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これらはすべてごく少量であったとしても、猫が口にすることで中毒症状を引き起こし、最悪の場合命を落とす危険がある食材であるため、特に注意が必要です。
猫はテーブルの上やキッチンなど、高いところにでも簡単に上ってしまいますから、「ちょっとテーブルの上に置いていて目を離したすきに」とか「家を留守にしていた間に」、誤ってそうした危険な食材を食べてしまうということもあります。
大切な愛猫が飼い主のちょっとした不注意によって苦しむ姿は絶対に見たくありませんし、避けたいものです。では、猫に絶対に食べさせてはいけない食材以外にも、あまり摂取させない方が良い食材はあるでしょうか。
実は意外と知られていない食材もたくさんあります。命に必ず関わるわけではないものの、猫が「過剰に」摂取すると危険だという食材もあります。
ここでは、「猫が過剰に摂取してしまうと危険な食材」にしぼって取り上げてみたいと思います。
それらの食材には猫にとって危険などんな成分が含まれているのか、過剰に摂取することでどんな中毒症状を引き起こしてしまう危険があるのか、調べてみることにしましょう。
さらには、万が一猫が誤って危険な食材を口にしてしまった場合どのように対処したら良いのかについても取り上げていきます。
trambler58/shutterstock.com
猫が過剰に摂取することで健康や命に関わってしまう可能性がある食材にはどのようなものがあるでしょうか。
危険度ランクに分けてみると、以下のような食材があります。
<危険度ランク:中レベル>
・生卵の白身
・イカ
・タコ
・エビ
・人間用のソーセージやハム、ベーコン
・人間用の乳製品
・豚肉(生肉)
「中レベル」というのは、猫が過剰に摂取すると健康や命に影響を与えかねない危険な状態を起こす可能性がある食材のことを言っています。
<危険度レベル:低レベル>
・お味噌汁
・カフェイン類(お茶、紅茶、コーヒーなど)
・カニ
・するめ
・野生のキノコ類
これらの食材は中レベルと比べれば安全というわけではなく、通常猫が口にする可能性が低い食材という意味で「低レベル」になっています。
猫が過剰に摂取してしまうと危険だという点では、中レベルの食材となんら変わりはありません。
では、ここで危険度レベル“中”として取り上げた、「生卵の白身」「イカ、タコ、エビなどの魚介類」「人間用のソーセージやハム、ベーコン」「人間用の乳製品」「生の豚肉」の5つの食材にしぼって、一つずつ見ていきましょう。
食材に含まれるどんな成分が猫にとっては良くないのか、あるいは中毒症状を起こしてしまう危険があるのかを調べていきたいと思います。
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卵にはたくさんの栄養素が含まれており、体を造るのに必要な食材です。
たとえば、「たんぱく質」「脂質」「ビオチン」「ビタミンB2」「ビタミンB1」「セレン」と呼ばれるミネラルも豊富です。
これらの栄養素は、猫にとっても皮膚や粘膜の機能を強くしたり毛質を良くしたりするのに役立つため、与えすぎなければ猫に食べさせても問題はありません。
しかし卵の中でも「白身」、それも「生の」白身には猫にとって有害となり得る成分が含まれているので食べさせてはいけません。
卵の白身には「アビジン」と呼ばれる成分が含まれています。この「アビジン」は、卵に含まれる「ビオチン」という栄養素と腸内で強く結合する性質があります。
この成分は水に溶けない性質を持っているため、腸管から吸収されることなく体外に排出されてしまいます。つまり、卵に含まれるせっかくの栄養素であるビオチンも、体内に吸収されることなく排出されてしまうというわけです。
そうなると、猫の皮膚や被毛を健康に保つのに欠かせないビオチンが不足してしまうことになってしまうわけです。それにより、皮膚のトラブルや脂肪の代謝障害、疲労を引き起こしてしまうことがあります。
もちろん、こうした症状はまれではあります。しかし、猫が過剰に摂取してしまうと何らかの弊害が生じかねないので「生卵の白身」には注意しましょう。
ちなみにこの「アビジン」は加熱することによって働きを失うので、ビオチンに結合して作用することはなくなります。
他にも生卵を避けた方が良い理由には、食中毒の要因となりかねない「サルモネラ菌」や「大腸菌」が卵の殻などに付着していることがある、という点もあります。
日本ではこれらの菌が含まれている可能性は非常に低いと言われていますが、猫は人間と比べて体が小さいですから、万が一病原菌が体内に入ってしまうと大変なことになりかねません。
やはり加熱することでこれらの菌は死滅しますから、猫に卵を食べさせる時には「生の」以外の方法で与える方が賢明でしょう。
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猫は魚介類が大好きなので、飼い主が食べていると欲しがることがあるかもしれません。しかし、猫にイカやタコ、エビなどの魚介類を食べさせるのはあまりよくありません。
それは、そうした魚介類には「チアミナーゼ」と呼ばれる成分が含まれているからです。このチアミナーゼは他に「アノイリナーゼ」とも呼ばれています。
この「チアミナーゼ」には、生物が体を正常に機能させ、健康に保つのに必要な「ビタミンB1」という栄養素を壊してしまう働きがあります。
ビタミンB1とは、炭水化物の消化を助けて糖質へと変化させることによって、神経系統を正常に保つのに必要な栄養素です。
