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全体が立ち上がっている耳の犬を総称してプリックイヤーと呼びます。直立していて先が丸いもの、尖ったものなど大きさなどもさまざまです。「prick」とは英語で「とがったもの」という意味があります。
主な犬種:ジャーマン・シェパード・ドッグ、ポメラニアン、シベリアンハスキーなど
◆バタフライイヤー(Butterfly ears)
まるで蝶々が羽を広げたような耳のことをバタフライイヤーと呼びます。大きな立ち耳に豊富な飾り毛が特徴です。
主な犬種:パピヨン、ロシアントイ
◆キャンドルフレームイヤー(Candle Flame Ears)
キャンドルフレームイヤーは耳の根元からゆるやかなカーブを描きながら広くなっていき、先端にかけて尖っていく形です。ろうそくの炎のような形に似ていることから名付けられました。
主な犬種:ミニチュアピンシャー、トイマンチェスターテリア、イングッリシュ・トーイ・テリアなど
◆ラウンドティップドイヤー(roun- tipped ear)
ラウンドティップドイヤーは「立ち耳」の中で先端が丸くなっている耳です。
主な犬種:フレンチブルドッグの耳もラウンドティップドイヤーにあたりますが、フレンチブルドッグの場合は「チューリップ・イヤー(Tulip Ear)」と呼ばれることもあります。
◆バットイヤー(Bat ears)
バットイヤーは形状的にはラウンドティップドイヤーと同じですが、頭の大きさに対して耳がとても大きいもののことをいいます。両耳の付け根の間隔が広く、耳は前に向いています。こうもりが翼を広げた形に似ていることから名付けられました。
主な犬種:ウォルシュコーギー、チワワ
◆フーデドイヤー(Hooded ear)
フーデドイヤーとは立ち耳の中で、フードをかぶったような形をした耳のことです。丸みを帯びた感じの耳で、内側にカーブしている点が特徴です。
主な犬種:バセンジー
◆コックドイヤー(Cocked ear)
根元から直立し、先端だけが少しだけ折れている耳。プリックイヤーとボタンイヤーの中間くらいの折れ具合です。
主な犬種:ボーダーコリー、シェットランドシープドッグ
◆ボタンイヤー(Button Ears)
ボタンイヤーはコックドイヤーとドロップイヤーの中間くらいの耳のことです。
耳のツケの部分は立ち耳で上部は垂れ下がっていて耳の穴を隠しているものの、穴を密閉していない状態です。
主な犬種:ワイアーフォックステリア、ジャック・ラッセル・テリア、フォックス・テリアなど
◆ローズイヤー(Rose Ears)
途中から折れた耳が後方にねじれて、耳の中が見える形をしています。耳たぶが重なった形がバラの花に似ていることからローズイヤーとよばれています。
主な犬種:ブルドッグ、ウィペット、グレーハウンドなど
◆ドロップイヤー(Drop Ears)
耳の全体や大部分が、根本から垂れている耳のことです。
主な犬種:ゴールデン・レトリーバー、ビーグルなど
◆ペンダントイヤー(Pendant Ears)
ドロップイヤーのなかでも、特に耳が大きなタイプをペンダントイヤーと言います。付け根から垂れている、大きな垂れ耳のことです。
主な犬種:ダックスフンド、バセット・ハウンドなど
◆フォールドイヤー(Folded Ears)
耳の付け根は若干立ち上がっていて、外側に広がっている状態の垂れ耳のことをフォールドイヤーといいます。
主な犬種:スパニエル系の犬に多くアメリカンコッカースパニエル、イングリッシュコッカースパニエル、キャバリアなど
◆Vシェイプイヤー(V-Shaped Ears)
V字型(逆三角形)になっている耳で、垂れ耳に多い形です。前から見たときに折りたたまれた耳の外縁が「V」に見えることから名付けられました。
主な犬種:ブルマスティフやヴィズラなど。
◆フィルバートシェイプイヤー(Filbert-shaped ears)
フィルバートシェイプイヤー「フィルバート」とはヘーゼルナッツの一種で、このフィルバートナッツのような形が名前の由来とされています。耳の下の飾り毛はタッセルといいます。
主な犬種:ベドリントンテリア
ろうそく、コウモリ、ローズ、ペンダントなど様々な形に例えられるほど、犬の耳の形の種類が多いことには驚きます。
では『垂れ耳』のわんちゃんは耳がふさがれているため聴こえ方は悪いのでしょうか?
Billion Photos/shutterstock.com
バセットハウンドやブラッドハウンドなどは、狩猟犬として嗅覚に集中できるよう聴覚情報をシャットダウンする目的で、人為的に耳をふさぐような垂れ耳として品種改良されてきた犬種です。
しかし実験を行った結果、「垂れ耳」と「立ち耳」とでは聴力に大きな差が認められなかったといわれています。
では、犬の聴力について詳しく語る前に犬の耳の仕組みについてお伝えしたいと思います。
Philip Kinsey/shutterstock.com
色々な耳の形について見てきましたが、形や大きさによって耳の仕組みに違いはあるのでしょうか? 耳の作りに関しては、耳の形や大きさが違っていても犬はみんな同じといえます。人と同じように外耳(がいじ)、中耳(ちゅうじ)、内耳(ないじ)から構成されています。
外耳(がいじ)は耳介(じかい)と外耳道(がいじどう)、耳介を動かす耳介筋(じかいきん)などからできています。
『耳介』(じかい)は耳のひらひら部分で「立ち耳」、「垂れ耳」と言われる部分で音を集める集音機能としての役割があります。
『外耳道』(がいじどう)は音(振動した空気)の通り道で、垂直部と水平部に分かれています。人間の外耳道は綿棒をいれると真っ直ぐに水平に進み鼓膜に到達しますが、犬の外耳道はまず縦方向に垂直に進んでから突き当たりを横方向の水平に進むと鼓膜に到達します。ですから犬の外耳道は垂直耳道と水平耳道からできています。
『耳介筋』(じかいきん)とは細かい筋肉で構成され、主に顔面神経からの指令によって耳介を動かすことができます。
中耳は、『鼓膜』(こまく)から奥のことを指しています。『中耳腔』(ちゅうじくう)、『耳小骨』(じしょうこつ)、『耳管』(じかん)から構成されています。
『中耳腔』は鼓膜の奥にあり空洞状になっています。鼓室(こしつ)とも呼ばれます。
『耳小骨』は鼓膜に伝わった空気の振動を増幅して内耳に伝える働きがあります。
『耳管』は中耳腔から伸びる管で鼻腔、咽頭につながっています。
中耳のさらに奥にある部分を内耳と言います。『蝸牛』(かぎゅう)と『前庭・三半規管』(ぜんていさんはんきかん)により構成されています。
『蝸牛』の内部はリンパ液で満たされていて、このリンパを介して鼓膜、耳小骨を経た振動は聴神経に伝わり脳内に情報が送られます。
『前庭・三半規管』はバランス平衡感覚をつかさどる器官です。
耳の形状や仕組みを見てきましたが、犬の「聴力」についてさらに見ていきましょう。