましょう。
猫ちゃんの触ってほしくない場所を撫でたり、撫でる時間が長すぎて嫌がられたり、ブラッシングを嫌がったりしているときなどにこのような反応をすることが多いでしょう。
またなにか別の原因でイライラしているときなどには、手を近づけただけで拒否されることもあります。しっぽのサインに気付かないで触り続けたり、手を伸ばして触ろうとしたりすると、猫が本気で怒って噛み付いてきたり、ひっかいてきたりする可能性もあります。気持ちがおさまるまで、少し放っておく方が良いでしょう。
猫ちゃんのしっぽの根元からはフェロモンが出ています。立っているときなどに脚にしっぽの根元をこすりつけられるようなときには、飼い主さんを自分のモノと思ってマーキングしています。猫ちゃんの愛情表現なので、嬉しい気持ちになりますね。
外出して他のにおいをつけて帰ってきたときや、長い時間猫ちゃんに会っていなかった場合などにマーキングされることが多いようです。頭からお尻まで身体をググっと当てながらこすりつけられるのも同じマーキングで、愛情表現です。他の猫ちゃんのにおいをつけて帰ってくると激怒する嫉妬深い猫ちゃんもいますので注意してくださいね。
Eric Isselee/shutterstock.com
ここまでで猫がしっぽを当ててくる理由について考えてきました。猫はしっぽを当てることで飼い主さんの注意を引いたり、拒否のサインを送ったり、マーキングをしたりするようです。
とても器用に滑らかに動く姿を見ていると美しさを感じることもある猫のしっぽですが、いったいどのような仕組みであれほど滑らかにしなやかに動くのでしょうか。ここからは猫のしっぽの仕組みについて紹介していきます。
猫のしっぽには一般的に18個から23個の尾椎と呼ばれるしっぽを支える骨があり、しっぽを前後左右に動かすために4方向に配置された4つの筋肉と、細かな動きをコントロールする8つの筋肉とで構成されています。猫の種類によってしっぽの長さが異なるので例外もありますが、一般的にはこうした構造になっています。
それぞれの筋肉には「内背側仙尾筋」「外背側仙尾筋」「内腹側仙尾筋」「外腹側仙尾筋」などの名称がついており、それぞれの筋肉が働くときのしっぽの動く方向は異なっています。猫はそれぞれの筋肉が調和良く働いた結果として、しっぽを自由自在にコントロールしているのです。
猫はしっぽの先まで微細な動きをコントロールすることができますが、それを可能にしているのは「尾骨神経」と呼ばれる神経です。尾骨神経は、第1尾骨から第8尾骨までの尾骨の横から出てしっぽ全体に分布しています。筋肉の表面や皮膚に分布しているため、猫のしっぽは特に敏感な部分でもあります。
猫のしっぽを通っているその尾骨神経は「骨盤神経」「陰部神経」「下腹神経」といった、猫ちゃんの健康を保つうえで欠かせない重要な神経と部分的に連結しているため、猫ちゃんのしっぽを引っ張ってはいけないと言われているのです。
しっぽを引っ張ってしまうと、尾骨神経に加わった力がその他の神経にも影響を及ぼし、排尿や排便に障害を及ぼしたり、歩行障害を抱えてしまったりする恐れがあります。「しっぽ引っ張り外傷」とも呼ばれる有名な症状ですので、しっぽに外傷が加わらないよう特に注意するようにしましょう。
しっぽに外傷が加わらないようにするには、飼い主さんが家の中の危険を排除したり、行動に気を付けたりすることが必要になります。中でも多いのは、しっぽを踏んでしまうことで外傷を加えてしまうパターンです。
猫は思いもよらない場所に走り込んできたり、ベッドの下に隠れてたりすることがあります。かかとで一点に集中した衝撃がしっぽへと伝わってしまうと、神経に外傷を加える可能性がとても高くなりますので、一歩踏み出す前に必ず周囲を確認するようにしましょう。
猫ちゃんに鈴をつけて居場所がわかるようにしようとする人もいますが、鈴の音で猫ちゃんがストレス障害を抱えてしまう恐れもありますので、あまりおすすめできません。余裕を持った行動をとって、万が一にも踏みつけてしまうことがないようにしましょう。
他にも、尻尾をドアに挟んでしまってしっぽ引っ張り外傷になってしまう猫もいるようです。風でドアが勢いよく閉まる恐れがあるような場合や、重めのドアが閉まるスピードが速いという場合には特に注意が必要です。スポンジでドアの板面を挟み、ドアが完全に閉まるのを防ぐというグッズや、ドアストッパー、減速機能付きのドアクローザーなどを上手に活用して、危険を排除するようにしましょう。
さらに、小さな子どもが猫ちゃんのしっぽを強く引っ張ることが起きてしまうこともあります。小さな子どもと猫ちゃんが二人っきりにならないように注意し、目を離さないようにしてあげましょう。