このビタミンB1が体で不足していくと「ビタミンB1欠乏症」になってしまい、多発性神経炎や歩行障害、視覚障害などを引き起こしてしまうことがあるのです。
もちろん、少量食べただけですぐに影響を与えるわけではありませんが、猫にたくさん食べさせたり、少しずつでも毎日のように与え続けたりするなら、少しずつビタミンB1が壊れていってしまうかもしれないので気を付けましょう。
ちなみに、この「チアミナーゼ」はマグロやカツオなどの生魚や貝類にも含まれています。
チアミナーゼは加熱することで壊れるので、加熱さえすればビタミンB1が欠乏することはなくなりますが、それでもイカやタコ、エビなどは歯ごたえがあって消化が悪い食材です。
猫は食べたものを丸飲みしてしまうことが多々あります。消化の良くない食材は下痢や嘔吐などの消化不良を起こしてしまいやすいので、たとえ加熱したものでもあげ過ぎはよくないです。
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ソーセージやハム、ベーコンは豚肉を加工したもので、たんぱく質を摂ることができますが、人間が食べるものは塩分が非常に多いので、体の小さい猫が過剰に摂取することはとても危険です。
さらにそれらの加工品には、猫の健康には良くない人工調味料もたくさん入っています。
過剰に塩分を摂り過ぎてしまうと高血圧症や肥満の原因になったり、腎臓病や心臓病にかかりやすくなったりしてしまいます。
特に腎炎や心臓が弱い猫、あるいは腎臓機能が低下している老猫に食べさせるのはよくありません。症状を悪化させてしまい、寿命を縮めてしまう恐れがあるので、絶対に食べさせないようにしましょう。
猫の健康や体重を考えて塩分調整されている、猫用のソーセージやハム、ベーコンもありますから、食べさせる時には「人間用」ではなく「猫用」の食材を与えるようにしてください。
ソーセージやハム、ベーコンはサンドイッチやホットドッグなど、日常で口にする食べ物にもよく使用されています。うっかり食べかけをテーブルに置いておかないように注意したいものです。
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「捨てられている子猫に、温めた牛乳をあげている」―こんなシーンをドラマなどで見かけることがあります。
猫は牛乳や乳製品を好みますし、ついあげたくなってしまうかもしれませんが、人間が口にしている乳製品のほとんどには「ラクトース」と呼ばれる乳糖が含まれており、この成分が猫の消化不良や下痢の原因になってしまうので、過剰に与えすぎるのはよくありません。
猫の体内には「ラクターゼ」と呼ばれる酵素がほとんどありません。このラクターゼが「ラクトース」を分解する働きをしてくれるので、ラクターゼが少ない猫は分解できずに下痢をしてしまうことがあります。
さらに、たとえ下痢や消化不良を起こさない猫だったとしても、牛乳には豊富な栄養素が含まれていますから、過剰に与えすぎてしまうと栄養過多や肥満傾向になってしまうことがあります。
いまのキャットフードには猫が必要とする栄養素がバランスよく配合されていますから、「栄養を摂らせるため」という理由で乳製品を与えようとしているのであればまったく必要ありません。
特に、乳製品の中でも人間用のチーズはカロリーも非常に高い上に、塩分や脂肪分も非常に高いです。与えすぎると腎炎などの健康被害になりかねないので気を付けるようにしましょう。
いまは猫用の牛乳や乳製品もたくさん販売されています。乳製品が好きな猫ちゃんを飼っているなら、人間用のではなく猫用の乳製品を食べさせるほうが良いと言えます。
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豚肉は他のお肉と比べて、店頭でも比較的手ごろな値段で購入できますし、やはり豊富な栄養素が多く含まれていますから、愛猫にもあげたい食材かもしれませんね。
キャットフードの中にも豚肉が入っていることがありますし、もちろん猫にあげてもまったく問題はありません。むしろ猫にも必要なビタミンB群がたくさん含まれている豚肉は、取り入れたい食材の一つでもあります。
ビタミンB群には風邪やウィルスなどから守る働きをする免疫力をアップさせる効果があります。また疲労回復や、皮膚や粘膜の保護にも役立ちますし、筋肉や心臓の機能を正常に保つのにも不可欠です。
ただし!猫に豚肉をあげる時には一つだけ条件があります。それは「生で与えてはいけない」という点です。つまり、必ず加熱してからあげてください、ということなのです。
なぜなら、生の豚肉を摂取することで「トキソプラズマ症」に感染してしまう恐れがあるからです。生の豚肉は、鶏肉や牛肉よりも「トキソプラズマ症」にかかるリスクが高いと言われています。
この「トキソプラズマ症」というのは、トキソプラズマと呼ばれる寄生虫の感染によってかかるものです。この感染は猫に限らず人間や他の猫、他の動物にも感染していきます。
ただし、トキソプラズマ症に感染したとしても、健康な成猫であれば一過性の下痢症状程度で済みます。
しかし免疫力が低下している病気の猫や高齢の猫、あるいは子猫が感染してしまうと、発熱、嘔吐、下痢、呼吸困難、粘血便といった症状が出ることもあり、命を落とす危険もあるので注意が必要です。
もちろん、飼い主が生の豚肉を愛猫にわざわざ食べさせることはあり得ませんが、解凍するために置いていた生肉を猫が誤って口にしてしまったり、きちんと加熱しきれてない豚肉を食べてしまったりという可能性はあり得るので注意が必要です。