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②ぶどうの皮は果肉よりも中毒症状の原因になること
まだ研究で分かっていないことはたくさんありますが、過去にぶどうを食べて中毒症状を発症している猫がいることを考えると、現状猫にぶどうを与えるのはやはりNGです。そもそも肉食の猫にとって、ぶどうは本来健康を維持するために必要な食材ではありません。
「生のブドウがダメなら、レーズンは大丈夫なのか?」と考える方がいるかもしれません。しかし、レーズンはぶどうを干して乾燥させたものであって、ぶどうであることには変わりありません。
したがって、結論は、レーズンも猫に与えるのは危険です。
むしろレーズンの方が危ない状況すらあるでしょう。例えば生のぶどうを食べてしまうことは少ないと思いますが、レーズンはぽろぽろと落ちやすい物なので、床に落ちている1粒のレーズンを誤って食べてしまうという状況はあり得ます。
ワインやぶどうジュースなど、ぶどうが使われている加工食品も猫に与えてはいけません。
レーズンクッキー、レーズンバター、ラムレーズン、レーズンパン、レーズンを使ったアイスクリームなどの加工食品にも注意が必要です。レーズンそのものに興味を示すことはないとしても、レーズンが入った甘そうなものには興味を示す可能性があります。
食卓テーブルの上に置いておいて、目を離したすきにつまみ食いしてしまうことがないようにしましょう。
マスカットももちろん、地中海地方原産のぶどうなので食べさせてはいけません。マスカット以外でも、巨峰、デラウエア、ベリーAなどもぶどうの仲間なので与えてはいけません。
ぶどうはどんな形、種類であったとしても猫に与えるべきではない、また与える必要のないフルーツということを認識しておきましょう。
Natata/shutterstock.com
ぶどうは中毒を引き起こす恐れがあると書きましたが、実際にはどんな中毒症状が起こりうるのでしょうか?具体的に説明したいと思います。
一般的に、ぶどうを食べてから2~5時間以内に症状が現れるケースが多いと言われていますが、主な中毒症状としては以下のようなものがあげられます。
食べてから2~3時間の間に嘔吐や下痢の症状が観察されています。
体調が悪化していることが目に見えて分かる症状ですが、異変を感じたら中毒症状を疑って、何を食べてしまったのかを確認する必要があります。
嘔吐や下痢と合わせて見られる症状で、食欲がなくなります。
食欲がなくなった後にぐったりして元気がなく、動かず、ダラっとなります。
お腹を痛がるしぐさを見せます。例えば以下のような兆候が見られます。
○うずくまる
○土下座する
○部屋の隅や暗い所でじっと動かない
○仰向けや横に体勢を取って寝る
○目が閉じ気味になる
○耳が後ろを向く
○口が引きしまる
○呼びかけなどに反応しない
○いつもと違う鳴き声を発する
○お腹を執拗に舐める
尿が出なくなり、体がむくんだ様子が観察できる場合は腎不全を起こしている可能性が高くなります。
ぶどうによる中毒症状の中でも、これは重度の危険性をしめすものです。
このようにぶどうによって引き起こされる中毒症状は、飼い主にとっても比較的視認しやすいものなので、異常にすぐに気付くことができます。
猫の死因の中で1位なのはガンですが、その次に死因として多いのが腎臓系の病気です。なぜ猫が腎臓病にかかりやすいのか理由ははっきりとは分かっていません。
ただこれには猫のルーツが関係しているという意見があります。
現在ペットとして飼われている猫のルーツは、砂漠に生息していたリビアヤマネコという猫だったと考えられています。彼らが生息している水の少ない砂漠地域では、体内から失われる水分を最小限にするために、尿を濃く少なく調整する習性があったと考えられています。
また猫は年齢を重ねていく過程で、毒素を尿として排出させる「ネフロン(腎小体とそれに続く1本の尿細管)」の数が減少し、毒素を排出できないために血液内に老廃物がたまり、水分を捨て過ぎて脱水症状になることがあるようです。このように猫は体質的に加齢とともに腎臓への負担が大きくなっていくと考えられます。
このように猫は腎臓障害を起こしやすい動物なので、そこに負担を与えかねないぶどうを与えないように注意しましょう。